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株式会社土屋

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〒715-0019岡山県井原市井原町192-2久安セントラルビル2F

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エンゲージメントの向上こそが「離職防止」のキーワード

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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(画像提供:土屋)

介護のトータルケアカンパニーとして、創立3年で2,500名を超えるグループに成長した当社では、エンゲージメントを高める取組みに日々邁進してきました。

当社で実施したこれまでの施策を、成功と失敗を織り交ぜながら、人事責任者の大庭竜也がお伝えします。

エンゲージメントは離職防止の要

エンゲージメントの定義は、従業員が「愛社精神」をもって自ら会社のために動くことです。

一方、エンゲージメントと混同されがちな従業員満足度は、福利厚生の充実等、会社が従業員に対して行うもので、こうしたベクトルの向きが双方の違いだと思われます。

エンゲージメントが低いと給与・待遇にしか興味を見い出せず、ふとしたことでパフォーマンスやモチベーションの低下につながります。

結果、離職も増えてしまう。重要なのは、給与以外でも「この会社にいたい」と思えることです。そうすれば、おのずから離職も減っていく。

エンゲージメントを高める最大のメリットは「離職の防止」であり、そのためにも「給与以外のつながり」を構築することが大切です。

労働人口が減り続ける昨今の社会情勢の中で、企業としても従業員の愛社精神を高める必要性があると痛感しています。

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エンゲージメントに直結する愛社精神(画像提供:土屋)

リファラル採用を指標に

エンゲージメントは自己判断に左右されるため客観的な測定は難しいものの、数値化の必要性から、当社では人事評価にチームワーク・社内での人間関係等の項目を組み込んでいます。

また現在は「リファラル採用」をその指標として活用しています。というのも、エンゲージメントが高い人ほど「うちはいい会社だから」と、リファラル採用を多く活用してくれます。

反対にエンゲージメントが低いと、「入社してもらったら、その人が不幸になる」と、大切な知人や友人をまず紹介しません。こうしたことからも、リファラルの指標は有効だと考えています。

ただ、エンゲージメントには他にも成長機会の提案等、項目が様々にあるため、今後は人事データベースのサーベイ機能を用いながら、どの項目をピックアップするかなど戦略的に決定・実施する方針です。

これまでの施策とその効果

①サーベイ

エンゲージメントの向上には、まずは入社時点での働きかけが重要です。

当社では入社後1~3か月の方にサーベイを送り、入社前後のギャップについて把握・分析し、その差異を減らす取組みを行っています。

もっとも、当社が重度の障害者に対する介護をメイン事業としている以上、未経験者の想像を超える部分もあり、事前研修と実際の現場との乖離は否めませんが、最大の課題である「面接官と、入社後の上長のギャップ」に焦点を当てる試みを継続しています。

現在までのサーベイでは、しっかりとした採用研修を受けた面接官は「いい人」と受け取られますが、入社後の上長は「違う」とする結果が多々見受けられます。

新入社員のエンゲージメントを高める場合は第一印象が重要であり、面接官の質で第一段階をクリアできても、上長いかんにより第二段階をクリアできず、社のイメージが全て崩れてしまうことがあるのも事実です。

面接官に比べ、マネージャーの人数が圧倒的に多いことから採用研修も難航していますが、採用マネージメントと教育マネージメントの違いの理解等、引き続き教育を推進していきます。

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上司の指導やマネジメントに関するサーベイ結果(画像提供:土屋)

②称賛文化構築アプリの導入

エンゲージメントを高める施策の一つとして、当社内で称賛文化を作るべく、チームワークアプリを導入しました。

社員全員が目にできる環境下で「ありがとう」のメッセージを送り合うもので、導入当初は活発に動いていましたが、最終的に10人ほどしか使用していなかった感があります。

当アプリのメリットは「見える化」による人材の発見や、現場における情報共有のあり方が本社まで届く仕組みができたことです。しかし一方で、見えすぎるが故の問題が多発しました。

介護業界は承認欲求の高い人が多く、「あの人には5行褒めているのに、私には3行しか褒めていない」「私も同じことをしたのに、あの人だけ褒められて私は褒められてない」といったクレームがマネージャーに上がり始め、「もうアプリでは褒められません」というマネージャーが続出しました。

結果、これ以上続けるとマネージャーが心身ともに病んでいくと、停止せざるを得ない状況となりました。

当アプリは使い方によっては良いものですが、本来であれば「良いことをしたから褒める」という素直な気持ちが、最後には「業務として褒める」という本末転倒な事態に陥ってしまったことに頓挫の要因があります。

加えて、「褒めるとポイントがもらえる」という損得勘定もかぶさってきて、エンゲージメントを高めるには人間の性(さが)も考慮しなければならないと、良い勉強になりました。

③育児休暇制度

ワークライフバランスの推進として、1か月の育児休暇制度(給与100%会社保障)を導入しました。

当制度の問題点として、育休から戻ると自分の居場所がなくなっていた、戦力が抜けることから現場のマネージャーが難色を示すなどが挙げられています。

そこで当社では、「マネージャーを巻き込む」ことにポイントを置き、育休取得者と上長の両者を個別プロジェクトのメンバーとし、本社主導で育休理解の促進と環境整備を進めました。

その結果、育休取得率100%を達成し、その後のトラブルも聞こえていません。

終身雇用がなくなってきた中で長く勤めてもらうためにも、育休制度の確立は離職防止につながる良い取組みになったと考えています。また、最も高評価だったのが1か月という期間です。

というのも、妻側からの「2~3か月も家にいられたら、あんたの昼ご飯作んなきゃいけないし、嫌なんだけど」といった声もちらほら聞こえていたので、ご家族からも支持をいただいています。

今後の予定

①サークル活動

従業員が給与以外に企業に何を求めるか、何の価値を見い出すのかがエンゲージメントを高めるテーマである中で、社内における「横のつながり」を強めることの必要性を感じています。

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所属事業所以外のスタッフとつながりを持ちたいと考える従業員は67%にものぼる(画像提供:土屋)

いわゆる社内コミュニケーションですが、中でも同じ趣味・思考を持った方が共同体として共に活動することで、給与以外の価値やメリットを生み出せるのではないかと思い、サークル活動を近日中に発足します。

私自身、以前勤めていたアパレル会社で、フットサルや野球などを通して様々な方とつながり、刺激をいただいていたので、当社においても同じ趣味・思考を持つ人が北海道から沖縄までつながることで「頑張ろう」と思える環境ができるのではないかと期待しています。

②第二キャリア形成(社内公募)

企業側として、社員への「成長機会の提供」はエンゲージメントを高める重要な施策の一つです。当社ではそのため、第二キャリア形成として「社内公募」の実施を予定しています。

人は同じ業務に従事していると飽きてしまうものですが、その際に転職という選択肢ではなく、社内の「部署異動」の形を取ることで離職防止につなげたいと考えています。

そのため、社内公募規定として各部署が社内で「求人票」を出し、欲する人材や資格等を明確に打ち出すことで、個々のやる気や成長意欲の促進、ひいては自己の成長やキャリアアップを図る方針です。

また社員にとっては、「誰の下で働くのか」が一番重要だと思われます。離職の最大要因は人間関係であり、「この上長と働くのが嫌で会社を退職する」のであれば、これはもったいないと。

そこで当制度を活用し、新たな部署で頑張っていただくことを期待しています。

また社内公募と併せて、半年に     1回、既存スタッフにもサーベイを実施し、社員の能力や希望を把握することで人材の発掘を目指すとともに、将来的には現場においても重度訪問介護2日+デイサービス3日などの飽きない働き方作りを、土屋グループ全体で連携し回していきたいと考えています。

③退職者ヒアリング制度

退職には何かしらの不満や要因があるものですが、エンゲージメントを高めようと思う際には、エンゲージメントが高い人の意見を聞くよりも、エンゲージメントの低い人=退職希望者から退職に至る理由を聞き取り、その反対のことをするのが一番早いと思われます。

そこで今後は、退職希望者に対してサーベイ(ヒヤリング)を実施し、分析・改善することで離職防止の取組みにつなげていく予定です。

またもし、そうした聞き取りの際に部署異動等が可能であるならば、それを本社として提案することで離職を防ぐこともできます。

包括的に離職防止に取り組むには、入り口と真ん中、出口で網羅的にサーベイを行うことが効果的だと考えています。

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退職者ヒアリング制度の結果(画像提供:土屋)

すべては人にあり

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エンゲージメントを高めるために一番重要なことは、どこまでいっても「人」だと思われます。企業=人であり、企業は人の集合体でしかない。

私は以前、マネージャーをしていた時に、一度チームが崩壊したという経験があります。

忙しさゆえに機械的なシフト組みをして、無意識のうちにコミュニケーションを最低限にしていたことが原因でした。

部下のエンゲージメントが低くなっていることに気付かず、チームの崩壊に至りました。

そこからは従業員一人一人が何を考えていて、どのような要望を持っているのかを深く考えるようになりましたが、こうした経験からエンゲージメントの向上には、なによりも「コミュニケーションが大切」だと思い知りました。

その上で、人の成長、ひいてはマネージャーの成長がエンゲージメントを高める一番の近道だと思っています。

一方で、これは最も難しいテーマでもあります。例えば、上長が「よこしま」な考えを抱いていると、下の者も「よこしま」になっていく。

アテンダント(ヘルパー)のクレーム処理をしていると、当社として全く意図していないことが伝わっていることがしばしば見受けられます。

やはり、色々なフィルターを通っているうちに話がねじ曲がり、当社と一番下のレイヤーの認識にズレが生じます。そして、それで不満を抱えて辞められてしまう。それは本当にもったいないと感じます。

そのような認識の齟齬を防ぐためにも、今後予定しているサークル活動や第二キャリア形成、退職者ヒヤリング制度などの環境整備は重要ですが、どれだけ良い制度や環境を作っても、上が「よこしま」な考えをもっていれば、すべて終わってしまいます。

それを防ぐ方法は、やはり何事も上層部に理解を浸透させ、上から下へと落としていくのが一番良いと思われます。

そうすれば、教育を受けた1人の上長が4人を教え、その4人がそれぞれ4人の部下へ教えるという風に、数は一気に増えていきます。こうして上から下へと効率的に理解が浸透していく。

それと共に、下から上への関係作りも必要です。エンゲージメントの構図として、上層部からアテンダントまでの三角形があり、アテンダント等において会社とは、自分の属する事業部や上司に留まります。

このため、関係作りとして、まずはアテンダントと直属の上司というミニマムなところから初めて、それを徐々に上に広げていく必要性があります。

そうすることで、いずれ愛社精神に届くものだと思われます。

会社の考えを伝えるのも人であり、使うのも人である以上、人がどうあるべきか、そして人がどのように成長していくか、人間力をどう高めていくのかに最終的には帰結すると思っています。

そうしてエンゲージメントを高めることで優秀な人材を取り逃がさず、離職を防ぎ、主体的に物事を考えて行動するパフォーマンスの高い社員が増えることで会社の生産性も向上すると考えています。

◎会社概要
会社名  :株式会社土屋 https://tcy.co.jp/
所在地  :岡山県井原市井原町192-2 久安セントラルビル2F
代表取締役:高浜 敏之
設立   :2020年8月
事業内容 :障害福祉サービス事業及び地域生活支援事業、介護保険法に基づく居宅サービス事業、講演会及び講習会等の企画・開催及び運営事業、研修事業、訪問看護事業

◎代表プロフィール
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高浜 敏之
1972年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒。大学卒業後、介護福祉社会運動の世界へ。自立障害者の介助者、障害者運動、ホームレス支援活動を経て、介護系ベンチャー企業の立ち上げに参加。デイサービスの管理者、事業統括、新規事業の企画立案、エリア開発などを経験。2020年8月に㈱会社土屋を起業。代表取締役兼CEOに就任。2023年1月には、重度障害者を24時間在宅で支援する重度訪問介護事業所「ホームケア土屋」を全国47都道府県に広げる。ALSなどの難病や重度の障害があっても、望む地域で望む人と安心して暮らせる社会の実現を目指し、日々奔走している。

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