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日本システム企画株式会社

http://www.jspkk.co.jp

〒151-0073東京都渋谷区笹塚2-21-12

03-3377-1106

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ありがとうメッセージ サステナブルな取り組み コラム

経営者が持つべき価値観とは何か? 世界初の防錆技術で社会に利益を。グローバルに展開する起業家の流儀

経営インタビュー
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日本システム企画株式会社/代表取締役社長  熊野活行氏
日本システム企画株式会社/代表取締役社長  熊野活行氏

水処理装置の製造と販売で今や世界的に注目される日本システム企画株式会社(東京都渋谷区)。

今回、同社の代表取締役社長・熊野活行氏にご登場をお願いした。

「社会に貢献したい」その思いを貫く同氏に、新事業に果敢に挑むバイタリティと発想力の源泉について、そして、現代社会における企業のあるべき姿について話をうかがった。

英国バッキンガム宮殿にも採用、世界に市場を拡大する新技術

企業経営の目的は何か。そう問われれば、多くの者が「収益を上げること」と答えるだろう。

ところが、1980年代、日本がバブル景気に浮かれていた頃から社会貢献を目的とし、今や世界から求められる企業へと成長した中小企業がある。東京都渋谷区に本社を構える日本システム企画株式会社だ。

同社が企画・開発・販売を手がける配管防錆装置「NMRパイプテクター」。水道管の大元に取り付けて使用する。

同社の主力製品は、水道管内にある既存の赤錆の進行を止め、新規の赤錆を防止する配管防錆装置「NMRパイプテクター」(以下、パイプテクター)。開発したのは同社の代表取締役社長・熊野活行氏である。

「環境と健康に役立つ商品で社会に貢献したい」そうした思いから生まれたパイプテクターは、しかし、1996年に商品化されるも、世の中から認められるには多くの困難を乗り越えなければならなかった。

それは、いわゆる既得権益との戦いでもあった。

現在、パイプテクターはイギリス、フランス、ハンガリーなど海外において急速に市場を拡大し、導入実績は国内外合わせて3600棟以上にも上る。

取り分け、イギリスでは2004年の国立病院を皮切りに、バッキンガム宮殿、ウインザー城、国会議事堂、ロンドン市庁舎など公的施設を中心に200件を超える導入実績を誇る。

いったいなぜ、日本よりも海外での普及が顕著なのか。その答えを同氏は次のように語る。

「電力も薬品も使わずに赤錆を防ぐ技術は世界初であり、この装置がもたらす恩恵は計り知れません。しかし、独創的かつ画期的な技術だったため、日本ではさまざまな抵抗に遭いました。そこで海外での普及に力を入れるようになったのです」

画期的であるがゆえの障壁

パイプテクターは、配管を切断せず、管の大元に外側から装置をかぶせる形で設置する。装置から発生する特定の電磁波が水の分子と共鳴して「水和電子」を生み、赤錆を黒錆へと変換させる仕組みだ。

赤錆は鉄を腐食させ、水に溶け出すと赤水になる。いっぽう黒錆は「良性の錆」ともいわれ、酸化膜として鉄の表面に付着し、酸素や水から鉄を守る、つまり赤錆防止の効果を発揮するのである。

例えば、赤水が出ている水道管にパイプテクターを取り付けると1カ月前後で赤水は出なくなる。前述したバッキンガム宮殿では長年、赤水に悩まされていたが、パイプテクターを設置してから24日後には水中の鉄分値が152分の1に減少し、その後も水質基準値を維持し続けている。

さて、そこで水道管のメンテナンス事情である。水道管はおおむね20年前後が交換の目安となる。これを放置すると、赤錆によって配管内が閉塞したり、雑菌が繁殖したりするようになる。さらに劣化が進めば、配管そのものが腐食し、赤水の原因となり、水漏れを起こす。

それを防ぐには配管を交換すればいいだけの話なのだが、事はそう単純ではない。

配管設備のほとんどは壁の内部や床下、地中などに敷設されているため、全面交換となれば、大規模改修となり、莫大な費用と工期がかかる。

いっぽう、パイプテクターは建物の耐用年数中であれば、設置後には水道管を取り換える必要がなくなり、費用も取り換え時に比べると給水管は5分の1から10分の1程度、空調・冷温水管では20分の1から40分の1程度で済む。

言うまでもなく、低コストを実現できる画期的な装置なのだが、ここに問題があった。

パイプテクターの普及は既存の業者からしてみれば、改修工事で得られる莫大な収益の損失を意味する。また、建築業界の保守的な体質は、同社のような中小企業の新規参入者を歓迎しない傾向があり、それもネックとなった。

「建設業界には多くの業者や人間が携わっていますから、いざ採用の段階になると、どこからともなく横やりが入り、白紙に戻されました。ときには『詐欺商品だ』と誹謗中傷を受けることさえあったほどです」

そうした中傷に対し、同氏は学術論文を発表するなど科学的原理を提示し続けた。また、2001年には北海道の公設試験研究機関で実証実験を行い、水中の鉄分が4カ月後には3分の1以下に、色度も約3分の1に減少することを証明してみせた。

「徐々に日本でも評価してくださる方が増えました。特に2010年には公共工事などで活用できる新技術として国土交通省が認定する新技術情報提供システム(NETIS)に登録され、あからさまに嫌がらせを受けることも減っていきました」

世界の水道インフラ整備に光を

日本の水道インフラに対する投資のピークはかつての東京オリンピックを機に1970年代に1度あり、90年代にも公共工事増加による第2のピークがあった。

厚生労働省の試算によると、老朽化した水道管の更新費用は2050年までに全国で約59兆円かかるという。もはや既得権益を守り続けていては立ち行かない事情が国や地方自治体にはある。

乗り込むべきは方舟か泥舟か。頑強な既得権益も時代の流れとともに崩れつつある。

「パイプテクターはまさに水道インフラ整備に役立つ技術です。2013年には横浜市水道局が赤錆に起因すると考えられる残留塩素減少の抑制にも効果があると実証実験の結果を発表し、そのことも追い風となっています。これまで日本における設置事例は民間病院やマンションがほとんどでしたが、今後は国や地方自治体の財政負担を軽減する役割も担っていきたいと思っています」

さらに、同社は現在、ロシアの都市環境改善に向けた日露の官民で構成される日露都市環境作業部会のメンバーとして活躍している。

国土の大部分が寒冷気候に属するロシアでは給水管の老朽化が進行しやすく、赤水や漏水が社会問題となっている。その解消策としてパイプテクターが検討されているという。

そのほか、独立行政法人国際協力機構(JICA)における政府開発援助プロジェクトでも老朽化した給水管の延命対策として、導入へ向けた検討が進められている。世界が直面する課題を救う技術として、パイプテクターにはより一層の期待がかけられている。

世界的な特許をいくつも発明した経歴

同氏は根っからの発明家だ。なんと、赤錆を抑制する実験を最初に行ったのは9歳のときだった。

「水の入ったガラス瓶に赤錆びの釘を入れ、そこに電流を流す実験をしました。赤錆を止めるにはどうしたらいいのだろうと考え、我流で行った実験です。赤錆は止まりませんでしたが、その頃の他愛ない遊びがパイプテクターの開発につながったのかもしれません」

さらに驚かされるのは経歴である。起業する以前は大手印刷会社で包装資材などの開発を手がけていた同氏。そこで世界的な特許をいくつも発明しているのだ。

例えば、コーヒーミルク用のポーションパックなどに使われるイージーオープン容器やハムなどに使われる真空スキンパックは、食品酸化防止として、今日では世界中の誰もが利用する包装資材。これは同氏の発明によるものである。

当然、将来を期待されていたのだが、30歳を前に退社の道を選んだ。その理由を尋ねると「利益目的ではなく、企業活動そのものが社会貢献となる、そんな会社を作りたかったんです」と同氏。

熊野活行氏

お金よりも大事なこと。経営者が持つべき価値観とは?

そこでひとつの疑念が湧く。社会貢献を理念として掲げる企業はごまんとある。

しかし、それはあくまで理念であって、現実は収益を生み出すことが企業の目的ではないのか。事実、多くの企業がそうやって成長を遂げてきたはずだ。

「もちろん収益は大切です。ただ、それは組織の維持発展のための条件であって、目的ではありません。弊社を設立したのは1988年のことです。バブル経済が過熱する中で企業は本業を忘れ、証券や不動産の投資に奔走していた時代です。

結果、どうなったでしょうか。国も企業も銀行も多額の負債を抱え、20年以上も経済が停滞してしまいました。当時、経営者を集めると口々に『社会貢献が大切だ』と言っていました。では、具体的にどんなことをするのかと問えば、『納税が社会貢献だ』と言う。

つまるところ、税金を納めるための利益さえ出せれば何をしてもいい、そんな風潮が日本中に蔓延していたのです。私はそれに強い違和感を覚えました。ですから、弊社が大切にしていることは、今、行っている事業が果たして社会に役立っているのかどうかという視点なんです」

実は、グローバルに活躍する起業家ほど社会貢献に心血を注いでいる。よく考えれば、それは当然のことで、金儲けだけが目的の企業が異国の地で歓迎されるはずがない。

また、理念だけが立派でも本音を見透かされ、いずれ現地での活動は失敗に終わる。CSR(企業の社会的責任)の意識が高い欧米では社会貢献と収益性が両立できるビジネスモデルを構築する取り組みが現在、広まりつつある。

「最近、資本主義の限界を唱える方がいます。私は資本主義が悪いとは思いません。問題は利益さえ出れば環境や健康や他人の幸せは二の次でいいという倫理観の欠けた経済活動にあります。企業のさまざまな不祥事もお金に目が眩み、自己利益を追求した先に起こるものです。

本当はお金よりももっと大事なことがあるはずなのに、そこに目を向けられない日本の企業の多さに悲しさを感じます」

類いまれなる発想力はどこから生まれるのか?

商品化から20年以上が経ち、ようやく日の目を見るようになったパイプテクター。同氏はこれまでの長い道のりにどんな思いを抱いているのだろう。

ところが、そんな感慨に耽る間もなく、次なる社会問題への解決に着手しているという。

「日本は労働人口が減少し、国力がどんどん失われています。それにも関わらず、高齢者が増え、社会保障もままならない状況です。そこでパイプテクターの技術を応用した血液還元装置『NOMOA(ノモア)』を奥羽大学と共同で開発しました。

これは特定の電磁波を指に照射することで老化やがんなどの原因の1つとされる血液の酸化を抑制する装置です。これを実用化できれば、新卒後約40年である定年退職までの労働可能年数を60年に引き上げ、労働人口を1・5倍にし、国力を活性化させる一助になると考えています」

奥羽大学薬理部と共同で開発した「NOMOA」(ノモア)。使用方法は、指(どの指でも可)を10分間装置に入れるだけ。

NOMOAは世界で初めて世界臨床薬理学学会で血中の活性酸素の減少に成功し、研究結果を発表した。現在、医療機器認定の取得を目指している段階だという。

さらに同氏は東日本大震災以降、海流発電の開発にも取り組んでいる。これは海流の運動エネルギーを電気に変換させる発電方法で、同氏いわく、「黒潮海流を利用することで、日本の消費電力のすべてをまかなうことが可能となる技術です」と語る。

これまで水路などで実験を重ねてきたが、今年は海での実証試験も実施する予定だ。

こうしたアイデアやバイタリティはいったいどこから生まれるのだろう。すると同氏はある心情を打ち明けた。

「日本が惨めになることが嫌なんです。日本の一朝有事の際には被害を最小限にする知恵や手段を用意しておきたいと真剣に考えています」

社会に貢献したい、同氏にとってその思いこそがアイデアの源泉であり、原動力である。きっと、同社が利潤追求を目的とした企業であったなら、今日のような成功は成し得ていないのではないだろうか。

ひとつの既得権益が去ったあと、その座席には新たな既得権益が鎮座するものだ。しかし、同氏は社会的意義が存在しない限り、単なる座席争いのゲームに参加することはない。

泥舟にしがみつくよりも、社会から求められる新たな方舟を創造すること。

水を入れた空き瓶に赤錆びの釘を沈めた少年時代のように、同氏は今も無垢な気持ちで、日本が直面する新たな課題に挑み続けている。

◎プロフィール
熊野活行(くまの・かつゆき)氏
1949年、東京都出身。東京理科大学工学部工業化学科卒業後、大日本印刷株式会社入社。1988年日本システム企画株式会社・日本ヘルス食品株式会社(現日本ヘルスケア株式会社前身)を設立し代表取締役社長に就任、現在に至る。日本モンゴル友好交流協会と日本ミャンマー友好交流協会の両会長を務める。

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※本記事は、2017年6月に株式会社Sacco運営のメディア、BIGLIFE21で掲載した記事を再構成して転載したものです。

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