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カナダ、金融機関に多様性情報の開示義務付け DEI後退の米国とは対照的

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カナダはDEI推進

カナダ政府は2月14日、銀行や保険会社などの金融機関に対し、取締役会や上級管理職における多様性情報の開示を義務付けると発表した。この新規則は政府官報「カナダ・ガゼット」で公表され、金融業界の透明性向上と多様性促進を狙う。

AFPやBARRON’Sが伝えるところによると、今回の措置により、金融機関は毎年、取締役会や経営陣における女性や可視的マイノリティー(非白人の有色人種)、先住民族、障害者の割合を報告しなければならない。

カナダ政府は「多様性は金融業界の発展に不可欠であり、カナダの価値観を反映するものだ」と強調している。

米国のDEI撤退と対照的な動き

この新規則は、米国のドナルド・トランプ大統領が推し進める「多様性・公平性・包括性(DEI)」プログラムの撤廃方針とは対照的。トランプ大統領は選挙期間中からDEI政策の廃止を公約に掲げており、現在の政権は連邦機関のDEI施策を取りやめる動きを加速させている。

米国では2020年のジョージ・フロイド氏の事件を契機に、多くの企業が多様性推進を進めた。しかし、近年は一部の企業がDEI方針から距離を置き、政治的な対立を招く要因となっている。一方、カナダは企業の透明性を高めることで、多様性の確保を進める姿勢を明確にした。

カナダの金融機関、年次報告が義務化

カナダ政府の新規則により、16の金融機関が対象となり、毎年の多様性情報開示が義務付けられる。これは、すでに通信事業者や航空会社、鉄道会社などの連邦規制対象企業に適用されている規則と同様の内容だ。

カナダの証券規制当局の多くは、上場企業に対し取締役会や経営陣のジェンダー多様性を公表することを求めており、新たな規則はこれをさらに拡大する形となる。政府のデータによれば、2023年時点でカナダの企業取締役会の59%が少なくとも1人の女性メンバーを擁し、27%が可視的マイノリティーのメンバーを含んでいた。上級管理職における女性の割合は29%、可視的マイノリティーの割合は13%にとどまっている。

今回の規制強化により、金融機関の対応がどのように進むかが注目される。カナダ政府は、これらの施策が企業の成長と持続可能性につながると期待しているが、実際の成果は今後の開示情報を基に判断されることになるだろう。

SNS上の反応

この発表を受け、SNSではさまざまな意見が飛び交っている。

「民主党支持者はカナダに移住だ!」と、アメリカ国内の多様性推進派の間ではカナダの取り組みを称賛する声がある。一方で、「トルドーはトランプを刺激するのが上手い。こりゃ経済戦争はしばらく続きそうだな」と、今回の動きが米国との摩擦を生む可能性を指摘する声も見られる。

この規則が今後、米加関係や金融業界にどのような影響を与えるのか、引き続き注視する必要がありそうだ。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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