2023年5月に一般社団法人化されたサステナブルコミュニティ。
これまでサステナブル関連の情報交換やビジネスマッチング、各種勉強会を開催してきたが、社団法人化後はじめてとなる有料サロンイベントを開催したということで、その内容についてサステナブルコミュニティより寄稿してもらった。
サステナブル交流会開催の背景
これまでサステナブルコミュニティでは、オンライン上を中心に有志で勉強会などのイベントを開催してきましたが、コミュニティが法人化したことに伴い今後はコミュニティが運営する小規模の有料サロンやイベントを開催していくという計画をたてました。
今回はその第一回という位置付けですが、コミュニティ内で直近上場企業の社外取締役や監査役に就任した女性が増え、その方々の就任した背景やどのようなスキルセットがあるとよいのか話を聞きたいという会員の声が多かったことが今回開催した背景となります。
開催当日は、将来的に社外取締役や監査役などのポジションで企業への参画を考えている20名ほどのコミュニティ会員の方々に参加いただきました。
今回の講師お二人の現職については以下の通りです。お二人には現職での業務内容や就任の背景を伺いました。
– 浜辺氏
浜辺真紀子事務所 代表
株式会社 大塚商会 独立社外取締役
日本マクドナルドホールディングス株式会社 社外監査役
– 斉木氏
株式会社パレスサイドコンサルティング 代表取締役
株式会社PRAS 取締役
株式会社ファンドクリエーショングループ 社外取締役
ビットバンク株式会社 社外取締役(監査等委員)
一般社団法人サステナブルコミュニティ 理事
社外取締役に求められるもの
第一部では浜辺氏からご自身のバックグラウンドと共にコーポレートガバナンスの原則部分についてのレクチャーがありました。
現職に至るまでに大手金融機関や大手事業会社を中心にキャリアを構築されるなかで、自身が所属する男性上位主義の事業会社内での昇進に限界を感じたので ”内階段ではなく外階段を使った” という言葉が参加者の胸に刺さっていたようです。
また、浜辺さんは事業会社のIR業務を通じて、株主との対話・コーポレートガバナンスへの知見が深まったため、自然と社外取締役を目指すようになったとお話しています。
社外取締役への転機は浜辺さんが57歳での転職活動ということで、当時のことを下記のように振り返っています。
- 社外取締役になるためには、「経営経験」が必須であると考えた
- 「経営経験」を自身のキャリアで明確にするため、「役員」として迎えてくれる会社を探して転職活動
→ リクルーターは「社員」での転職を勧めたが「役員」に固執
→ 「執行役員」として転職した先で「定量的な成果」を出して退職・独立
→ 複数社の社外取締役に
あえて役員という役職にこだわって転職活動をしたことで道が拓けたということです。
ここで参加者の皆さんへの重要なアドバイスは「高い視座と広い視野を持ちつつ、自己評価を正しく行う」ということでした。
特に女性はアンコンシャス・バイアスにより自己評価が低くなる傾向があるため、自信を失った際には同僚や上司、メンターとなる人にも自分の評価を聞いてみることを推奨していました。
次に、コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方や「そもそも会社は誰のものか」という前提部分を参加者にレクチャーした後、社外取締役に求められている部分について経産省の社外取締役ガイドラインを引用しながら解説いただきました。
社外取締役を目指す方へのアドバイス
続いて斉木氏より社外取締役を目指す方へのアドバイスとして以下の5つを紹介いただきました。
社外役員を目指す方へ5つのアドバイス
①自分のスキルマップを作ってみる
絶対評価ではなく相対評価で自分は何に秀でているか、どの領域なら専門家といえるのかスキルの棚卸しをしてみましょう。
②一社目の壁は自分で乗り越える
経産省のデータによると東証一部・二部上場企業の社外取締役のうち、69%は初めて社外取締役に就任しているというデータがありますが、それは一部の経営者 ・士業・アカデックバックグラウンドの層に集中しており、ビジネスバックグラウンドの経験をもとに就任する際はよほど著名人ではない限り一社目の壁が大きいです。その壁を乗り越える第一歩として社外役員に特化した人材紹介エージェントに登録してみることで企業の候補者リストに入ることが大事です。
③社外役員に求められる内容は多種多様だがトレンドを踏まえてリスキリング
例えばプライム上場企業とIPO準備中のスタートアップでは社外役員に求める部分が大きく異なりますし、現ボードメンバーでどの領域を充足 しないといけないかは個社毎に異なりますが、人材紹介会社と情報交換するとニーズが高い専門領域がみえてくるので、世の中 のニーズに合わせてスキルをリスキリングしていくことも重要かと思います(例:DX、D&I、人的資本、海外投資家との対話、AI活用など)。
④報酬や肩書きを目的としない
たまに社外取はタイパがよいとか楽に稼げるという言い方をする方がいますが、役員報酬を生活の糧にすると対等な意見を言いづら くなったり肩書きにしがみつくことにつながるので社外役員を専業とすることはお勧めしません。
⑤最初に業務委託や顧問などで経営陣と関わってから就任することを推奨
社外役員に就任して最も不幸なことは、経営陣と相性が合わなかったり意見をしても聞く耳を持ってもらえず存在価値が出ないことです。周囲で就任後に良好な関係を築けている人は社外役員就任前に業務委託契約などで数ヶ月間、経営陣壁の打ちや事業支援で関わって社長の人柄や組織風土を理解してから就任というケースが多く、私もそれが好ましいと思います。
<さいごに>
サステナブルコミュニティでは今後も定期的な勉強会の他にこうした少人数のサロンや社会科見学など多数のイベントを企画しております。
連携をご希望される企業や参画にご関心のある個人の方につきましては下記フォームよりご連絡ください。
https://sustainablecom.notion.site/365ad70ddbeb42b99542335e4559ea6e?pvs=4
◎執筆者情報
名称:一般社団法人サステナブルコミュニティ(略称:サスコミュ)
本店:〒103-0027 東京都中央区日本橋3丁目2番14号 新槇町ビル別館第一 1階
代表理事:山路祐一、山本梓
設立: 2023年5月
事業内容:
– コミュニティ運営
– サステナビリティに関する普及啓発および推進
– 上記に関するイベント・セミナーの開催
– 上記に関する企業や教育機関など団体等との連携と協力
– その他当法人の目的を達成するために必要な事業 等
WEBサイト:https://sustainablecom.org/