大塚実業株式会社は、日本に数社しかない「ろ過布」を製造するメーカー。ろ過布とは生地(繊維・織物)で作られたフィルターで、大塚実業では製織から加工まで一貫製造を行っています。その製造工程のコストダウンや新製品開発のコンサルティングを行っているのが、株式会社シードパートナーです。
大塚実業はシードパートナーのコンサルタントである元大手電気機器製造業のエンジニアの渡辺さんや浜田さんを顧問に招き、課題解決に取り組んできました。今回は、シードパートナー永沼代表もその経営姿勢に感化されるという大塚実業代表取締役 大塚雅之さんに、シードパートナーと共に歩んできた内容や、その過程で感じてきたことなどについて伺いました。
お客さまがより性能を理解しやすい独自の性能評価手法を構築
──初めに、永沼さんから御社にメッセージをいただいているのでご紹介します。
「長期間、お付き合いいただいて本当にありがとうございます。大塚実業さんは、ろ過布の専門メーカーであり、高い技術力で製織から加工までをワンストップで行っている栃木県の会社になります。製造の工程の中で課題があったので、コストダウンに寄与するからとご契約いただきました。
製造業の経営者は、事業の性質上、今を守るのに必死で、性格としても攻めるよりは守りを重視する方が多い傾向があります。そういった業界の中で、大塚さんは稀有な存在で、明るく、前向きな方です。お話すると、事業の展望や未来の青写真の話をいつも聞かせてくださいます。それも会社を大きくしたいんだという話ではなく、『いい会社』にしたいんだということを強調される。私としては、いつも前向きな話を聞かせていただけるので、元気をもらえます。
海外進出という新しいチャレンジのフェーズに入り、壁はたくさんあると思います。海外での事業を知っている身として、この壁を乗り越える力になれることがあれば、ぜひ伴走させてもらいたいと考えております」
株式会社シードパートナーの記事はこちらからも読むことができます!
──そもそもシードパートナーさんとはどのようにして出会ったのですか。
私は、一般社団法人 公益資本主義推進協議会(PICC)で東京支部長を務めています。PICCは、公益資本主義を全国に広め日本古来からの王道経営を行うことで諸外国から尊敬される日本をつくろうと活動する団体ですので、志の高い方々が参画しています。その中に、外国人技能実習生の受け入れを行う協同組合ネクストステージ・ジャパン(NSJ)の理事長がいらっしゃいました。永沼さんはNSJの理事も務めておられるので、同組合の理事長を通して出会いました。
──シードパートナーさんには、具体的にどのような相談をされたのですか。
最初は海外進出の相談がきっかけだったのですが、よくよく話を聞いていたら、まだ弊社では海外進出までに時間が掛かるというが分かりました。その話し合いの過程で、実は渡辺さんや浜田さんのように有能なエンジニアの方々もいらっしゃるということを知り、弊社でボトルネックになっていた製造工程の技術的な相談をするようになりました。
まず、弊社で考えた製造技術についてシードパートナーさんに調査していただいたら、既に特許が取得されていることが分かりました。そこで、特許に抵触しないような形を検討していたところ、しばらくしたら、パテントを持つ会社側から提携を持ち掛けられたのです。もちろん喜んで、その技術のさらなる改良・改善を進めることになりました。そこでは、渡辺さんのご協力を得て進めていきました。
また、製品の性能評価などの検証データを取得する際には、弊社の中では主にJIS規格などでの評価を採用してきました。しかし、シードパートナーさんは、弊社独自の評価手法の構築を支援してくださり、その結果、新しい評価手法が見つかりました。その評価手法があると、お客さまがより製品の性能を理解しやすいのです。これには大変助かっています。
技術的なハードルを越え、新たな一歩を踏み出させてくれた存在
──永沼さん、渡辺さん、浜田さんには、それぞれどのような印象をお持ちですか。
永沼さんは堅調な方です。知識も豊富で、どのような状況にも対応できると思いますので安心して見ています。
渡辺さんと浜田さんは、2人とも大手電気機器製造メーカーのエンジニアだった方ですが、タイプが違います。渡辺さんは進め方や段取りが上手です。そして大変パワフルな方です。もう70歳手前だと思いますが、お住まいの山梨県から栃木県にある弊社まで車で来てくれるのです。
浜田さんはプロセスを作ることが得意な方です。また、私たちからすると大変なことでも、何気なくさらっとこなしてくださいます。例えば、繊維の断面図が見たいという要望があったとき、顕微鏡写真の撮影業者に依頼すると数万円掛かるのでどうしようかと思案に暮れていたところ、浜田さんはお金も掛けずに自分で撮影して持ってきてくれたことがありました。いったい、どうやって撮ってくださったのか、びっくりしたのを憶えています。
渡辺さんと浜田さんはいろいろな知見をお持ちですので、相談させていただく際のアドバイスの的確さはもちろんですが、普段何気なくお2人と話しているときでさえ学びの時間になるのです。
──御社にとってシードパートナーさんはどのような存在ですか。
今は弊社を支えてくださっている一角といえるほどの存在です。先ほど述べた性能評価制度もしかりですが、シードパートナーさんがいなければ、私たちが悶々と思っていたものを具体化することはできなかったでしょう。
弊社では新たな一歩を踏み出そうとしていたのですけれども、「これは難しいだろうね。こういう装置は高いしね」と悩んでいた課題があり、どうしてもその先に進めませんでした。
そのハードルを越えさせてくださったのがシードパートナーさんです。技術的には渡辺さんや浜田さんが支援してくださいます。そして、2人のような有能な技術者と弊社をつないでくれたのが永沼さんです。とても感謝しています。
シードパートナーに今後期待すること
──シードパートナーさんに伝えたいメッセージをお聞かせください。
永沼さんに聞いてみたいことは、なぜフィリピンでの日本語学校しか展開しないのかなということです。あれだけのスキルとバイタリティーがあれば、ベトナムでもミャンマーでもラオスでも、切り口はいくらでもあると思うのです。アジア全域で日本語学校を運営し、優秀な人材を輩出してくれるようになったら、と期待しています。
そして、もっといろいろなことを教えていただきたいと考えています。社内研修もご依頼したいのですが、弊社だけではなく他社でも技術支援をされていらっしゃいますので、工数的になかなか難しいのではないかと思います。
ですから、もし可能であれば、事業課題にどう取り組むべきかを顧問の方たちが解説していくオンデマンド配信に近いような動画を作っていただけるとありがたいですね。本当にスキルの高い顧問の方たちがいらっしゃる組織なので、様々な領域に対応できると思うのです。中小企業の課題はある程度類型化できると思いますので、例えば、財務の基礎情報、研究開発、プロセスなど、いろいろなジャンルの講座を用意いただけると、我々事業者にとってはありがたいですね。こういう動画があると、シードパートナーさんの営業にも効果があるのではないかと思います。
本当に大変お世話になっておりますので、これからもお付き合いのほど、よろしくお願い致します。
<企業情報>
大塚実業株式会社
https://www.ohtsuka-jitsugyo.com/
本社/本社工場 〒326-0338 栃木県足利市福居町1745-1
東京支店 〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-4-8
大阪営業所 〒530-0044 大阪府大阪市北区東天満1-10-15
設立:1973年3月6日
代表者:大塚雅之