ドローンや独自開発のトンネル点検車「MIMM(ミーム)」など、最新鋭の技術を駆使して大規模な構造物を破壊せずに検査する計測検査株式会社。
技術サービスを提供する企業でありながら、10年以上にわたり株式会社プリサージュの代表佐野昭子さんの各種研修を通してホスピタリティ意識の醸成を図ってきた。
「強くて愛される会社」を目指す同社の総務部長平嶋朱美さんに、佐野さんとの出会い、プリサージュの研修を経て社内に起きた変化、そして両社の関係性の今後について語っていただいた。
北九州発のインクルーシブなオンリーワン企業、最新鋭技術でインフラを守る
平嶋
当社は、北九州市に本社を構え、横浜市、茨城県神栖市にも拠点をおいて、各地のインフラ構造物やプラント、機械設備などの耐久性の測定、画像やレーザでの計測・調査を行っています。
中心となる部門は、プラントなどの構造物のきずを非破壊検査で検出する「検査部」、橋梁や鉄道車両などの調査・計測を行う「計測部」、トンネルなどのコンクリート構造物の画像計測やレーザ計測などを行う「調査部」の3部門。
さらに、劣化診断などを行う「解析G」、ソフト開発などを行う「開発室」が連携して、幅広い技術サービスを提供しています。
中でもトンネル点検については、交通規制することなく車を走行させながら点検できるトンネル点検車MIS&MMS(Mobile Imaging Technology System&Mobile Mapping System)、通称「MIMM(ミーム)」を三菱電機株式会社と共同開発し、導入しているオンリーワン企業です。
ここ数年は特に、AIやロボット、デジタルを使った検査への移行に注力しています。現在はかなり普及してきているドローンを使った検査もいち早く手掛けており、豊富な実績を誇ります。
御社の社員の皆さんの様子を拝見していると、風通しが良く働きやすい雰囲気を感じます。
平嶋
まだまだ発展途上ながら、従業員全員で部門横断的に「ありがとう」の輪づくりに取り組んでいるところです。
制度面でも、私が入社した当時と比べると産休取得や復帰後の時短勤務もしやすく、その人に合わせた柔軟な働き方ができる会社になっていると思います。
当社は、障害のある人の事業所とも連携していて、一人ひとりの体調面や集中力に合わせた多様な働き方を推進しています。
就労支援サービスの実習の受け入れや障害者雇用も積極的に行っており、連携事業所で作られたお菓子の社内販売もしています。
また、新入社員は必ず障害者施設で研修を受けており、インクルーシブな職場環境づくりに努めています。
当社が目指している在り方は、「強くて愛される会社」です。「強さ」はつまり、財務基盤を含め成長できる会社であり続けること。「愛される」は、シンプルにいうと従業員満足度の向上です。
「『強さ』と『愛される』の両輪を満たさずして会社の成長はない」という考えのもと、さまざまな取り組みを進めています。
株式会社プリサージュの佐野昭子先生の研修で教わるホスピタリティ意識は、その中枢となる考え方だと捉えています。
ホスピタリティ意識の醸成から派生した効果とは
株式会社プリサージュの代表佐野昭子さんからメッセージをお預かりしてます。代読しますね。
計測検査さんには、新入社員研修とフォローアップ、管理職研修や女性特化研修などを長年ご依頼いただいております。社長も総務部長の平嶋朱実さんも、とても素晴らしいお人柄の方々です。
平嶋さんとは、勉強会仲間の株式会社リョーワの田中裕弓社長に北九州の企業の合同新人研修会を依頼されたことを機に知り合い、それ以来のご縁です。もう10年以上になりますね。
平嶋さんは、とにかく社員に対してとても暖かい想いを持っておられる方です。真面目に仕事をこなすと同時にとても優しくて、真摯に自分を高めようと自己啓発の勉強会にも熱心に足を運ばれています。
平嶋さんに引っ張られて人事部が成長し、社員もそれを見習って会社全体がホスピタリティにあふれているような状態です。
1回の研修だけで人が育つものではありません。研修をきかっけに、管理職の指導も含め、どれだけ会社の中で社員を育てていけるかが大切になってきます。
計測検査さんは、社員の皆さんもホスピタリティにあふれていて、素晴らしく育成ができていると思います。
平嶋さんにはずっと頑張って成長していただきたいですし、私の助けにもなっていただきたい。これからも、お互いに切磋琢磨して成長していきましょう!
平嶋
佐野先生とは本当に長いお付き合いで、初めてお会いしたときのことは鮮明に覚えています。
先生と出会うまで、実はビジネスマナーのことはまるで分かっていなくて、「名刺交換すらしっかりできない」と、恥ずかしく思った記憶が残っています。
以来、「先生のようになりたい」という想いで、先生をロールモデルのようにしてここまで歩んできました。それでも全然及ばないですけど(笑)。
佐野先生とは、研修講師と顧客企業の一社員という関係性を超えて、勝手に「心の友」だと思っています。
私に孫が生まれたときにはお祝いしていただいたり、季節の変わり目には絵葉書のやりとりをさせていただいたりと、心温まる交流が続いていることに感謝しています。
先生のように継続して優しさを届けられる方は、なかなかいません。
本当にすごい。「今の私があるのは、先生がいるから」と声を大にして言いたいくらい、感謝しかないです。私、お世辞はあまり得意ではないので、心からの本音です!
素敵な関係性ですね。先ほど仰っていた「強くて愛される会社」づくりに向けて、佐野先生の研修も一役買っておられるのでしょうか?
平嶋
「強くて」の部分、すなわち技術力向上に関しては、一昨年頃から社内で社員が講師になって学びの場を作ったり、オンラインを活用して講義を行ったりしています。
技術サービスの会社である以上、自分の部門だけでなく他部門の技術も学び、自らを成長させていかなければ、人生100年時代に対応できません。
個人の成長は、ひいては会社の成長にもつながり、会社を「強く」します。
それよりもずっと前から取り入れてきた研修が、佐野先生の研修です。研修を通してホスピタリティ意識の醸成を図ってきたことで、ホスピタリティから派生したプラスの効果が多々あります。
社内の全員が実際にホスピタリティを実践できているかというと、必ずしもそうではないです。
しかし、同じことを先生から学んでいるので、ホスピタリティを軸とした共通の意識をベースに考えることができます。
特に、女性のメンバーが多い事務職では顕著な変化が見られました。佐野先生の研修を通して、「自分がどのように成長していくべきか」を改めて考え、意識できるようになったのだと思います。
私自身の意識も大きく変わりました。私は、20歳で一般事務職として当社に入社、産休を取りながら2人の子を生み育て、30代前半で一旦リタイヤしました。
8年ほど会社から離れて、11年程前に戻ってきたかたちです。その間、会社では総務担当、経理担当を経て、今は総務から財務関係まで広く任されています。
佐野先生との出会いは、2012年に外部のホスピタリティ研修に参加したときのことでした。
ホスピタリティを中心に据える先生の研修は、当社の社風にも馴染みましたし、私自身も強く共感しました。最初に先生の研修を受講したときは、「これだ!」という手応えがありましたね。
新人研修から女性研修まで通底するホスピタリティの心
個人的にも衝撃的な出会いだったのですね。以来、10年以上にわたり佐野先生に研修を依頼されている理由は、どのようなところにあるのでしょうか?
平嶋
佐野先生にお願いするまでは、新入社員研修に講師を呼ぶことはしていませんでした。社内規定をある程度定めていて、それに則って進めていましたから。
しかし、会社で働くということは、もとをたどると知識云々よりも第一に「人と人との交わり」です。そこで一番大切になってくるのが、まさしくホスピタリティの心。
佐野先生は、「ホスピタリティ」を中心に据えた研修をされているので、そんな先生にしっかりと教えていただきたいと思い、2014年から当社単独で先生に新人研修をお願いしました。
以来、フォローアップ研修、営業研修、女性研修などを定期的にお願いしています。
佐野先生は、大学でも教鞭をとっておられますね。学生さんたちと年齢の近い新人研修の受講者の皆さんの反応はいかがですか?
平嶋
やはり、若い人たちにお話しすることに長けていらっしゃいますし、先生の言葉は新入社員にもすっと届くようです。
新入社員は、社会人になって社会の厳しさに直面します。皆さん緊張の面持ちで入社してきますが、そんな新入社員の皆さんも、素晴らしい先生から学ぶことで自信をつけてくれます。
当社としても、「手探りで自己啓発せずとも、佐野先生の研修がありますよ」と、安心して入社してもらうことができます。
女性研修も非常に意義深いです。技術サービスを事業内容とする当社は、まだまだ女性が少なく、男性社会であることは否定できません。
その中でどう女性が前に進んで行ったらいいか。先生の女性研修では、そんな観点から自分を見つめ直すことで、とても良い気付きを得られます。
また、女性研修ではカラー診断なども取り入れて、一人ひとりに似合う色を教えてくださるなど、楽しくユニークな面もあります。
佐野先生には、日頃からふだんの服装や何気ないことをいろいろ聞かせていただいて、一人の女性としても良き相談相手です。
これまで聞いたことはないですが、人生100年時代に向けて、佐野先生が一人の女性として、そしてプリサージュとして、どんな未来を描いておられるのか、いつか伺ってみたいですね。
「自分のことが好きですか?」、自己を客観視し価値観を明確化する研修
佐野先生の研修で、特に強く印象に残っていることはありますか?
平嶋
価値観研修が印象に残っています。
やはり、価値観を客観的にあぶり出して可視化するという営みは、自分一人でなかなかできるものではありません。研修でそんな機会を得られたのは、大変ありがたかったです。
価値観研修では、「何に価値を置いているか」を自分に問い、「それが自分のなりたい将来像にプラスなのかマイナスなのか」、「弱点をプラスにするために、どんなことにどう取り組めばよいか」を探ります。
私にとって、これは大きなプラスになりました。
自分の中に「価値観」、「ありたい姿」があることを知った上で、そこに到達するために足りない部分を可視化したことで、弱点を克服できました。
「自分のことが好きですか?」と問われて挙手を求められたことがありましたが、振り返ると、自分を客観視する糸口になる良問だったとしみじみ思います。
平嶋さんの人生を変えたといっても過言でない研修だったのですね。ずばり、御社にとってプリサージュないし佐野先生とは、どのような存在ですか?
平嶋
厳しさの中に人への優しさがあり、真の意味でのホスピタリティを体現されている存在です。佐野先生は、非常にきちんとされた方で、研修内容も決して甘くないです。
先生が来られる日は社内でも「背筋が伸びるね!」と言い合っているほど。でも、厳しさの中から自然と心の優しさが伝わってくるのです。
ホスピタリティ研修はどんな企業にとっても不可欠な研修だと思います。ホスピタリティの意識が欠けている企業にこそ、先生のような方が必要です。
先生のホスピタリティが、研修や大学での授業を通じてどんどん広がっていくことを願っています。
「健康でより良い人生を歩んでほしい」人事担当者の願いに伴走
最後に、今後プリサージュとの関係をどのように発展させていきたいとお考えですか?課題も含めお聞かせください。
平嶋
これ以上ないほど良くしていただいておりますので、「感謝」の一言に尽きます。今後も引き続き伴走していただければありがたいです。
これからは、世の中の流れとともに強調してほしい部分や追加していただく内容が出てくるかもしれません。都度内容をアレンジしていただいておりますので、今後も同様にご相談させていただきたいと思います。
私自身、残すところ5年で定年を迎えます。人事担当者としては、平均寿命が延びている社会において、社員の皆さんに健康でより良い人生を歩んでほしいという想いが一番にあります。
ただし、何もせずして「健康でより良い人生」は得られません。学び続けることがキャリアプランにつながります。また、人生を全うするには、お金の考え方、ライフプランの立て方も学ぶ必要があります。会社として、社員がキャリアプランを築き、ライフプランの立て方を学べるよう、できる限りの機会を提供していきたいです。
また、年に1回の従業員満足度調査を実施しています。これまで2回実施しました。
1回目の調査では、「気を付けたいところ」が浮き彫りになったので、それをどう改善できるか部ごとに全員でディスカッションし、「翌年取り組むこと」を明確化しました。その上で経営方針、事業方針、各個人の方針へと落とし込み、取り組んできた結果、2回目の調査では満足度が上がっていました。
今年もディスカッションを終えたところなので、次の年に向けてPDCAを回しつつ、「強くて愛される会社」像に近付いていきたいです。
私自身も、引き続き学び続けながら豊かな人生を全うしたいと思っています。佐野先生には、これからも末永くお付き合いいただければ嬉しいです。
両社もお二人も、良い意味で緊張感のある素敵な関係性を築いておられるのですね。ホスピタリティを軸にした御社の発展にも期待が膨らみます。本日はありがとうございました。
◎企業概要、事業内容などを箇条書きで記載。
・社名:計測検査株式会社
・代表者:代表取締役 坂本 敏弘
・本社所在地:〒807-0821福岡県北九州市八幡西区陣原1丁目8番3号
・TEL:093-642-8231
・FAX:093-641-2010
・設立:1974年11月1日
・従業員数:132名(2022年4月現在)
・営業種目:非破壊検査、材料評価、構造解析、振動測定、土木計測、応用測定、環境関連計測、トンネル等コンクリートの構造物健全度調査、映像機器の販売および選定に関するコンサルタント業務、撮影、映像機器などの取付治具の設計・製作・販売、撮影機器を用いた各種構造物の検査、維持管理に関するコンサルタント業務。
◎プロフィール
平嶋朱実(ひらしま・あけみ)
計測検査株式会社総務部長