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サニーサイドアップとジャニーズ・藤島ジュリー恵子氏、謝罪動画失敗から崩れた信頼 訴訟の舞台裏

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藤島ジュリー景子氏が信頼を寄せた“広報の右腕”次原悦子氏

サニーサイドアップのHP
サニーサイドアップのHPより

旧ジャニーズ事務所による性加害問題の謝罪対応をめぐり、長年その広報を担ってきた株式会社サニーサイドアップグループ(SSU)と、その代表取締役・次原悦子氏が関与した訴訟が波紋を広げている。

元社員が起こしたこの訴訟の詳細は、2025年7月13日に週刊文春電子版に詳しく報じられた。この裁判は、単なる報酬未払いではなく、広報主導の危機対応体制が崩れていく過程、そして女性経営者同士の信頼の揺らぎを浮き彫りにしている。

 

“動画のみで謝罪”という初動戦略が生んだ逆風

報道によれば、旧ジャニーズ事務所は当初、藤島ジュリー景子氏による「動画一本のみ」の謝罪をもって一連の問題に対応しようとしていた。この方針は、当時広報を担っていたサニーサイドアップと次原氏が主導したもので、危機管理の「演出」として意図されたものだった。

だが、被害者や世論の強い反発を受け、広報主導の戦略は大きく失敗に終わった。これにより、ジュリー氏の信頼の重心は、次第にPRチームから弁護士サイドへとシフトしていく。詳しくは文春の記事を読んでいただきたいが、次第に次原氏のジャニーズにおける影響力は後退していったようだ。その後、謝罪会見などの対応は弁護士などの法務チーム主導へと移行し、プロジェクト内でのサニーサイドアップの立場は相対的に弱まっていく。

 

支払い金額の変化と関係の冷却

その余波は、契約と報酬にも及んだ。文春報道によれば、当初サニーサイドアップ側が提示した元社員A氏への業務委託報酬は、3カ月間で税込2,574万円とされていた。しかし、ジュリー氏側との関係が冷却化していく中で、ジャニーズ側からSSUに対し「支払いの減額交渉」が行われたのではないかと文春報道の行間から読み取れる。

なぜなら、元社員Aに当初、実際に支払われたのは682万円にとどまったためだ。契約書には2,574万円と明記されていたにもかかわらず、金額が一方的に減額された形となり、A氏が返金のうえで訴訟に踏み切ったのが今回の裁判である。

裁判所は、A氏の訴えをほぼ全面的に認め、契約書記載通りの金額の支払いをサニーサイドアップ側に命じた。

 

サニーサイドアップとは 「たのしいさわぎで、世界を変える」

この訴訟の舞台に立たされた株式会社サニーサイドアップグループ(SSU)は、創業以来PR業界の枠を超えた独自の事業展開で知られてきた企業だ。

「たのしいさわぎで、世界を変える」というスローガンのもと、企業の広報支援だけでなく、アスリートや文化人のマネジメント、大型商業施設やスポーツイベントのプロデュース、人気キャラクターIPのブランディング、さらにはSDGs・ダイバーシティ推進イベントや飲食ブランド「bills」の運営など、多角的な活動を展開している。

このような柔軟性と機動力こそがサニーサイドアップの強みだが、今回の一件では、その「何でも引き受ける」スタイルが、結果的にリスクマネジメントの境界線を曖昧にした側面も否定できない。

 

次原悦子氏 影の実力者、そして沈黙する当事者

次原悦子氏は、1985年にサニーサイドアップを創業。中田英寿や北島康介らのマネジメントを通じて、日本のスポーツマーケティングの地平を切り拓いてきた人物だ。2024年には経団連審議員会副議長およびダイバーシティ推進委員長に就任。国際PR協会の日本人女性初の会長も務め、企業・社会の両面で強い発言力を持つ。

だが、今回の訴訟に関しては終始“黒子”に徹する姿勢を貫いている。コメントでは「判決内容を真摯に受け止め、全額支払い済み」と述べるにとどめ、ジュリー氏との関係については「個人的な交友について公に語る立場にない」と語った。

 

“友情”と“契約”のねじれが露呈した構図

本件を象徴的にしているのは、「個人的信頼」と「業務契約」が交錯した結果、どちらも破綻をきたしたという点にある。

同じ時代を生きた女性経営者同士、シングルマザーとしての共感、共に築いたプロジェクト。そうした積み重ねの末に、信頼と責任の“重心”は、ある瞬間からズレていった。

 

PRと法務、友情と契約、当事者と外注。危機の現場で求められるリーダーシップとは何か。誰が何を謝り、どこまで責任を負うべきか。その問いは、謝罪の形式を超えて、企業倫理の根幹に迫っている。

この一連の事件と訴訟の詳細は、週刊文春で詳報されている。危機対応の構造と、女性経営者の葛藤を描いた現代のドキュメントとして、注視すべき内容である。

 

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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