株式会社LIXILは窓の専門商社であるマテックス(東京・池袋)の取引先企業です。
LIXILからはマテックスはどのように見えているのかをLIXIL 東京第一営業所 主査 越智 裕之さんに伺った。
自己紹介と業務内容
越智
弊社は建築材料・住宅設備機器業界の最大手です。2011年にトステム株式会社を存続会社として株式会社INAX、新日軽株式会社、東洋エクステリア株式会社、初代の株式会社LIXILを吸収合併し、サンウエーブ工業株式会社の開発・管理部門を統合して2代目の株式会社LIXILに商号を変更。2020年に親会社のLIXILグループに吸収合併され、事業会社となったLIXILグループが3代目の株式会社に商号変更しました。
私自身は代理店ルートという部門で営業活動に従事し、2010年頃に初めてマテックスさんの営業所を担当させていただきました。一度外れた後、2019年から今度は本社担当として全体を見ています。担当デポもありますが、会社としての折衝は私が窓口です。個人では3社3拠点の代理店を見ていますが、マテックスさんが一番大きいですね。
越智
最大の特徴であり強みは、製品やサービスに対する環境影響評価手法のライフサイクルアセスメント(LCA)に基づく「地域最適窓」という考え方です。環境負荷を低減する地域に最適な窓の総称を「GREEN WINDOW」と定義・宣言し、2023年11月には窓・ドアブランドTOSTEMの100年の節目を迎える新戦略としてさまざまな場面で展開していきます。
例えば、寒冷地の北海道ではオペレーショナルカーボン、つまり居住時のエネルギー使用に起因するCO2排出量が73%ほどと言われています。一方、東京はエンボディドカーボン、建設にかかる原材料の調達から加工、輸送、建設、回収、廃棄までのCO2排出量が70%ほどを占めます。そう考えると、一律に窓の性能値だけを見るのではなく、地域ごとに取り入れるべきものが異なるということで、そのような考え方は他のメーカーにはないと思います。
世界的な設計のトレンドはパッシブ設計で、建材もLCAを重視する意識が高まっています。ただ、日本の主流はアクティブ設計。高性能な設備を活用して住まいの省エネルギーに取り組んでいく方法が浸透していますが、それは違うだろうということです。例えば、窓のガラス面積が大きければ日光を取り入れる力も大きい。そのため断熱や遮熱だけでなく日射取得を考慮しなければいけません。そうすれば冬場の暖房費が安くなるので、そのパワーを使わないのはもったいないですよね。逆に夏場は日差しを遮らなければなりませんが、室内側より室外側で遮った方が効果的です。
LIXILから見たマテックス
世界の潮流に合わせた考え方をしっかりと持ち合わせていることが、業界のリーディングカンパニーたる所以ということですね。そのような先進的な企業として、マテックスをどのように評価されていますか。
越智
弊社とマテックスさんとのお付き合いが始まったのは自分が入社する前のことです。私は営業畑一筋なので、マテックスさんの名前は入社当時から知っていました。マテックスさんはいち早く社会貢献のキーワードを前面に打ち出してきた企業で、社会貢献の重要性を考えたときに掲げたのが「パーパス」という言葉。さらにパーパス教育を重要視し、得意先である販売店様とも共有しようとしています。当時はそのような言葉も取り組みも聞いたことがなかったので、まさに別格ですね。
ガラスやサッシを中心とした建材メーカーが集まる「マテックスフェアー」ではパーパスについて考えるワークショップなどの勉強会もあり、本当にすごい企業だと思いました。意識改革を大切にしながら常に新しい付加価値を生み出すことを追求し続けている、本当に素晴らしい企業だと思います。
日頃から接しているマテックスの社員の皆様の印象はいかがですか。
越智
マテックス社員の皆さんは同業者の悪口を言わないという印象です。これは私が最初に担当させていただいたときから全く変わっておらず、抜群に優れていることだと思います。社員教育でそうなっているというよりも、そもそも誰かの悪口を言ったりしない人たちが集まっているという気がしますね。
越智
改善してほしいことは思い浮かびませんが、マテックスさんの最大の強みは各メーカーの商材に付加価値をつけることだと思います。弊社の商材についてもどんな付加価値を生み出せるかということを共有し合いながら、販売量を増やしていっていただければうれしいですね。
付加価値がどういうものを指すかということを定義するのは難しいですが、端的に言えば情報、ソフトの部分だと思います。例えば、省エネ設備などに対する国や自治体の補助金の内容を説明すること自体はどこの代理店でもできると思いますが、本当に求められているのは「この補助金はこう活用すれば、お施主様に提案しやすくなる」ということを販売店様に伝えてあげることです。もちろん、マテックスさんは本社の営業推進部を中心に実践されております。
ご自身にとって、マテックスはどのような存在ですか。
越智
私の職業人生の中で、最も信頼できるパートナーだと思っています。一緒になって新しい付加価値を創造することで社会に貢献し、業界を変革していきたいですね。「窓から日本を変えていく」と宣言しているマテックスさんが掲げる脱炭素社会の実現は、メーカーである我々とも密接に関係しています。
マテックスのマテリアリティ(依=よりどころ・脱炭素・自分ごと化・経済成長至上主義からの脱却)について納得性はありますか。
越智
まず、「脱炭素」はメーカーである我々と密接に関係していると思います。弊社も「脱炭素から社会貢献する」という考え方で、2019年にスタートした「窓からECOシェアプロジェクト」をスタートしました。ビジネスパートナー様と共に地球温暖化の緩和につながる断熱窓などのエコ商品をより広く普及させながら、子どもたちを室内熱中症から守る健やかな窓辺環境づくりを全国各地で推進する活動です。
2023年は豊島区内のある保育園に「スタイルシェード」を寄贈し、施工はマテックスさんにお願いしました。6月7日に現地で寄贈式を開催し、松本社長や豊島区長に出席していただいたことが印象深かったですね。
脱炭素社会の実現に向けては、2023年10月から「住まいから未来へつなぐプロジェクト」も展開しています。メーカーであるLIXILが、マテックスさんの持つ技術力やアイデアを最大限に生かし、将来的には地球レベルの環境保全に配慮した商品を一緒に作っていきたいと願っています。