-三橋さんからこのようなメッセージをお預かりしてきました。
山本:もともとは株式会社Unpackedの代表取締役会長をされている小嶋彗史さんのことをメディアで知り、「いいことやっているなぁ」と思い、コンタクトを取ったんです。一緒に何かやりたいと思って毎週1、2回会って、色々話し合う中で三橋さんとも意気投合。世の中を変えたいよね、という共通の想いから、一緒にバンドをやろうみたいなノリでお付き合いがはじまりました。
常に若い世代が新しい時代を作ってきた
-三橋さんからのメッセージの中に出てきた「アラジンの魔法のランプみたいに、富も権力も仲間もすべて揃った時に何をしますか?」という質問について、お伺いできますか?
山本:私は30代で色々なモノを手にした時、改めて「自分は何がしたいんだろう?」と考えたんです。重田康光さんや孫正義さんといった先達が、若者を信じて投資し、上司や先輩たちに支えられ、導かれたおかげで今に至ったのだと思いました。
じゃあ次は自分の番だ、今度は自分が受け継いだバトンを若者に繋いでいかなければならないと感じたのです。
よく「会社は学校じゃないぞ」と言われますが、私は会社を学校だと思っていて、会社という組織の中で働く若者たちにチャンスや権限を与えて、どんどん学んでもらっています。新入社員でも、入社1日目から役員だと思って彼らに接しています。それに北海道でも沖縄でも勝手に許可なく飛行機でもタクシーでも使える。自分たちの給料制度も自分たちで考えて、取引先からの仕入れも自分たちでする。おそらく弊社で1年働くと他の企業で20年働いたのと同じくらいの経験と能力を得られると思いますよ。
-それだけ若者の可能性を信じて本気で支援されているのですね。
山本:日本は国会のニュースを見ても出てくるのは老人ばかりで、70代が国のことを決めている。それを、20代に決めさせたらもっといい方法が生まれるのではないでしょうか。
国が変わり、成長していく時に原動力になっていたのは常に若者です。高度経済成長を支えた日本企業が世界的大企業になっていった時代、本田宗一郎さんも松下幸之助さんも若者だった。そしてITの急成長・急発展の時に藤田晋さんも堀江貴文さんも三木谷浩史さんも若者だった。しかし彼らも功成り名を遂げて50代になってきている。これからの時代を変えるのは今20・30代の若い世代だと思います。彼らにチャンスを与え、農業や医療、教育の改革をしていかなければならないと考えて三橋さんとはプロジェクトを進めています。
言葉ではない本気の波動が人を動かす
-もう1つ、三橋さんはアドラーの『嫌われる勇気』から、人との関わり方、人を巻き込むことについて質問されています。
山本:コミュニケーションの8割はノンバーバル、つまり言語化されていない部分に由来していると言われています。私もコミュニケーションは波動とか熱意とか、言葉にならないモノが人を動かすのだと信じています。
だから興味がない人と話をしても気持ちは伝わらない。一方で自分に好意を持ってくれていたり、自分がその人を好きだと、言葉にしなくても雰囲気や目線で分かってしまう。それは選挙で何百人が立候補している中で、同じような原稿を読んでいるのに、数十万票とれる人もいれば数千票しかとれない人もいることからも分かると思います。話す技術などではなく、その人が本当に世の中を変えたいんだと思っているかどうかが表れていて、それが投票する人には感じられている。
ですから仕事やディベートをしていく中で、その人が本気なのかはとても大事ですね。好きじゃない、やりたくないという気持ちで、心にないことを口にしている人とは、仕事をしても遊んでいても面白くありません。反対にこの人は本気だ、頑張ってほしいなと心から感じられる人とのお付き合いは大事にしています。
-どの企業も採用条件には「やる気のある人」、「実力主義」などと書かれていますが、ほとんど言葉だけで、入ってみると全く違うことがよくありますね。若者がそれを信じて入社すると、意欲を無くしてしまう。
山本:それも老人が組織の上にのさばっていて、彼らに都合がいい人しか採りたくないからです。逆に言えば、若者たちにもその採用する側の波動や信念を感じ取って会社を選んでほしい。採用担当者や会社概要を信用するのではなく、社長が話している姿の、そのノンバーバルな部分を見てビビッときたらその会社に決めるくらいの就職活動をしてほしい。そうしたら何百万人もの若者たちが本気で仕事に向かい合うようになる。日本は絶対まだまだ伸びると思います。
株式会社Unpackedには「創業の想いを持ち続けてほしい」
-山本さんにとって株式会社Unpacked様とはどういった存在なのでしょうか?
山本:リアルな高校生・大学生世代の気持ちを教えてくれる先生だと思っています。彼らから若い世代の抱えている不安や挫折、夢や希望についてたくさん聞きました。もし弊社だけで学生向けの教育事業をしても、押しつけがましい、つまらないものしかできないでしょう。
今、中学・高校・大学生には夢がありません。長く続いた不況の中で未来が暗くなり、周りに輝いている大人がいないからです。昔であれば、プロ野球選手を見てカッコいいなと思い、走り込んだり素振りをしたり努力してプロ野球選手になることを目指した。しかし子供の時、そういう輝いている大人とめぐり合って努力をする原動力が生まれるチャンスは実はとても得難いものなのです。
多くの10代の子供たちは親と学校の先生くらいしか出会わず、他の大人と会話をする機会もありません。それなのになぜ10代で人生の進路を決めなければならないのでしょうか。もちろん学生も輝いている大人に出会う努力をすべきだし、周りの大人たちは出会える環境を用意してあげるべきです。私も、様々な業界のキラキラ輝いている先輩たちを連れてきて、中高生向けに語ってもらう活動をしています。その中からこの仕事をやってみたい、今から努力していこうと思ってくれる子供が出てきてくれたらいいなと思っています。
-株式会社Unpacked様に期待していることはどういったことでしょうか。
山本:事業が軌道に乗って拡大していくと、創業期の理念を忘れて数字だけを追い始める、ということがよくあります。もちろん経営として必要なことなのですが、しかし最初の想いは忘れないでほしい。どうしてもベンチャー企業はいつの間にか理念や想いより、売上や利益、IPOだとなりがちですから。
そして「いつかあなたが30歳とか20代後半になった時、その地位を次の高校生に譲るくらいの覚悟を持ってほしい」と伝えたいですね。創業の精神を忘れず、いわゆるオトナの会社・どこにでもあるつまらない会社になってしまわないように。
本気で世の中を変える、若者が主役の社会をつくる
-最後に、なぜそこまで若者に期待されているのでしょうか。
山本:今の若者たちにももっと活力を持って生きてもらいたいんです。みんな高校生・大学生時代に世の中のことが見えてくると、ロボットみたいに働くか、大人が決めた線路の上を歩かされるのか、みたいなことを考えて嫌になると思います。しかしもっとエネルギーを持って大暴れしてもらいたい。世界の様々な国に行くと、そこの若者たちはもっとギラギラしていてパワーを感じます。その点、日本では大人もそうですが、子供にも元気がないのです。
-そのために教育が必要になると。
山本:若者も老人も元気がなくて、経済が下降していったら、きっと皆が老人になった頃にはインフラの整備もできなくなって、水道の蛇口を捻ったら赤い水が出てきたり、虫歯になっても治せないような国になってしまうでしょう。ヨーロッパの国々を見てみても、過去に経済的に繁栄していた国も、今は落ちぶれて、復調の兆しもない国もあります。それと同じ状況が今の日本にもある。一握りが成功して金持ちになっても、全体の、株式会社日本では負けているのが今の状態です。野球チームで例えたら、一部の選手の成績は良くてもチームとしては連戦連敗、大負けしているのが今の日本です。だから個人の成績なんかどうでもいい。本気で世の中を変える、若者を中心に変えなければならない時代なのです。
そう考えていた時に三橋さんと出会った。あの赤い髪の龍ちゃんが本気で成長してやろうと言っているのだから、そこに時間とお金と知恵を投資しないなんてありえない。今はそう思って彼らと共に取り組んでいます。
-本日はありがとうございました。
画像提供:グローバルパートナー株式会社
山本康二プロフィール
1971年生まれ。1995年に株式会社光通信に入社、28歳で同社取締役に就任。その後2009年、 アリババマーケティング(現グローバルパートナーズ株式会社)を設立、代表取締役社長に就任。
グローバルパートナーズ株式会社
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