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REVOLUTION、監査法人連続辞任と届かぬ報告書の深層 株主優待“幻”事件はどうなるのか?

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幻の株主優待から広がる企業統治崩壊の連鎖

REVOLUTION HP
REVOLUTION HPより

2025年7月、東証スタンダードに上場する不動産会社・株式会社REVOLUTION(証券コード8894)をめぐる混乱が頂点に達しつつある。株主優待を巡る不祥事の調査を担っていた第三者委員会からの報告書は、7月11日18時時点でも提出されていないと発表され、決算も監査も停滞。

市場では「意図的な引き延ばしではないか」と疑う声が広がっている。

 

一方で、7月6日には監査法人の應和(おうわ)が就任からわずか5か月で辞任を申し出、8日には“つなぎ役”として監査法人アリアが一時的に就任する異例の事態に。

しかもその受託条件は「前任監査法人との引継ぎ」や「第三者委員会との連携」など異常にハードルが高く、「恒常的に関与したい会社ではない」という業界内の空気を露呈している。

「12万円QUOカード」優待は実施ゼロで廃止

 

発端は、2024年10月に発表された高額株主優待制度だった。年2回、QUOカードPay6万円分(計12万円)を贈呈する内容に、個人投資家は殺到。株価は急騰し、一時700円を超えた。

だが、制度は一度も実施されることなく2025年3月に廃止が発表され、同時に新藤弘章前社長が辞任し、自身に割り当てられていた新株予約権も放棄された。優待制度とストックオプションが“最初から実施される予定のない演出”であった可能性を指摘する声もあり、インサイダー取引や株価操作の疑念が浮上した。

こうした声を受け、3月14日には弁護士・会計士で構成される第三者委員会の設置が発表され、経緯の検証に入った。

 

報告書は“未提出”のまま、「確認作業が必要」と開示

7月11日の開示によると、第三者委員会からの報告書提出予定日は同日だったが、18時時点でも提出されていないと明かされた。仮に報告書を受領しても「個人情報や秘密情報の非開示部分が適切かどうかを確認する必要がある」との見解を示し、早くても14日朝の公表になる可能性を示唆した。

この“事前確認”という言葉から、会社側がすでに報告書の中身を目にしているのではないかという疑念が投資家の間で強まっている。「そもそも報告書は開示前提で作成されるべきでは」「時間稼ぎにしか見えない」といった声がSNSでも噴出している。

 

監査法人が続々と離れる“危ない企業”の兆候

7月6日、就任からわずか5か月の應和監査法人が辞任。続いて選任されたアリアは「恒常的関与は行わない」と明記したうえで、前任2社との引継ぎや第三者委員会との情報共有を条件に、あくまで一時的に関与するという対応をとった。

この事態をどう見るべきか。大手監査法人に所属する会計士は次のように語る。

 

「通常、上場企業の監査は継続的関係を前提に構築されますが、今回のように“一時監査人”でしか関与できないというのは異例です。引継ぎや訴訟リスクが想定され、前払いなどを条件にしないと受託できないほど不信が強い証拠でしょう。会計士の間では“長く付き合うには危険すぎる会社”という評価が共有されている印象です」

REVOLUTIONは2025年10月期第2四半期の報告書提出期限を「9月12日」に延長しているが、その提出の前提となる監査体制が、すでに機能不全に陥っている。

上場維持の“最終期限”迫る カウントダウン開始

 

REVOLUTIONは報告書未提出、決算発表延期、監査法人不在という三重苦にある。現在のスケジュールでは、2025年9月12日までに半期報告書を提出しなければ、東証スタンダードからの上場廃止は避けられないと思われる。

これは、金融商品取引法上の期限(会計期末から3か月)を超えて報告書を提出できない場合、東証の上場規程に基づき“自動的に上場廃止”の対象となるためだ。REVOLUTIONは6月、特例的に金融庁に提出期限の延長を申請し、認められたことで、提出リミットが「9月12日」に設定された。

ただし、これは“最後の猶予”であり、再延長は基本的に認められない。つまり、9月12日という日は、REVOLUTIONにとって「決算を出せるか、上場廃止か」の分水嶺である。

 

しかも仮に報告書が提出されたとして、その内容が刑事・民事リスクに直結するようであれば、経営陣への損害賠償や再発防止策の不備も問われかねない。株主への説明責任は極めて重く、経営再建を望む声もしぼびかねない。

“幻の優待”から始まった企業統治の迷走は、今や東証の退場カウントダウンにまで発展している。はたして挽回なるか。推移を見守りたい。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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