
関西空港(関空)の第1ターミナル(T1)で進められていた国際線エリアの大規模改修が完了し、15日に報道陣へ公開された。これにより、関空の年間国際線旅客受け入れ能力は約4000万人に拡大し、2025年大阪・関西万博に向けたインフラ整備が一段と加速する。
外国人利用客が過去最高を記録
関西空港は訪日外国人の主要な玄関口の一つであり、2024年7月には外国人旅客数が開港以来の最高記録を更新した。関西エアポートの発表によると、同月の国際線旅客数は合計206万人で、そのうち外国人旅客が約167万人を占め、全体の約81%を構成している。一方、日本人旅客数は約38万人だった。
これは、関空が東アジアを中心に、多くの訪日外国人の主要なゲートウェイとなっていることを示している。2019年のコロナ禍前には、年間約837万人の外国人が関空を利用しており、今後はそれを上回る勢いが見込まれる。
大規模改修で快適な入国手続きが実現
今回の改修では、入国審査場の大幅な刷新が行われた。従来は2階に南北で分かれていた入国審査場を3階に移設し、両審査場をつなぐ通路を新設。これにより、混雑時には乗客をスムーズに誘導できるようになり、処理能力の向上が図られた。
さらに、新たに導入された「共同キオスク」と呼ばれる端末が約110台設置された。これは、入国審査と税関手続きを一度に完了できるシステムで、顔写真の撮影やデータ取得を一括処理することで、これまで別々に行われていた手続きを短縮する効果が期待される。共同キオスクの本格運用は4月初旬に開始予定だ。
訪日外国人向けのサービス強化
関西空港は、外国人旅行者へのサービス向上にも力を入れている。主な取り組みは以下の通り。
- 多言語対応の観光案内所
第1ターミナル1階南側に「関西ツーリストインフォメーションセンター」を設置。英語、中国語、韓国語に対応し、観光情報の提供や鉄道パスの販売、ホテル予約などを行っている。 - 通信環境の整備
Wi-FiルーターやSIMカードのレンタル・販売を空港内で提供。さらに、eSIMの販売も開始し、オンラインで手軽に購入できる環境を整えている。 - 交通アクセスの向上
Uber Taxiが関空でのサービスを開始し、外国人旅行者がアプリを通じて簡単にタクシーを利用できるようになった。 - 訪日外国人向けサポートサービス
多言語対応のエスコートサービスを提供し、訪日外国人がスムーズに移動できるよう支援している。
関西空港のおすすめスポット
関西空港は単なる空港ではなく、旅行者が楽しめる施設も充実している。
① 関空展望ホール「Sky View」
飛行機の離着陸を間近で楽しめる絶景スポット。特に夕暮れ時の景色は美しく、フォトスポットとしても人気。
- 場所: 第1ターミナルから無料シャトルバスで約6分
- 営業時間: 10:00~17:00(施設による)
- 入場料: 無料(一部有料体験あり)
② 空港内のグルメスポット
関西名物を空港内で楽しめる。
- たこ焼道楽わなか(第1ターミナル2階)
大阪名物のたこ焼きを本場の味で堪能。 - 551蓬莱(第1ターミナル2階)
関西土産の定番「551の豚まん」が出来立てで味わえる。 - ぼてぢゅう(第1ターミナル3階)
本格的な関西風お好み焼きを楽しめる老舗店。
③ KIXエアポートラウンジ
個室タイプのシートやシャワー設備があり、早朝・深夜便を利用する人におすすめ。
- 場所: 第1ターミナル2階
- 営業時間: 24時間
- 料金: 1時間600円~(追加料金あり)
④ 関空温泉「KIX温泉ラウンジ」
フライト前後にリフレッシュできる温泉施設。
- 場所: 第1ターミナル3階
- 営業時間: 24時間
- 料金: 2,800円(3時間利用)
⑤ 免税店&ショッピング
ブランド品や関西土産を購入できる。
- KIX DUTY FREE(免税店)
日本のブランド化粧品や洋酒、タバコをお得に購入可能。 - 関空オリジナルグッズ
空港限定の飛行機グッズやご当地キャラクターグッズが揃う。
⑥ ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)直通バス
関空からUSJへの直通バスが運行し、スムーズに移動可能。
- 所要時間: 約1時間
- 料金: 大人1,600円、子供800円
大阪万博に向け、約700億円を投資
関西空港は1994年の開港当初、第1ターミナルの国際線旅客数を年間約1200万人と想定していた。しかし、訪日外国人観光客の増加に伴い、2018年度には約2100万人が利用し、当初の想定を大幅に超える状況となっていた。こうした混雑解消のため、関西エアポートは2021年から約700億円を投じ、4年がかりで今回の大規模改修を進めてきた。
今後の展望
今回の改修で、関西空港の利便性は大きく向上した。しかし、今後は急増する訪日観光客への対応や、最新の入国審査技術の活用など、さらなる利便性向上が求められる。加えて、万博後の国際線需要の推移を見極めながら、持続可能な空港運営をどのように進めていくかも課題となる。