ワーキングホリデーや留学経験者が、日本と世界をつなぐ架け橋に。株式会社Jスタイルズのユニークな事業モデルと社会課題への挑戦について、同社代表取締役の平渡淳一氏に話を伺った。
グローバル人材に特化したJスタイルズ
株式会社Jスタイルズは、国内外でのグローバルビジネスを支える人材の育成と支援を使命として設立された。
同社の柱となる事業は、海外留学やワーキングホリデーの経験を持つ人材を対象とした人材紹介・採用支援事業「ワーホリキャリア.com」だ。
最大の特徴は、帰国後のキャリア構築に悩むワーキングホリデーや留学経験者に特化している点である。
異文化コミュニケーション能力や国際的な視野を持つこれらの人材は、貴重な経験を積みながらも「その経験を日本でどう活かすべきか」という課題を抱えているケースが多い。
同社では、海外経験を持つスタッフが求職者一人ひとりに寄り添い、個々の強みを最大限に活かせるキャリアの提案を行っている。
また、Jスタイルズは日本国内だけでなく、海外展開を目指す企業への人材紹介にも力を入れている。
国内外での「独自求人」を開拓し、日本の観光業やサービス業のさらなるグローバル化を支援している点も、同社の事業の大きな特徴だ。
ユニークなターゲットと独自の強み
Jスタイルズがターゲットとしているのは、ワーキングホリデーや留学を経験し、一定期間海外で生活や仕事をした後に帰国した若者たち。
この層に特化した人材支援サービスは、業界内でも非常に独自性が高い。同社の代表である平渡氏は、その理由を次のように語る。
「多くの人材会社が英語人材やバイリンガル人材に焦点を当てていますが、私たちはそこに特化しているわけではありません。むしろ、キャリアがまだ固まっていない20代の若年層を中心に支援しているんです。この層は、ポテンシャルは高いものの、キャリアを軌道に乗せるのが難しい。だからこそ企業との橋渡しが必要なんです。」(平渡氏)
さらに平渡氏によれば、ワーキングホリデーや留学経験者には「行動力」「異文化適応力」「多国籍の人を楽しませるホスピタリティ能力」といった強みを持っているが、これらを帰国後のキャリアに活かせない人が多いのが現状であるとのこと。
「例えば、オーストラリアやカナダに行った帰国者たちには、英語を使う仕事をしたい、海外と日本をつなぐ仕事がしたいという希望を持つ人が大勢います。しかし、それをキャリアに落とし込む具体的な方法が分からない人がほとんどなんです。私たちは彼らの強みを見つけ出し、企業にしっかりと伝えることで、適切なマッチングを実現しています。」(平渡氏)
また、Jスタイルズの強みは、求職者との接点を広げるために独自のメディアプラットフォームやコミュニティを構築している点にもある。
同社では、InstagramやYouTube、LINEなどの各種SNSを効果的に活用しており、Instagramのフォロワー数は1万人を超える。
これらのSNSは、若年層の求職者がどのように情報を集め、仕事を探しているかを踏まえて設計されている。
「今の若い世代は、大手の求人サイトではなく、SNSを使って仕事を探しています。私たちは、彼らが日常的に利用しているプラットフォームに積極的に情報を発信することで、企業の魅力をより効果的に伝えています。これが、私たちが持つ発信力の強みです」と平渡氏は語る。
Jスタイルズが運営するコミュニティは、求職者だけでなく企業にとっても価値が高い。
同社の求人情報を掲載する独自のメディアプラットフォームでは、ターゲットに特化した募集が行えるため、企業側からも「必要な人材に直接アプローチできる」と評価されている。
「私たちは、単に求人広告を出すだけではなく、企業が募集するポジションごとに適切な表現や情報を考え、求職者に刺さる形で発信しています。また、コミュニティに参加している求職者に定期的にLINEや動画で情報を届けたり、セミナーを開催して企業の魅力を直接伝えることも行っています。」(平渡氏)
さらに、Jスタイルズは「企業が自覚していないニーズ」を掘り起こすことにも注力している。平渡氏はこうした活動の重要性についても語る。
「例えば、企業の中には、ワーキングホリデーの経験を『遊びに行っていただけ』と軽視しているところも少なくありません。でも、実際にはその経験を活かした人材が企業に与える影響は非常に大きいんです。私たちはその価値を企業に伝え、最適な採用をサポートしています。実際、ワーキングホリデー経験者を採用した企業からは、『こんな人材を待っていた』という声を多くいただいています。」(平渡氏)
Jスタイルズは帰国者の強みを最大限に引き出し、それを必要としている企業に届けるための独自の体制を築いている。
それは、単なる人材紹介にとどまらず、社会課題を解決するための啓蒙活動にもつながっている。
ワーキングホリデー経験者が輝く職場を作るために
Jスタイルズでは、ワーキングホリデーや留学経験者がその経験を最大限に活かし、新たなキャリアを築ける環境を提供することを目指している。
代表の平渡氏は、彼らが日本国内外の企業でどのように活躍できるのかについて、具体的な事例を挙げながら語る。
「例えば、オーストラリアで日本のステーキハウスがオープンした際、私たちが3名のワーキングホリデー渡航者を紹介しました。現地での営業は全員日本人スタッフでスタートし、彼らの行動力とホスピタリティ能力が評価され、結果的に店舗の成功に大きく貢献しました。このうちの1人は現地でマネージャーに昇進し、現在は就労ビザを取得し、永住権取得を目指して新たなキャリアを切り開いています。」(平渡氏)
Jスタイルズはワーキングホリデーの一時的な経験を、長期的なキャリアへとつなげる支援も行っている。平渡氏は、ワーキングホリデービザが有する可能性についても熱く語る。
「ワーキングホリデービザは、企業側にとっても試用期間として人材を見極めるチャンスになります。そして、その人物が現地で実力を発揮すれば、就労ビザや永住権への道が開けるんです。これは、求職者と企業の双方にとって非常に大きなメリットだと思っています。」(平渡氏)
また、ワーホリ経験者の価値を日本国内でも最大限に引き出す努力も続けている。例えば、インバウンド需要が高まる観光業界では、外国人観光客への対応力がカギとなる。
「日本を訪れる外国人観光客は年々増加しており、特に飲食業やホテル業界では、英語を話せるスタッフが求められています。ワーホリ経験者は、英語力だけでなく、多国籍の人々を楽しませるホスピタリティ能力を備えているため、こうした現場で非常に高い評価を受けています。」(平渡氏)
さらに、Jスタイルズはワーホリや留学経験者にとってキャリアアップの選択肢を広げるため、企業との新たな連携を進めている。
海外勤務や国際貿易の分野でも、彼らのスキルを必要とする企業が増えており、Jスタイルズはそのニーズに応える形で独自の求人を開拓している。
「私たちが目指しているのは、ワーホリがただの思い出で終わるのではなく、キャリアの第一歩としてその経験を活かせる社会を作ることです。企業側も、こうした人材が持つ価値を認識し、積極的に採用していくことで、日本全体の国際競争力を高めることにつながると信じています。」(平渡氏)
同社が提供するサービスは、ただの人材マッチングにとどまらず、求職者の「自己実現」と企業の「事業成長」の双方を支える総合的なサポートとなっている。
未来への展望――Jスタイルズが目指す社会像
平渡氏は、同社の事業が解決を目指している社会課題について明確なビジョンを持っている。
それは、日本の国際競争力を再び高めるための「グローバル人材の育成」と「日本の魅力を世界に発信する仕組み作り」である。
「日本には、和食、アニメ、日本酒、観光地など、世界に通用する魅力がたくさんあります。ただ、それを発信する人材や仕組みが圧倒的に不足しているんです。私たちは、企業の海外進出やインバウンド対応をサポートすることで、日本の魅力をより多くの人々に知ってもらえるようにしたい。」(平渡氏)
平渡氏が特に重要視しているのが、若い世代に海外経験を積ませること。
海外に出ることで視野を広げ、自立心を培うことができる一方で、帰国後にその経験を活かせるキャリアがない現状が大きな課題だという。
「今、日本人の海外留学者やワーキングホリデーに参加する人が減少していると聞きます。その理由の一つが、海外経験を積んでも帰国後のキャリアにつながらないという不安があるからです。しかし、海外での経験は必ずキャリアアップにつながると伝えていくことで、若い世代がもっと積極的に海外に出ていける環境を作りたいと考えています。」(平渡氏)
実際、平渡氏は若者から寄せられる相談を受ける中で、日本の閉塞感や将来への不安を感じている声を多く聞いてきたという。その一つひとつに向き合い、可能性を広げるサポートを続けている。
「日本国内だけでなく、世界中で活躍できるキャリアを描けるようにすること。それが、私たちの使命だと思っています。私が大学時代にカナダへ留学したとき、日本の魅力を改めて実感しました。その経験が、今の事業の原点でもあります。若い世代にも、ぜひ海外での挑戦を通じて、日本と世界の架け橋となる存在になってほしいですね。」(平渡氏)
Jスタイルズは、単なる人材紹介や採用支援の枠を超えた取り組みを進めている。それは、求職者や企業だけでなく、日本全体の活性化につながる社会貢献活動ともいえる。
「私たちがやっていることは、単に求人と求職者を結びつけるだけではありません。海外経験者が活躍できる場を設け、その価値を企業に理解してもらうことが、日本全体の未来にもつながります。この仕事は非常にやりがいがあり、何よりも日本が世界で輝ける国になるための一助になれると信じています。」(平渡氏)
Jスタイルズの活動は、帰国者のキャリア支援にとどまらず、日本の国際競争力を取り戻し、若い世代に希望を与える道を切り開いている。
平渡氏が描く未来像は、グローバル人材が日本と世界をつなぎ、双方にとって欠かせない存在となる社会だ。
これからもJスタイルズは、その実現に向けて挑戦を続けていく。
◎プロフィール
平渡 淳一
明治大学3年時に休学して実現したカナダ留学から大きな刺激を受けて、21才の時に「日本と日本の魅力を世界に広げる事業を作るために30才で起業する!」と心に誓う。
その後30才でゼロから起業し居酒屋FC事業で世界と上場を目指し、年商23億円・国内外36店舗(海外4か国)まで事業を拡大するが、東日本大震災などの影響により業績が悪化して起業から丁度10年で会社が倒産。
その後復活のために3年の準備期間を経て、株式会社Jスタイルズを設立し再起業を果たす。現在はワーホリ・留学・海外経験者に特化したキャリアサポート、採用支援サービス「ワーホリキャリア.com」を通じて、「日本と世界を人材とビジネスで繋ぐ」活動に日々奮闘中の毎日を送っている。
◎会社概要
・会社名:株式会社Jスタイルズ
・代表者:代表取締役 平渡 淳一
・所在地:〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町1-9-5-702
・資本金:1300万円
・設立年月:2015年6月設立
・事業内容:
・ワーホリ、留学、海外経験者に特化したキャリアサポート及び採用支援(人材紹介・求人広告)
・ワーキングホリデー、留学を通じた海外渡航及びキャリアサポート
・グローバルキャリアに関するセミナー、イベントの企画運営