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開業医の妻でなければ見えない景色がある 「医っぽの会」が支えるクリニック経営

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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「うちのスタッフが急に辞めてしまった」「院長である夫が、スタッフとコミュニケーションがうまく取れていないようだ」「クリニックの経営が厳しいが、誰に相談すれば…」。

そんな悩みを抱える開業医の妻たちが集い、情報交換や学び合いを通して、共に成長することを目指す場がある。「医っぽの会」だ。

医師の妻という立場だからこそわかる悩みや課題を共有し、解決の糸口を探るため、定期的に勉強会やセミナー、情報交換会などを開催。会員は全国で約100名。経営、労務、財務、人材育成など、クリニック運営に関する幅広いテーマについて、専門家を招いた講演やワークショップ、会員同士のディスカッションなどを行っている。

横山実代さん
横山実代さん(提供:医っぽの会)

会の代表を務めるのは、株式会社ジャパンウーマンソサエティ代表取締役の横山実代さんだ。自身も結婚を機に、栃木県栃木市にある「よこやま内科小児科クリニック」の経営に携わるようになった。「開業医の妻でなければ見えない景色がある」と語る横山さん。彼女が「医っぽの会」を通じて実現しようとしていることとは。

「夫のクリニックが心配…」から始まった

1975年生まれの横山さんは、群馬県伊勢崎市の出身。薬学部を卒業後、外資系製薬会社にMRとして勤務していた。その後、栃木県栃木市の開業医である夫と結婚。結婚を機に、夫のクリニック経営にも携わることになった。

「結婚当初は、まさか自分がクリニック経営に携わるとは思ってもいませんでした」と横山さんは当時を振り返る。右も左もわからない世界に飛び込み、経営の厳しさに直面する日々。不安を抱えながらも、持ち前の行動力で経営、労務、財務、人材育成など、クリニック経営に必要な知識を必死に学んでいった。

「当時は、誰に相談すればいいのかわからず、本当に孤独でした。同じような悩みを抱えている開業医の妻はきっといるはず、そう思って情報交換できる場を探していました」。

 

「先生は患者さんと向き合って」

横山さんは、クリニック経営において、医師の妻という立場だからこそできる貢献があると語る。

「先生には、患者さんと向き合うことに専念してほしい。経営やスタッフのマネジメントは、私たちが支えていきたいと思っています」

クリニックのスタッフは、看護師や事務スタッフなど、女性が多い職場環境であることが多い。医師と女性スタッフとの間で、コミュニケーションの行き違いが生じてしまうケースもあるという。

「そんな時、私たち妻が間に入ることで、スムーズに問題解決できることもあります。医師とスタッフ、双方にとって働きやすい環境を作ることが、結果的に患者さんのためになると考えています」

同じ悩みを共有できる、学び合える場に

横山さんは、同じような悩みを抱える開業医の妻たちと交流を深める中で、「医っぽの会」を設立。横山さん自身の経験をもとに、クリニック経営のノウハウを共有する勉強会やセミナーなどを開催している。

「医っぽの会には、本当にさまざまな悩みを持った方が参加されています。スタッフとのコミュニケーションに悩んでいる方、経営に行き詰まっている方、中には、夫との関係性に悩んでいる方もいます。同じ立場だからこそ、共感できる悩みも多い。一人で抱え込まずに、何でも話せる場があるということは、彼女たちにとって大きな支えになっていると感じています」

「医っぽの会」の活動は、参加者たちの口コミで徐々に広がりをみせ、現在では全国から多くの開業医の妻が参加するまでに成長した。

「医っぽの会」から未来の医療を変える

横山さんは、「医っぽの会」の活動を通して、日本の医療を変えていきたいという強い想いを持っている。

「開業医の妻は、医療現場の最前線にいるわけではありません。しかし、私たちだからこそできる貢献があるはずです。医っぽの会を通じて、多くの開業医の妻が、自らの可能性に気づき、自分らしく輝いてほしい。そして、彼女たちの力で、日本の医療をもっと良くしていきたいと思っています」

横山さんの挑戦は、これからも続く。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。株式会社東洋経済新報社ビジネスプロモーション局兼務。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。 連載:日経MJ・日本経済新聞電子版『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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