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東京都、21年分の消費税“未納”発覚 1億円超を都民の税金で支払い 「民間なら即アウトレベル」の杜撰会計に批判殺到

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21年も気づかぬまま 都営住宅特別会計の「闇」

東京都

東京都の都営住宅事業を管理する「都営住宅等事業会計」で、2002年度から21年間にわたって消費税の申告・納付が行われていなかった事実が判明した。東京都は延滞税と無申告加算税1,677万円を含む計1億3,642万円を2025年9月に納付したが、対象は2019年度から2022年度の4年分のみ。2018年度以前は時効を理由に納付していない。

都は2024年時点で税理士法人から「納税の要否について確認が必要」と指摘されていたが、組織として対応しなかった。東京国税局からの照会を受けたのは2025年5月。小池百合子知事は「対応の遅れは極めて遺憾」と述べ、監察による原因究明を指示した。

 

「制度の理解不足」で片付けられるのか

今回問題となったのは、特定事業を独立して管理する「特別会計」である。都営住宅の家賃収入は非課税だが、駐車場収入や太陽光発電の売電収入など課税対象が一定規模を超えると消費税の納税義務が生じる。にもかかわらず、都は「制度の理解不足」を理由に申告を怠っていた。

だが、消費税を徴収する側の行政が「仕組みを理解していなかった」という説明に、都民からは失笑が漏れる。

 

民間なら即アウト 「潰れない行政」のモラルハザード

民間企業が21年間納税を怠れば、経営陣は責任を問われ、監査法人は契約を解除し、会社は倒産の危機に陥る。だが、行政には“潰れない”安心感がある。ミスをしても処分は軽微、損失の穴埋めは都民の税金――まさに「痛みのない責任」だ。

延滞税と加算税を含めた支払い総額1億円超も、最終的には都民の財布から出ている。罰金を“自腹”で払う感覚がない限り、再発は防げない。都民の一人は「指摘されても放置したのが一番悪い。民間なら即倒産だ」と憤る。

また、税理士の解説系YouTube「脱・税理士スガワラくん」では、今回の対応を「制度理解不足では説明にならない」と批判的に論じ、7年遡及の可否や内部責任の所在を明らかにすべきだと指摘した。

 

インボイス制度で露見 「制度の複雑さ」に逃げるな

今回の発覚は、インボイス制度への対応がきっかけだった。2023年度分の申告で国税庁から照会を受け、過去の未申告が明るみに出た。皮肉にも、新制度が古いミスをあぶり出した形だ。だが、制度の複雑さに逃げるのは筋違いだ。21年もの間、誰もチェックしなかったことこそが最大の問題である。

青梅市の水道事業でも同様の未納事例が報じられており、他自治体に飛び火する懸念も強い。

 

「都民の金で罰金」への怒り 再発防止は仕組みで示せ

都庁の廊下には「再発防止」の張り紙が並ぶが、同じ言葉は何度も繰り返されてきた。都民が求めているのは謝罪ではなく、構造の修正だ。すべての特別会計を横断的に精査し、課税判断を第三者がチェックできる体制を整えるべきだ。

行政の説明責任とは、法令遵守を「形」ではなく「仕組み」で担保することにほかならない。民間では絶対に許されないことが、東京都ではなぜ繰り返されるのか。都民の税金で支払う罰金――この現実を、都はどう受け止めるのか。もう「理解不足」では済まされない。

 

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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