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中国産野菜の方が本当に安全なのか? 参政党・神谷宗幣氏演説の真意とは

ステークホルダーVOICE 地域社会
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「中国産の野菜の方が日本産より安全かもしれない」そんな発言がSNSで一部拡散され、炎上しているのは参政党代表・神谷宗幣氏による街頭演説の一幕である。

「中国礼賛か」「日本人ファーストに反する」といった非難の声が上がる一方、演説全編を見た支持者らは「また切り取りか」と冷静に反論している。

実際、神谷氏の真意は「危機に気づかない日本の農業と消費者意識」に対する問題提起にある。農薬、食の安全、子どもの健康、そのすべてが密接に絡み合う議論だ。

 

「また切り取りか」一部だけが拡散された街頭演説

SNSで拡散されたのは、神谷氏が「中国の野菜の方が日本より安全なケースもある」と発言した部分だった。ちなみに問題の動画は数年前の演説との噂もある。切り取られた動画だけを見れば、たしかに過激に映る。しかし全体を通して聞けば、神谷氏は次のような構造を説明していた。

かつて中国では農薬被害が深刻で、「野菜は洗剤で洗わないと食べられない」と揶揄される文化があった。だが、習近平政権以降、その状態が劇的に改善された。国家主導の農薬削減政策が奏功し、特に日本向けの輸出用野菜については厳格な検査体制が敷かれている。

その一方で、日本ではいまだに見た目の美しさを優先した「農薬依存型の野菜作り」が常態化しており、耕地あたりの農薬使用量は世界的にも高水準だ。

 

FAOデータが示す“農薬大国ニッポン”の実態

国連食糧農業機関(FAO)が公開するデータによれば、2020年時点で日本の農薬使用量は1ヘクタールあたり11.1kg。中国の6.3kgを大きく上回っている。日本では農薬の登録・管理が厳格であり、基準を超える野菜は基本的に流通しないが、使用量自体が多いのは否定できない。

さらに構造的な問題は、“使わなければ売れない”という市場側の都合である。見栄え、規格、クレーム回避、これらが農薬使用を後押ししている。

実際にこれまでさまざまな媒体で実は日本の野菜は農薬まみれで、チェック体制も海外からの輸入より激甘なので危険といった報道は数多く見られている。

 

アレルギーの子どもが増え続けているという現実

農薬の多用と健康リスクとの関係は未解明な部分も多いが、日本の子どもたちの間でアレルギー疾患が増加していることは確かだ。

公益財団法人日本学校保健会が2022年に実施した全国調査によると、食物アレルギーを持つ児童・生徒は全国の公立小中高校で52万7千人にのぼる。これは前回2013年調査時の40万8千人から約12万人増、2004年調査(32万9千人)から見れば20万人近く増加しており、年々深刻化している。

医学的には、アレルギーの原因が農薬と直接結びつくわけではないとされるが、環境因子の影響が否定できないとの研究もある。神谷氏が「食の安全」を論じた背景には、こうした静かな“健康リスクの上昇”がある。

 

神谷氏が本当に訴えたかったこと

神谷氏の演説を通じて一貫しているのは、「中国の方がすごい」と言いたいのではない。「日本がこのままでいいのか?」という問いである。

中国が国家を挙げて改革を進めた背景には、かつての痛みと危機感があった。そしてそれをバネに行動した結果、農薬使用量の削減という成果を出した。一方で、日本は相変わらず“外見重視”の農業と、過剰な安全神話のもとで停滞している。

神谷氏は、「日本人ももっと自分で考え、行動できるようにならなければ、このまま置いていかれる」と語っている。その言葉には、食の問題に限らず、教育、経済、働き方にまで通じる「社会としての変化の必要性」が滲んでいた。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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