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住友化学株式会社

https://www.sumitomo-chem.co.jp/

東京都中央区日本橋2丁目7番1号 東京日本橋タワー

【住友化学のSDGsの取組み】SSS(スミカ・サステナブル・ソリューション)認定制度で2050年カーボンニュートラルを推進

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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住友化学株式会社レスポンシブルケア部 担当部長・工学博士の藤田正行氏

住友化学株式会社は、「2050年カーボンニュートラル実現」を目指して、住友の事業精神を表す言葉の一つである「自利利他公私一如(じりりたこうしいちにょ)」、すなわち、住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならないとする考えのもと、気候変動対応、環境負荷低減、資源有効利用の分野で貢献する自社グループの製品・技術を、「Sumika Sustainable Solutions」(スミカ・サステナブル・ソリューション、以下「SSS」)として自社で認定する取り組みを行っている。

パリ協定が発効された2016年度にスタートしたSSS認定製品・技術の売上収益は、今やグループ全体の20%超(2020年度、4,633億円)にまで拡大した。2030年温室効果ガス(GHG)排出量50%削減の目標達成に向けて順調なスタートに見える同社だが、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)推進への道のりは決して平坦ではなかったという。

今回は、SSS認定事務局を務める住友化学株式会社レスポンシブルケア部 担当部長・工学博士の藤田正行氏に、「事業を通じたサステナブル社会の実現」を目指すSSSのSDGsへの取り組みについて伺った。

「Sumika Sustainable Solutions」(スミカ・サステナブル・ソリューション)とは?

T・S・P(トップコミットメント・ソリューション・参加)の原則の概念図
住友化学株式会社はT・S・P(トップコミットメント・ソリューション・参加)の原則でサステナビリティの取り組みを推進(住友化学ホームページ「サステナビリティ推進の取り組み」より)
――

住友化学では、グループの製品・技術のうち、環境課題の解決に役立つ製品をSSSとして認定しているそうですね。なぜ、そのような取り組みを始めたのでしょうか。

藤田

SSSは、事業を通じ、サステナブルな社会の実現に積極的に貢献することを目的として始めた取り組みです。気候変動対応、環境負荷低減、資源有効利用の分野において、貢献度合いを明確に数値化できる当社グループの製品・技術がSSSとして認定されます。
外部有識者の方々に検証していただき、透明性のある認定制度を構築しました。

――

SSS認定製品にはどのようなものがあるのでしょうか。

藤田

素材・材料製品としては47品目(2022年1月現在)が認定済みです。例えば、2021年度に認定された製品では、樹脂製の蓄熱材「ヒートレージ® 」および「コンフォーマ®」があります。

これらは、暑い時は吸熱し、寒い時は放熱する性質を持つ素材で、住宅の断熱材に使えば、エアコンの消費電力を抑えることが可能です。他にも布団の中綿、衣服などに用いられています。一例としては、寝具メーカーが2020年に発売した高機能掛け布団の中綿に使われています。

――

なるほど。御社の素材や材料などを使った製品は、私たちの暮らしの中で知らないうちに使われているものも多いのですね。他に、身の回りにあるもので御社の製品が使われているものには、例えばどのようなものがあるのでしょうか。

藤田

SSS認定されている技術としては、スポンジや車のシート、マットレスなどに使われるポリウレタンの原料であるプロピレンオキサイドを作る「プロピレンオキサイド単産法プロセス」があります。プロピレンオキサイドは、世界で約700万トン使用されている主要化学品の一つです。
当社グループが開発した技術は、従来の製造方法に比べると約30%もの優れたGHG削減効果があります。このような製造技術については、2022年1月現在で10技術が認定済みです。

◎主なSSS認定製品・技術はこちら
https://www.sumitomo-chem.co.jp/sustainability/management/promotion/sss/products/

――

私たちもSSSの製品や技術が使われた商品を購入すれば、温暖化対策や環境負荷の低減に貢献できるのですね。

藤田

その通りです。当社グループではサステナブル社会の実現に向けて、SSS認定された製品・技術の普及も重要なミッションと捉えています。現在は、世界的な取り組みとして、本技術の海外へのライセンスを拡大中です。例えば「プロピレンオキサイド単産法」については、ライセンス先での削減効果も含めて、2025年時点でのGHG削減量として約220万トン/年を予想しています。

「公益との調和」を強く求める住友グループの「自利利他公私一如」の考え方

住友化学藤田氏
――

従来のものより環境負荷が低いSSS認定の製品・技術を生み出す、さらにそれらを普及することは、まさにSDGsの推進につながりますよね。

藤田

当社グループは、2050年カーボンニュートラル実現を目指して取り組みを進めています。GHG排出量についても2030年までに50%削減を目標に推進しています。自社の責任を果たすだけでなく、SDGsに貢献しうるSSS製品・技術を世界に広めることで、気候変動や環境に関する課題の解決につなげたいと考えています。

もともと、住友化学創業のきっかけは、20世紀初頭に愛媛県の別子銅山で、銅製錬所からの煙害を克服しようと、亜硫酸ガスから肥料を作ったことです。煙害を克服すると同時に、食料も増産して人口増加の需要をまかない、事業から利益も得られました。このような住友グループの事業精神は「自利利他公私一如」という言葉に表されています。「住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない」という意味です。この考えは、SSSを通じたサステナビリティや、SDGs目標達成への貢献に通じるものがあります。

SSS認定製品はグループ全体の売上収益の20%超に

――

まさに「企業は社会の公器」、当媒体cokiの名称の由来にも通じるものがあります。SDGsへの関心の高まりや現在の環境問題の解決に向けて、SSS認定製品の需要は今後ますます高まっていくのではないでしょうか。

藤田

SSS認定製品の売上収益は、2020年度に住友化学グループの約20%にまで達しています。現中期経営計画の最終年度である2021年度までに、スタート時からの認定製品・技術の売上収益を5,600億円へと倍増させることが、現在の目標です。

SS認定制度の売上収益の推移のグラフ
2016年のパリ協定発効と同時にスタートしたSSS認定制度。認定製品の売上収益は2020年度グループ売上収益の20%超を実現。さらなる拡大が期待される(住友化学ホームページ「サステナビリティ推進の取り組み」より)

4カテゴリー9の認定要件と外部機関による第三者検証により審査するSSS

――

SSSの認定基準はどのような視点が考慮されるのでしょうか。

藤田

認定要件は、①気候変動対応、②環境負荷低減、③資源有効利用、④その他の4カテゴリーです。それぞれ以下のような項目で認定要件を設定しています。

SSS認定要件とSDGsへの取り組みの対応表
SSS認定要件カテゴリー/認定要件とSDGsへの取り組みの対応状況(住友化学ホームページ「サステナビリティ推進の取り組み」より)
――

SSSの認定を取得するまでには、どのようなプロセスが必要になるのでしょうか。

藤田

ステップは4つです。申請からSSS認定されるまでには、概算で7~8ヶ月ほどかかります。

SSS認定の流れのフロー図
SSS認定の流れ(住友化学ホームページ「サステナビリティ推進の取り組み」より)

まずは研究所や工場、グループ会社などから各事業部門の窓口に申請を行い、そこでファーストスクリーニングが行われます。申請期間は11月から2ヶ月間ほどです。
次に、窓口に申請された案件については、事務局であるレスポンシブルケア部と社内専門家による事前審査が行われます。
事前審査を通過すると、次はレスポンシブル・ケア統括役員(現在は副社長)を委員長とする認定委員会の審査です。認定委員会で承認されると「内定」となります。ここまでで約3ヶ月です。

正式な認定までには、さらに数ヶ月ほどかけて、大学有識者などの外部による第三者検証を行います。検証を経て「認定価値がある」と判断されたものだけが、最終的に社長決裁を経て「SSS」として認定されるという流れです。2021年度には3件の認定を行いました。

レスポンシブルケア委員会を含む全社関連部門の組織図
社長を委員長とするレスポンシブル・ケア委員会の下にSSS認定委員会が設置されている(住友化学ホームページ「サステナビリティ推進の取り組み」より)
――

それだけの時間と手間をかけて申請しても、非承認の場合もあるのでしょうか?

藤田

はい。残念ながら基準に合致せず認定を得られない案件もあります。その場合は技術改良を行うなどして基準に合致すれば、再度の申請も可能です。

サステナビリティ・SDGsの浸透とともに深まるSSSへの理解・重要性

住友化学藤田氏
――

今でこそSDGsへの関心の高まりから注目を集めるSSSですが、開始当初の社内の反応はいかがでしたか?

藤田

SSSを開始したのは、2016年11月4日。パリ協定の発効のタイミングです。まだ地球温暖化への社会的な関心も高まっていませんでしたので、正直なところ、当初は社内では決して好評ではありませんでした。

ご説明した通り、SSS申請には手間と時間がかかります。申請のためのデータを取得する検証のための工数も非常に多い。例えば、効果が「GHGの削減」であれば「その技術や製品を使うとどのくらい CO2 が削減できるのか?」「従来製品と比較してどれだけ環境負荷を軽減できるのか」など、さまざまな観点から多くの項目について、緻密な計算・証明をして数値を算出する必要があります。

しかも、申請した技術や製品がSSSに認定されるとは限りません。 また現在は、SSSに認定されていることが一部の社内表彰制度における認定要件の一つとなっていますが、取り組みを始めた当初は、認定されても、個人として表彰されたり、追加の開発予算が付いたりするわけでもありませんでした。わかりやすいインセンティブがなかったこともあり、SSSの意義を社員の皆さんに感じていただくまでには4~5年の月日を要しました。

――

ESGなどの非財務情報の開示への取り組みと同様に、現場の理解を得るまでには時間を要するのですね。その間に、世界で環境問題に対する意識が大きく変わり、SDGsやサステナブルなどのキーワードがトレンドになってきましたが、このことはSSSの推進に影響はあったのでしょうか。

藤田

ここ数年で、世界中で多くの自然災害が起こり、私たちは地球温暖化による現実的な危機を目の当たりにしてきました。原因とされるGHG排出量の削減についても、多くの方が課題として認識するようになり、サステナビリティ、SDGsについての理解は急速に広がっています。

こうしたことを踏まえ、SSSの重要性も高まったことから、社内でもSDGs視点での製品・技術開発の希望が出てくるようになりました。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)が前進し、「我々の仕事はSDGsにつながっている」という社内風土が醸成されつつあり、さらにSSSの売上も増進するという好循環が生まれています。

当社は、サステナビリティ推進基本原則として「事業を通じて社会に貢献する」を掲げています。そして、SSSも「環境問題の解決方法としてソリューションを提供する」ことを目的としています。今後もSSS認定製品・技術の開発・普及に注力することで、社会価値の創出ならびに持続可能な社会を構築するための課題の解決に貢献していきます。

◎会社概要
住友化学株式会社
(SUMITOMO CHEMICAL COMPANY, LIMITED)
https://www.sumitomo-chem.co.jp/
創業:1913年9月22日
〒103-6020 東京都中央区日本橋2丁目7番1号 東京日本橋タワー
代表取締役社長 岩田 圭一
事業部門:石油化学部門、エネルギー・機能材料部門、情報電子化学部門、健康・農業関連事業部門、医薬品部門、その他
従業員数:単体 6,277名/連結 34,743名(2021年3月31日現在)

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