
全国で流行している新型コロナウイルスのオミクロン派生株「ニンバス(NB.1.8.1)」の感染が、当初の予測どおりお盆明けも拡大している。特徴的なのは「カミソリを飲み込んだよう」と形容される強烈なのどの痛み。若い世代は軽症で済むケースが多いが、高齢者や基礎疾患を抱える人では重症化リスクが依然として高く、専門家は「インフルエンザと同等以上の警戒が必要」と呼びかけている。
感染状況は8週連続で増加
厚労省の最新集計(第32週・8月4〜10日)によると、全国の定点医療機関からの報告数は 2万3126件。1医療機関あたりの報告数は6.13件にのぼり、前週からさらに増加した。特に九州各県(宮崎・鹿児島・佐賀・熊本・沖縄)では全国平均を大きく上回る水準となっている。
街頭調査でも「周囲で感染した人がいる」と答えた割合は30%に達し、医療現場からは「職員の発熱者がうなぎ上りに増えている」との声が上がっている。
症状の特徴 “のどに突き刺さる痛み”
ニンバスの最大の特徴は、のどの強烈な痛みだ。「カミソリの刃を飲み込むよう」「水を飲むだけで声が出るほど痛む」といった表現が患者から寄せられている。発熱や咳などは風邪に似るが、喉の炎症の強さが従来株より際立っているという。
重症化リスク 高齢者97%が死亡例
若年層は軽症で治癒することが多いが、注意すべきは 高齢者と基礎疾患を持つ人だ。2023年5月から1年間で新型コロナによる死亡者は 3万2000人に達し、うち97%が65歳以上だった。
感染そのものは軽症でも、肺炎に移行して入院や重症化につながるケースが少なくない。
予防と対策 基本の徹底と早期受診
専門家は、流行ピークを「9月上旬」と予測する一方、冬に再び拡大する可能性を指摘する。
- 基本的な 手洗い・マスク・換気 を徹底すること
- 体調に異変を感じたら 早めに検査・受診 すること
- 高齢者や持病のある人は、症状が軽くても 受診で重症化を防ぐこと
が重要だ。
ワクチンや治療薬は有料化の影響で接種・処方が控えられる傾向にあるが、専門家は「費用面の課題はあるが、重症化リスクの高い層には接種・早期治療が望ましい」としている。
今後の備えは?
のどの激痛が伴う新型コロナ変異株「ニンバス」。若者にとっては一過性の症状に留まる場合が多いが、その感染力は世代を超えて広がり、高齢者に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
「もう大丈夫」と気を緩めるのではなく、社会全体で インフルエンザ並みの警戒心 を持ち、感染拡大を抑える行動が求められている。