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東京都が水道基本料金を4か月無償化へ 上位5県の料金とインフラ老朽化の現実

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東京都水道の基本料金4か月無償化へ
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東京都は2025年夏、都内の全一般家庭を対象に水道の「基本料金」を4か月間無償化する方針を発表した。物価高騰と猛暑による家計負担を和らげ、エアコン使用を促すことで熱中症の予防にもつなげる狙いがある。だが、全国の水道料金には最大で月額2000円以上の地域差があり、「東京だからできる」との声も上がる。368億円の補正予算を投じて実現される政策は、インフラ維持との両立が問われる試金石となる。

家計支援と熱中症予防が目的 368億円の補正予算案を提出へ

東京都は2025年6月からの4か月間、都内の一般家庭約800万世帯を対象に水道基本料金を無償化する方針を明らかにした。小池百合子都知事は5月20日の記者会見で「物価高騰の影響が長期化し、加えて今夏は猛暑が予想される。都民の熱中症予防に資する取り組みとして、光熱水費の軽減策を講じる」と説明した。これにより、口径20ミリの標準世帯では4か月で約5,000円の負担軽減となる見通しだ。

この政策の実施に向け、都は368億円を盛り込んだ補正予算案を6月の都議会定例会に提出する予定である。なお、多摩地域の一部自治体や島嶼部の家庭には、市町村が無償化を実施した場合、東京都がその財源を交付する方針だという。

 

財政格差が政策実現を分ける現実

水道事業は本来、市区町村単位で運営されるため、自治体によって料金やサービス内容に大きな差が生じている。日本テレビ放送網(2025年5月21日放送『news zero』)によると、埼玉県の大野元裕知事は「東京都の財力があってこそ可能な施策」と述べ、栃木県の関係者も「東京都とは財政状況がまるで異なる」とコメントした。

現に、東京都が一部の水道区域を除き料金の無償化に踏み切る一方で、千葉県では老朽化対策や経費増を背景に、2026年度から11市町で20%前後の料金値上げが予定されている。

 

上下水道料金に見る地域格差 最大で月額2,400円以上の差も

水道料金は基本料金と使用量に応じた従量料金から成り立っており、下水道料金も併せて徴収されるケースが一般的である。とくに家庭用で広く使われる口径13ミリメートル、月間使用量20立方メートルを想定した水道料金は、都道府県ごとに以下のような格差が生じている。

月額水道料金が高い上位5県(出典:水道ラボ)

順位都道府県月額水道料金(円)
1位青森県4,549円
2位宮城県4,363円
3位北海道4,279円
4位山形県4,228円
5位佐賀県3,948円

関東地方の主要県の水道料金

都道府県月額水道料金(円)
茨城県3,907円
千葉県3,606円
栃木県3,089円
群馬県2,454円
埼玉県2,467円
東京都2,573円
神奈川県2,142円

最も水道料金が安い都道府県

都道府県月額水道料金(円)
神奈川県2,142円

青森県と神奈川県では、同じ使用量でも月額2,400円以上の差が生じている。専門家によれば、今後はこの格差が最大20倍に拡大する可能性も指摘されており、地方の水道インフラ維持には国の財政支援が必要との声も高まっている。

 

都の説明「老朽化対策は影響なし」

今回の東京都による基本料金無償化が、水道インフラの老朽化対策に支障をきたすのではないかとの懸念もあるが、都の関係者は「あくまでも臨時的な措置であり、老朽化対策は予定通り実施する」としている。近畿大学の浦上拓也教授は「東京都の老朽化対策は全国でも進んでいる。今回は短期的な生活支援策として評価できる」とコメントしている。

今回の措置は、6月の都議会定例会および都議選を見据えた政治的判断との見方もあり、都民の生活支援とインフラ整備をいかに両立させていくかが問われている。

 

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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