前日は大阪・関西万博で神輿担ぐ行事に参加

和歌山県の岸本周平知事(68)が4月14日午前、和歌山市内の知事公舎で倒れているのを秘書と運転手が発見し、救急搬送された。県や関係者への取材によれば、知事は現在も意識不明の重体で、市内の病院の集中治療室(ICU)で治療を受けている。突然の事態に、県内外から心配と回復を願う声が広がっている。
知事公舎で倒れ、ICUで治療続く
倒れていたのが確認されたのは14日午前10時過ぎ。岸本知事はそのまま市内の病院に搬送され、集中治療室で手厚い治療を受けている。県によると、現時点で意識は戻っておらず、容体は予断を許さない状況だという。
前日は大阪・関西万博で神輿担ぐ姿も
岸本知事は13日、大阪・関西万博の開幕行事に出席。関西パビリオンで行われた式典に参加し、神輿を担ぐなど元気な姿を見せていたばかりだった。突然の異変だけに、驚きと動揺が広がっている。
SNSでは脳卒中の可能性指摘も 副知事との分担体制を求める声も
SNS上では、救急科専門医で薬師寺慈恵病院の薬師寺泰匡院長が「直前まで元気だった方が急変した場合、脳卒中の可能性が考えられる」と投稿。ただし現時点では診断は明らかでなく、「今は回復を祈り、続報を待つべき」と冷静な対応を呼びかけている。
また、SNSでは「知事職は激務。副知事との業務分担を強化すべき」といった制度整備を求める声や、「何とか助かってほしい」と回復を祈る声が多数投稿されている。
異色の経歴と政策通として知られた実力者
岸本知事は1956年、和歌山市生まれ。和歌山県立桐蔭高校から東京大学法学部へ進学し、大蔵省(現財務省)に入省。主税局や主計局で活躍した後、1995年から米プリンストン大学で客員研究員・講師を務めるなど国際経験も豊富だった。
2004年に財務省を退官後、トヨタ自動車に入社し渉外部長を務める。特に竹中平蔵氏(当時経済財政担当大臣)のブレーンとして活躍したことで知られる。しかし、その後の政界入りでは自民党ではなく民主党から立候補。構造改革路線を掲げ、異色の経歴で注目を集めた。
地元密着の政治姿勢で自民党支持層からも高い評価
岸本知事は国会議員時代、民主党内では保守系に位置し、地元活動にも熱心だった。これが功を奏し、保守王国・和歌山の和歌山1区で自民党候補を相手に小選挙区で連勝を重ねた稀有な存在である。
特に非自民系の政治家でありながら、和歌山県の「ドン」とも言われる自民党重鎮・二階俊博氏との関係も良好だった。2022年の県知事選では、自民党本部からの異例の推薦を受け、立憲民主党・社民党からの推薦も取り付け、与野党相乗りで圧勝した。こうした与野党を超えた信頼と政治力は、岸本知事の大きな特徴といえる。
今後の活躍が期待される中での突然の事態
2022年に和歌山県知事に就任して以来、地域経済の振興や財政健全化、中小企業支援などに力を入れてきた岸本知事。政党を超えた人脈と調整力で今後の県政運営に大きな期待が寄せられていた矢先のこの事態だけに、県内外から回復を願う声が相次いでいる。
県政の要である知事の健康回復と、一日も早い復帰が強く望まれている。