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マイナ保険証解除申請増加 業務効率化ならずで 7割がトラブル経験

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マイナ保険証解除申請増加
DALL-Eで作成

健康保険証とマイナンバーカードを一体化した「マイナ保険証」の導入が進む一方、現場では多くのトラブルが報告されている。千葉県保険医協会の調査では、回答した医療機関の約7割がシステムの不具合を経験しており、業務効率化にはつながっていないとの声もある。また、厚生労働省によると、マイナ保険証の利用登録解除申請が1月だけで1万件を超え、累計5万8000件以上に達した。制度の課題と今後の対応を探る。

マイナ保険証の現場でのトラブルが深刻化

マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」の運用が進む中、医療機関ではトラブルが相次いでいる。千葉県保険医協会が今年1月に実施した調査によると、県内の医科・歯科診療所など696施設が回答し、69.4%(487施設)が「トラブルがあった」と答えた。これは、昨年9月に発表された前回調査(68%)とほぼ変わらず、依然として課題が残っていることを示している。

主なトラブル内容

調査によると、最も多いトラブルは「患者の名前や住所の一部が正しく表示されない」(53.1%、373件)であり、「カードリーダーの接続不良・認証エラー」(36.2%、254件)も頻発している。また、「違う患者の住所が表示された」「変更した保険情報が反映されていなかった」といったケースも報告されている。

医療機関の対応としては、「患者が持参した健康保険証で資格確認を行った」(52.4%、368件)が最多となっており、マイナ保険証のみでは適切な資格確認が困難な現状が浮き彫りとなった。

解除申請が急増、累計5万8000件超

こうしたトラブルの影響もあり、マイナ保険証の利用登録を解除する動きが広がっている。厚生労働省の発表によると、1月の利用登録解除申請は1万3212件に達し、昨年10月下旬からの累計は5万8426件に上った。利用登録を解除すると、代わりに「資格確認書」を受け取ることができる。

新たな利用登録も進んでおり、1月の登録件数は87万3386件増加し、累計登録数は8153万414件となった。だが、利用解除の増加は、制度への不安を示す兆候といえる。

業務効率化につながらず、現場の負担増

マイナ保険証の導入は、医療現場の業務効率化を目的の一つとして掲げていた。しかし、今回の調査では「保険証の説明に時間がかかる」(49.6%、348件)、「大きな混乱はないが負担が増えている」(43.6%、306件)といった声が上がった。

千葉県保険医協会の担当者は、「トラブルは減っていない。システムが安定するまで健康保険証と併用するべきだ」と指摘し、健康保険証の復活を求める声も高まっている。

視覚障害者にとってのハードルも

また、マイナ保険証の利用において、視覚障害者などの要配慮者にとっては大きな課題も残る。静岡県の全盲の男性は、眼科でマイナ保険証を初めて利用しようとした際、顔認証や暗証番号の入力ができず、診察を受けるまでに大きな戸惑いを感じたという。現行のシステムでは、視覚障害者が単独で利用することが難しく、バリアフリー対応の必要性が指摘されている。

今後の展望と課題

政府は、マイナ保険証の普及を進める方針を維持しており、今後はさらなる改善が求められる。厚生労働省は、誤登録を防ぐためのデータチェックの強化や、カードリーダーの改善を進める方針を示しているが、現場での実効性が問われる。

また、国民が自身の医療情報を適切に管理できる環境を整えるためには、利便性だけでなく、セキュリティやアクセシビリティの向上が不可欠である。マイナ保険証の全面移行を控え、今後の対応が注目される。

まとめ

マイナ保険証の導入は進んでいるものの、トラブルが多発し、利用解除の動きも広がっている。7割の医療機関が何らかの不具合を経験しており、業務効率化にもつながっていない現状が明らかとなった。

また、視覚障害者をはじめとする要配慮者への対応も十分とは言えず、利便性向上に向けた課題は山積している。政府の対策と現場の対応が今後どのように進むのか、引き続き注視する必要がある。

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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