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富士ソフト買収戦争が決着、KKRがTOB完了へ ベインキャピタル撤退

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ベインキャピタルがTOB撤退、KKRの買収が確定的に

富士ソフトHP
藤ソフトHPより

米投資ファンドのベインキャピタルは2月17日、富士ソフト(横浜市)に対する株式公開買い付け(TOB)を断念すると発表した。これにより、先にTOBを実施していた米ファンドKKRが、19日に予定するTOB終了をもって富士ソフトの買収を完了する見通しとなった。

 

KKRの買付価格引き上げでベインキャピタルが撤退

KKRは2月4日、富士ソフトの株式買付価格を1株9,850円に引き上げ、対抗していたベインキャピタルの9,600円を上回った。この価格競争を受け、ベインキャピタルは富士ソフト創業者の野澤宏氏と協議を行った結果、価格の引き上げを行わず、TOBの実施を断念する判断に至った。

ベインキャピタルは、富士ソフトの非公開化に向けたプロセスの公正性や、同社のガバナンス体制に疑問を抱いていたとし、「本件は株主の利益を最大化するための提案であったが、これ以上の競争は適切でないと判断した」とコメントした。

 

添付資料の内容:BCJ-88の声明

富士ソフトのTOB撤退に関する公式な発表は、株式会社BCJ-88(ベインキャピタルの関連企業)より行われた。同社の発表によると、2025年2月10日にはTOBの準備を完了し、2月5日に開始予定だった。しかし、KKRの価格引き上げを受け、最終的にTOBの実施を断念したと説明している。

また、BCJ-88は、約6カ月間にわたり富士ソフトの企業価値向上を目的とした提案を行ってきたとしながらも、「新たな株主のもとでの成長を期待する」との見解を示した。

同文書には、日本の金融商品取引法や米国証券取引法の規制に関する注意事項も含まれており、海外投資家に向けた法的な観点も整理されている。特に、米国証券取引法の基準とは異なる手続きが適用される点が強調されており、日本市場特有の公開買付制度についての理解を求めている。

 

KKRの買収後、富士ソフトの経営方針に注目集まる

KKRによる買収が確定したことで、今後の富士ソフトの経営方針に注目が集まる。市場関係者の間では、同社が保有する一等地の不動産を活用し、資産の現金化を進める可能性が指摘されている。SNS上でも「不動産を活用し、大きなキャッシュフローを生み出すのではないか」との意見が出ており、KKRの戦略に関心が集まる。

また、富士ソフトのビジネスモデルについても議論が交わされている。SIer(システムインテグレーター)としての評価は高いものの、SES(システムエンジニアリングサービス)派遣事業への依存度が高いため、今後の成長戦略が問われることになりそうだ。

また、一部の取引先関係者と思われる者たちからは、富士ソフトの社内の体質について旧時代的との言及もあり、KKRの経営改革への期待とともに、課題も浮き彫りになっている。

外資ファンドによる日本企業の買収、相次ぐM&Aの波

近年、外資ファンドによる日本企業の買収が相次いでおり、今回の富士ソフト買収もその流れの一環とみられている。KKRはこれまでにもパナソニックの子会社だったPHCホールディングスを買収し、その後積極的なM&Aを実施してきた。しかし、PHCはM&Aの影響で経営が不安定になり、株価が低迷する事態を招いている。

今回の富士ソフト買収についても、「短期的な利益追求に走るのではないか」との懸念が広がっている。SNS上では「創業家だけが利益を得て、企業の本質的な価値が損なわれるのでは」との声も見られる。

 

今後の展望

ベインキャピタルの撤退によって富士ソフトを巡る買収劇は幕を閉じた。しかし、KKRの買収後、同社の経営方針がどのように変化するのか、依然として市場の注目を集めている。今後、KKRがどのような改革を打ち出すのか、引き続き注視する必要がある。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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