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2月15日、吉本興業所属のお笑いコンビ令和ロマンの高比良くるま氏が、コンビの公式ユーチューブに謝罪動画を投稿した。ほかにも十数名以上の関与が噂される事案なだけに、ここから芸能人の謹慎ラッシュが始まるのではないかと言われている。
オンラインカジノの違法性や過去の摘発事例とともに、芸能界に広がる影響について整理する。
オンラインカジノとは? 違法性のポイント
オンラインカジノとは、インターネットを通じて仮想空間上で賭博が行われるカジノのことである。海外の政府がライセンスを発行し、合法的に運営されているケースが多い。しかし、日本国内からの利用は刑法185条の「賭博罪」または186条の「常習賭博罪」に該当する可能性があり、違法とされている。
日本政府も2022年に「オンラインカジノは違法であり、関係省庁が連携して厳正な取り締まりを行わなければならない」との見解を示している。警察庁は2024年にオンラインカジノ関連の摘発を強化し、国内の利用者や決済代行業者を含めた摘発件数は前年の2.6倍に達している。
インカジとオンカジの違いとは?
近年、「インカジ」(インターネットカジノ)と「オンカジ」(オンラインカジノ)が混同されるケースが増えている。両者の違いは以下の通りだ。
項目 | インカジ | オンカジ |
---|---|---|
運営形態 | 日本国内の違法店舗型カジノ | 海外のライセンスを持つオンラインカジノ |
合法性 | 完全違法 | 日本からのアクセスは違法 |
主な摘発対象 | 店舗運営者・利用客 | 決済代行業者・利用客 |
支払い方法 | 店舗内で現金払い | 決済代行を利用 |
インカジは、実際の店舗を構えて賭博を提供する違法賭博場であり、国内の暴力団が関与しているケースも多い。一方、オンカジは合法的に運営される海外企業が提供するものの、日本国内からの利用は違法となる可能性が高い。
令和ロマン・高比良くるま氏のオンラインカジノ関与と影響
今回、オンラインカジノ問題で注目を集めたのは、お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるま氏だ。彼は警視庁から任意の事情聴取を受けたと報じられ、出演していた証券会社のYouTube番組などが公開停止となるなど、活動に影響が出ている。所属事務所の吉本興業も事態を重く受け止め、事実関係が確定するまで活動を自粛すると発表した。
SNSでは、「ダイタクのニュースが出ていたのに自首せずに収録番組に次々出ていた」ことを問題視する投稿が目立つ。構造的に「中居氏を和解済みだからと隠蔽していたフジテレビと同じ」との指摘も。
この問題はさらに広がりを見せている。「ダイタク」の吉本大氏や「9番街レトロ」のなかむら★しゅん氏も、オンラインカジノへの関与が疑われ、警視庁から任意の事情聴取を受けたとされる。さらに、東京オリンピックの卓球男子団体で銅メダルを獲得した丹羽孝希選手も、オンラインカジノで賭博を行った疑いで書類送検された。
SNSの掘り起こしで続々と露呈する“オンカジ謹慎祭り” 吉田麻也、藤田伸二、丘咲エミリら
芸能人やスポーツ選手のオンラインカジノ関与が次々と明らかになっている背景には、SNSの掘り起こしがある。過去にオンラインカジノをプレイしていたことを示す投稿が、ファンやネットユーザーによって発掘され、問題視されるケースが増えている。
たとえば、サッカー日本代表の吉田麻也選手は、オンラインカジノ「ベラジョンカジノ」の広告塔を務めていたことが発覚し、「吉本芸人がダメなら、吉田麻也はいいのか?」といった批判が噴出している。また、YouTuberやインフルエンサーの間でも、オンラインカジノ関連の動画を削除する動きが広がっている。過去の投稿画面と一緒にあがっている人には、元JRA騎手の藤田伸二氏や元AV女優の丘咲エミリ氏などが挙げられる。違法性を認識したうえでSNS投稿する人はいないと思われるため、そもそも違法であることを知らなかった人たちが多いのだろう。
こうした流れの中で、芸能界では「オンカジ謹慎祭り」とも呼ばれる事態が進行しつつある。ネット上では「次に問題が発覚する芸能人は誰か」といった予測まで行われる状況になっている。
芸能人・スポーツ選手は一発アウトの時代に
オンラインカジノ問題は、芸能界やスポーツ界に大きな影響を及ぼしている。SNSの普及により、過去の行動も掘り返されやすくなった今、著名人が違法賭博に関与すれば、即座に社会的な信用を失うリスクがある。
吉本興業などの芸能事務所は、所属タレントのコンプライアンス違反を厳しく取り締まり、違反者には外部弁護士を交えた調査を行う方針を示している。今後も、オンラインカジノに関与した芸能人やスポーツ選手の摘発や活動自粛が続く可能性が高い。
オンラインカジノの世界は、短期間で大金を得られる魅力的な側面がある一方で、違法行為に足を踏み入れるリスクも極めて大きい。芸能人やスポーツ選手に限らず、誰もが安易に手を出さないよう注意が必要だ。