![4人の元アイドル訴えられる](https://coki.jp/wp-content/uploads/2025/02/resized_anime_idols_press_conference.jpg)
旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ、以下「スマイル社」)の創業者、故ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、同社が被害を訴える4人に対し、「損害賠償債務が存在しないことの確認」を求めて提訴したことが判明した。
性被害者が加害側の企業から逆に訴えられるという異例の事態に、世論は騒然となっている。
「これが被害者に寄り添う行動か?」
提訴された元ジャニーズJr.の田中純弥氏(43)ら当事者は6日、記者会見を開き、「スマイル社の対応は、被害者をさらに苦しめるものだ」と怒りをあらわにした。
スマイル社、なぜ今提訴? 背景に“米国訴訟”の影
今回スマイル社が提訴したのは、同社を相手取り米国・ネバダ州で総額3億ドル(約470億円)の賠償を求めた元ジャニーズJr.の田中純弥氏、飯田恭平氏(37)、さらに元ジャニーズJr.の大島幸広氏(39)、アイドルグループ「忍者」元メンバーの志賀泰伸氏(56)の4人だ。
スマイル社は、同社が設けた被害者救済委員会による補償枠組みに応じるよう求めていたが、4人のうち3人は調停でも合意に至らず、1人は提示された補償額以上の支払いを求めていたという。
同社は「被害者救済委員会の判断に従う立場であり、公平性を保つためにも補償金額を増減することはできない」としている。
「被害者への威圧行為」 元Jr.が会見で批判
6日に開かれた会見では、田中氏と大島氏が登壇し、スマイル社の対応を批判した。田中氏は「米国での提訴が報じられた直後に逆に訴えられた。これは被害者への威圧行為だ」と述べた。大島氏も「本当に被害者に寄り添うつもりがあるのか。問題を早く終わらせたいだけのように思える」と語った。
さらに、被害者側の弁護士である渥美優子氏は、「スマイル社が一方的に設定した補償の枠組みを押しつけ、被害者の声を封じようとしている」と厳しく批判した。
一方で、スマイル社は「日本に住む人から日本企業に対する補償請求であり、米国の裁判所には管轄は認められない」として、日本での解決を主張している。
SNSでは賛否両論
この問題をめぐり、SNS上ではさまざまな意見が交わされている。被害者への寄り添いを求める声がある一方で、スマイル社の対応を支持する意見も見られる。
被害者を支持する声としては、「性加害の被害者が加害側の会社に訴えられるなんて前代未聞。スマイル社は本当に反省しているのか」「補償額が低すぎる。泣き寝入りを強要しているように見える」といった意見がある。
一方で、「被害者に寄り添うことは大切だが、すべての請求に応じるのは非現実的だ」「証拠が不明確なケースもある。適切な基準を設ける必要がある」との指摘もあり、被害者側と企業側の意見の隔たりが浮き彫りとなった。
法的な視点からは、米国の裁判所が管轄を認める可能性や、日本で先に「債務不存在」の判決を取ることで米国での賠償命令の執行が難しくなる点が指摘されている。
“逆提訴”が示す今後の展開とは?
今回のスマイル社の動きは、性加害問題の補償をめぐる新たな局面を示している。
実際、スマイル社は昨年11月にも、ジャニーズ性加害問題当事者の会(昨年9月解散)元副代表・石丸志門氏(57)に対し、「損害賠償債務は1800万円を超えないことの確認」を求める訴訟をさいたま地裁に起こしている。
被害者側は「被害者救済の名のもとに、企業側の都合で補償額を決めることは許されない」と反発しており、今後さらなる法廷闘争へと発展する可能性もある。