内閣府は4日、「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果を公表した。結婚後に戸籍上の姓が変わった場合、働く際に旧姓を通称として使用したいかを尋ねたところ、「使用したいと思う」と回答した人は43.3%にのぼり、前回調査(2023年公表)より4.2ポイント増加した。「使用したいと思わない」は55.2%だった。
年代・性別別の傾向
年代別で最も高かったのは30代で57.8%。次いで50代が48.2%、40代が48.0%、18~29歳が45.2%と続いた。男女別では男性が47.7%、女性は39.6%で、いずれも前回調査から上昇している。
調査は2024年9月から11月にかけて実施された。昨年9月の自民党総裁選以降、選択的夫婦別姓制度の導入をめぐる議論が活発化しており、こうした社会的な動向が影響した可能性がある。今回の調査では、夫婦別姓制度そのものの賛否を問う設問は設けられなかった。
また、夫婦の名字や姓に関する制度の議論を身近に感じたことがあるかについては、「ある」が44.0%で、2022年の前回調査から2.7ポイント増加。「ない」は53.2%で、0.9ポイント減少した。内閣府の担当者は「政治の議論が影響を与えた可能性がある」との見方を示している。
男女の地位と社会意識
一方、社会全体での男女の地位について、「平等になっている」と答えたのは16.7%にとどまった。分野別では「政治」が9.4%、「社会通念・地域の慣習・しきたり」が16.3%と特に低かった。「家庭生活」は30.0%、「職場」は25.8%と、依然として男女格差の認識が強いことが示された。
男性が育児や介護に積極的に参加するために必要な要素としては、「職場における上司や周囲の理解」(67.8%)、「男性自身の抵抗感をなくす」(63.1%)、「夫婦間でコミュニケーションをよく図る」(60.9%)が挙げられた。
調査は18歳以上の5,000人を対象に郵送で行われ、有効回収率は53.5%だった。
SNSでの反応
SNS上では、旧姓の通称使用をめぐりさまざまな意見が交わされている。
あるユーザーは、「結婚時に夫婦のどちらかが戸籍上の姓を名乗る現行制度を変えることは簡単ではないが、会社で旧姓を使い続けることは本人の希望を尊重してほしい」と述べ、通称使用を柔軟に認めるべきだと主張した。
一方で、「旧姓の通称使用を可能にする運用の工夫が必要だが、政府は夫婦別姓を最重要課題のように扱いすぎではないか。物価対策など、ほかに優先すべき課題があるのでは」と、政府の政策の優先順位に疑問を呈する声もあった。
また、別の意見として、「旧姓の通称利用が可能なら妻の姓に改姓してもよいと考える男性がどれだけいるか調査すべき」との提案も寄せられた。多くの男性が改姓を自分事として考えていない現状を指摘し、「旧姓使用が本当に別姓問題の解決策になるのかを明らかにするべき」との意見が上がっている。
ある投稿では、「旧姓使用が本当の苗字と同等なら、多くの男性が『もちろん改姓します!』と回答するはず。そうでないならば、改姓に関する認識に大きなギャップがあるのではないか」との考察がなされ、改姓に関する意識の違いに注目すべきだとする声もあった。