マイナ保険証に関連する資格確認アプリで、不同意にもかかわらず薬剤情報が提供される不具合が発覚した。背景にある原因と影響、今後の対応が注目されている。
不具合の概要
厚生労働省と資格確認アプリの運営元によると、昨年10月から2025年1月15日までの間、情報提供を不同意として登録していたにもかかわらず、患者の薬剤情報が医療機関に提供される不具合が発生した。確認されたケースは少なくとも26件、最大で37件にのぼる可能性がある。原因はアプリのプログラムの不具合とされ、運営元は1月20日に改修を完了したと発表した。同社は再発防止策を策定し、個人情報の適切な管理を徹底するとしている。
背景にある要因と影響
マイナ保険証は、利便性向上を目的に健康保険証のデジタル化を推進する中で導入された。しかし、プログラムミスにより個人情報が意図せず提供される事例が発生し、デジタル化に対する信頼が揺らぐ結果となった。高齢者を含む幅広い層が利用するマイナ保険証は、利便性だけでなくセキュリティ面の確保が必須である。特に今回のような不具合は、患者と医療機関の間に不安を生じさせ、導入への抵抗感を助長しかねない。
マイナンバーでできること
マイナンバーカードは顔写真付きの公的身分証明書として利用できるほか、住民票や印鑑証明書、戸籍謄本などの公的証明書をコンビニエンスストアで取得することが可能だ。また、e-Taxを活用した確定申告や納税記録の確認、社会保険情報の閲覧もできる。医療機関ではマイナ保険証として利用することで、受付手続きが迅速化し、医療費や薬剤情報の管理が一元化される。
さらに、年金記録の確認や手続きの進捗状況の把握、保育施設の申請や児童手当の手続きといった子育て支援、災害時の支援金申請や行政サービスの迅速な利用といった場面でも活用されている。一部の自治体では、地域限定のポイント還元や商品券のデジタル化にも利用され、地域経済の活性化にも寄与している。加えて、行政手続きのオンライン化により、書類提出や窓口手続きが減少し、利便性が向上している。
メリットと課題、SNSの声
デジタル化による利便性の向上は明らかである一方、今回のような不具合や個人情報漏洩のリスクは大きな課題だ。プログラムの管理不足やシステム障害が生じると、利便性が一転して利用者の不安要因となり得る。また、高齢者層への対応の難しさやデジタル技術に不慣れな利用者へのサポート不足も課題として挙げられる。
SNSでは「デジタル化自体に反対ではないが、不具合が続くと信頼を失う」「紙の保険証を残すべき」といった声が多く寄せられている。さらに「医療情報が不適切に提供されたことで患者と医療機関の信頼関係が損なわれる」といった懸念もみられた。一方で、デジタル化のメリットを評価する声も少数ながらあり、利便性と安全性の両立を求める意見が多い。
この先の流れ
厚労省とアプリ運営元は、再発防止策の策定に向けた取り組みを進めるとしている。また、利用者が安心してサービスを利用できるよう、セキュリティの強化や運用管理体制の見直しが急務とされる。同時に、紙の保険証の併用継続や、高齢者を含む利用者への支援策も重要な課題となるだろう。
考察
今回の事例を受け、デジタル化の進展には高いセキュリティ意識と万全の管理体制が欠かせないことが再認識された。利用者としては、デジタルサービスの利便性を享受しつつ、提供される情報への目を光らせる必要がある。また、政府や運営企業は透明性のある対応を進めることで、国民の信頼を回復する努力を継続すべきだ。デジタル化の波は不可避であるが、その基盤には「安全であること」が求められる。