17日にフジテレビが開催した定例記者会見に関し、オンライン署名サイト「Change.org」にて「記者会見のやり直し」と「真相解明」を求める署名運動が立ち上がった。署名は元朝日新聞記者で新聞労連委員長を務めた琉球新報編集委員の南彰氏ら有志によるもので、署名運動は会見直後の19日に開始された。
記者会見に対する批判と問題点の指摘
署名発起人である南氏は、会見が公正さを欠いていたと指摘。映像撮影を禁じたほか、質問はラジオ・テレビ記者会に加盟する一部メディアのみに限定され、NHKや在京キー局はオブザーバーとしての参加に留まった。また、週刊誌やフリーランス記者は会見場への立ち入りを許可されなかった。さらに、港浩一社長が質疑応答で「プライバシー保護」を理由に具体的な回答を避け続けた点についても批判が集中している。
南氏は声明の中で、「今回の問題は単なる『女性トラブル』ではなく、女性社員を犠牲にした重大な人権侵害の疑いがある」と述べ、フジテレビの姿勢がメディア業界全体の信頼を損なうと強調した。
過去の経緯と港社長の判断に批判
SNSや署名賛同者の声を通じ、フジテレビの過去の対応や港浩一社長の判断への批判が強まっている。一部では「真実を報道する責務を持つメディアの責任者が、あのような史上最低レベルの会見を行った責任は重大であり、それだけでも辞任に値する」といった意見が見られる。
さらに、「現社長には厳しい質問に回答できる自信や能力がないからあのような会見になった。タレントや上司の方向を向いて生きてきた人が、社員や国民に向き合うことは難しいのではないか」と指摘する声もある。
また、2023年6月初旬に中居氏のトラブルが発生していたにもかかわらず、その半年後にスクープが報じられるまで社内で公然化しなかったことについても批判が集まっている。特に、タレント松本人志氏が同年12月27日に番組「まつもtoなかい」を離脱した際、番組の打ち切りという形で対応しなかった判断に疑問を呈する声が多い。
「事件を伏せながら番組名を変更し、放送を継続したのは隠ぺいにあたるのではないか」という指摘もある。
さらに、2024年10月に行われたMLB中継番組で中居氏をMCとして起用した点について、「フジテレビは調査を行わず、むしろ彼を起用する形で事件を軽視している」として、港社長の判断を厳しく非難する声が広がっている。
フジテレビ藤本アナウンサーの慎重な発言
19日放送の「Mr.サンデー」に出演したフジテレビの藤本万梨乃アナウンサーは、今回の一連の騒動に関し、自身の立場から慎重なコメントを述べた。藤本アナウンサーは、「私は中居さんと直接お会いしたことはなく、詳しい事情についても知りませんが、こういった状況に至ってしまったことは非常に残念です」と前置きした上で、騒動の影響を受けている同僚や関係者に寄り添う姿勢を示した。
また、「現状では根拠のない臆測が広がり、否定する場も与えられずに苦しい思いをしている仲間がいます。フジテレビとして、この問題にしっかりと向き合い、視聴者や社員、関係者に対して透明性を持った説明を行うべきだと思います」と訴えた。
さらに、今後の調査について「独立性、客観性、中立性を担保した第三者による調査が必要だと考えます」と述べ、視聴者や社内外に向けた公正な対応を求める意見を表明した。
SNSで広がる批判の声
SNSでは、今回のフジテレビの対応や港浩一社長の会見に対し、厳しい意見が相次いでいる。「事件の隠ぺいと受け取られても仕方がない。女性社員を守らず、信頼を損なうような対応を続けていれば、経営陣の刷新は避けられないだろう」といった声が多い。
また、「歴代の経営陣も、このような企業体質を生んだ責任がある」といった指摘もあり、組織全体での反省と改革を求める声が増えている。
一方で、「署名活動や記者の発言を通じて、メディア業界全体の体質を見直す良いきっかけになるかもしれない」といった前向きな意見もあり、フジテレビへの期待とともに厳しい視線が注がれている。
今後のフジテレビの対応に注目
署名活動の広がりと社員からの訴えを受け、フジテレビがどのように対応するのか注目されている。公正さと透明性を確保した対応が求められる中、同局が信頼を回復できるかが問われている。