半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスは、12月18日に東京証券取引所プライム市場へ上場する。9日には、新規株式公開(IPO)価格を1株当たり1455円に設定したと発表。
この公開価格に基づく時価総額は約7840億円と算出され、2024年日本国内最大のIPOとなる見通しだ。
キオクシアのIPO価格が決定、時価総額は7840億円に
キオクシアは9日、関東財務局に提出した届出書で公開価格を1株1455円に決定したと公表した。この価格は仮条件(1390~1520円)のほぼ平均値であり、現在の市場環境や投資家からの需要を考慮して決定されたという。公開株式に対して需要が上回ったことが背景にある。
時価総額は7840億円とされ、同じく2023年に上場した東京地下鉄(東京メトロ)の規模を上回る。キオクシアの上場は、日本国内のみならず国際市場においても注目を集めている。
筆頭株主ベインキャピタルと東芝による一部株式売却
キオクシアのIPOに伴い、筆頭株主である米ベインキャピタルと東芝は保有株式の一部を売却する。公開後の持ち分は、ベインキャピタルが現状の56.23%から51.64%に、東芝は40.64%から32.01%に減少する見込みとロイターは報道している。これにより、両者の影響力はやや緩和される形となる。
東芝はもともとキオクシアの前身である東芝メモリを保有していたが、構造改革の一環として株式の多くをベインキャピタルに譲渡した経緯がある。今回の上場により、東芝は追加の資本を確保することができる見込みだ。
市場環境とキオクシアの事業展望
今回の上場は、半導体市場全体が供給過剰と需要減少の「谷」の時期にある中で実現した。しかし、キオクシアは技術力の高さから業界内で競争力を維持している企業とされ、特にNAND型フラッシュメモリ分野での存在感が大きい。市場の先行きは不透明であるものの、同社は引き続き技術革新を武器に成長を図る構えだ。
一方で、半導体市場には特有のサイクルが存在し、数年ごとに需要と供給のバランスが変動する。今年は規模拡大を進める企業にとって厳しい局面となっており、キオクシアの上場がどのような影響をもたらすか注目されている。
SNSでの反応、国内企業への期待と半導体業界の課題
SNSでは、国内企業としてのキオクシアを応援する声が多数見られる。「国際水準で戦える国内メーカーは少ない中、キオクシアは頑張ってほしい」との意見もあった。一方で、半導体業界の不安定な市場環境に対する懸念や、競合他社との厳しい競争を指摘する声もある。
また、価格面での競争や製品の品質についてはおおむね肯定的な評価が寄せられており、「コストパフォーマンスが良い」「国際的に見ても遜色ない品質だ」とのコメントが目立つ。ただし、一部では「パッケージデザインの改善が必要」といった具体的な改善点を求める声もある。
国際競争の中で日本企業はどう進むべきか
キオクシアの上場は、日本の半導体業界にとって大きな節目となる。同社は、世界的な競争が激化する中、技術革新を継続し、国際市場での地位をさらに高めることが期待されている。一方で、業界全体としての市場サイクルや地政学的リスクも無視できない課題として立ちはだかる。
今回のIPOを通じて得られる資金をどのように活用し、新たな成長戦略を描くのか。キオクシアが国内外の厳しい競争環境で成功を収めるためには、持続的なイノベーションと経営戦略の柔軟性が鍵となるだろう。