三菱UFJ銀行の元行員が東京都内2支店の貸金庫から顧客の資産を繰り返し盗んでいたことが明らかになった。被害総額は十数億円に上り、金融業界での信頼回復が問われている。
貸金庫から十数億円窃取、元行員を懲戒解雇
三菱UFJ銀行は24年11月22日、元行員が東京都内の2支店で貸金庫から顧客の金品を繰り返し盗んでいたと発表した。
元行員は貸金庫の管理責任者としての立場を悪用し、約4年半にわたり練馬支店(旧江古田支店を含む)と玉川支店で不正行為を続けていた。
被害者は約60人に上り、被害額は時価で十数億円に達するという。
顧客からの指摘で発覚
事件が明るみに出たのは2023年10月末。
貸金庫を利用する顧客から「預けていたものが減っている」との指摘があり、銀行が調査を進めたところ、元行員が関与していることが判明した。元行員は事実を認め、11月14日付で懲戒解雇処分を受けた。
三菱UFJ銀行は現在、警察と連携して事件の全容解明を進めるとともに、被害者への補償を速やかに進めている。
機能しなかった管理体制
三菱UFJ銀行によれば、貸金庫の管理には厳格なルールが定められ、第三者による定期的なチェック体制も整備されていたという。しかし、これらの仕組みが長期間にわたって機能せず、不正行為を未然に防ぐことができなかった。
同銀行は「信頼・信用というビジネスの根幹を揺るがす事案」とし、再発防止策の徹底を最優先課題とする姿勢を示している。
金融業界で相次ぐ不祥事
今月は金融業界で不祥事が相次いでいる。
三井住友信託銀行では元社員がインサイダー取引に関与した疑いが発覚し、野村証券は元社員が強盗殺人未遂で逮捕など相次いだ。
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