
女性向け男性批判番組が定番化する中、逆の企画が「女尊男卑のダブルスタンダード」を浮き彫りにしたとして注目を集めている。
番組概要と炎上発端
テレビ東京は6月8日と15日の深夜0時から2週限定で同番組を放送した。
MCのせいやをはじめ、ニューヨーク・嶋佐、見取り図・盛山ら男性陣と女性タレントが合コン形式でトーク。
男性陣が気になる発言が出るとボタンを押し、壁を降ろして女性に聞こえない状態で本音を語るシステムを採用した。事前告知では内容をほぼ非公開とし、タイトルとせいやの名前のみを公表。
こうしたミステリアスな手法が放送前からSNSで話題を呼んだ。
炎上のきっかけとなったのは番組内の具体的な発言だ。せいやは女性が熱中するMBTI性格診断について「何がおもろいねん」「誰かが仕掛けたやつにすぐ乗っかる」と強い口調で批判。
嶋佐は「女子の8割はページをめくる動作ができないから漫画が読めない」などと指摘したほか、服装や経験値に関する本音も飛び出した。
これらが「女性蔑視」「男女分断を煽る」と受け止められ、X上で急速に拡散された。
番組タイトルが「女性は見ないで」と予防線を張っていたにもかかわらず、女性視聴者を中心に批判が殺到した。
せいやの番組内発言と事後反応
せいやは番組内で積極的に男性側の不満を代弁した。
MBTI関連では「冒険者? いが~い!ってなんがやねん」と興奮気味に語り、「あいつら!」と表現する場面もあった。
共演者の盛山がフォローする一幕が見られたが、全体として男性の本音をストレートにぶつける姿勢が目立った。
放送後、せいやは自身のYouTubeチャンネル「霜降り明星せいやのイニミニチャンネル」で動画を公開。
「全然違いますよ。トークバラエティーなんで」と番組の意図を説明した。
また、ラジオ番組「霜降り明星のオールナイトニッポン」では炎上について「5文字で表現すると…言いたいことも、まぁいっぱいありますけど…」と含みを持たせ、編集による文脈の切り取りに苦言を呈した。
X上では「男性しか観てないのに13位 すごい」と視聴状況をポジティブに触れる投稿も見られた。
せいやは覚悟を持って出演したものの、予想以上の反響に直面した形だ。
テレ東定例会見
7月2日、テレビ東京は東京・六本木で定例会見を開き、番組について直接言及した。
吉次弘志社長は「いろんな意見が出ているのは承知しているので、そのへんの意見は真摯に受け止めて、今後の番組作りに生かしていきたい」と述べた。
男女分断を煽っているとの指摘に対しては「そういう意見も含めて非常に真摯に受け止めている」と繰り返した。
取締役の和田佳恵氏は「ご覧いただいたそれぞれの方の受け止めがあるが、何かの方向に寄せようというのではない」と番組意図を説明。
当初から2本限定の予定だったことを明かし、人権意識については「会社全体としてかなり強く意識してやっている」と強調した。
また、せいやら出演者へのフォロー体制については「スタッフがきちんとコミュニケーションを取っており、そういう状況にはなっていない」とし、批判の矛先が出演者に集中しないよう配慮していることをアピールした。
テレ東は騒動を重く受け止めつつ、計画通りの終了を強調する対応を取った。
指摘されるダブルスタンダード 「女性批判番組はOKなのに」
今回の炎上で特に注目されたのは、既存の女性向け男性批判番組との比較だ。
日本テレビの「上田と女が吠える夜」では女性陣が男性や社会への不満を「吠える」形式で展開し、フジテレビの「トークィーンズ」も女性軍団が男性ゲストの本音を引き出しつつ女性視点のトークを展開している。
これらは長期放送され、女性視聴者の共感を呼ぶコンテンツとして定着している。
一方で男性が女性の本音を語る番組は即座に「女性蔑視」と批判されるケースが多く、視聴者から「女尊男卑」「逆なら炎上しないのか」との声が相次いだ。
番組関係者や一部論評では「日本のバラエティは9割が女性が男性をディスる内容」と指摘されており、こうしたアンバランスが反発を強めた要因と見られる。
ジェンダー表現の線引きが一方通行になりやすい現状が浮き彫りになったと言える。
反響の大きさと今後の影響
反響の規模は報道発表後さらに拡大した。
Yahoo!ニュース関連記事のコメント数は1300件を超え、X上では番組名関連の投稿が数万件規模で拡散。
芸能ニュースとしては異例の盛り上がりを見せ、テレ東会見の内容まで即時報道された。
支持層からは「やっと男性の声が出た」「笑える本音トーク」との意見、批判層からは「このご時世に不適切」との声が二極化している。この騒動は単なる一番組の炎上を超え、テレビバラエティにおけるジェンダー表現の在り方や、視聴者層による受け止め方の違いを改めて問いかけた。
テレ東は今後の番組制作に「真摯に生かす」としているが、類似企画の登場や業界全体の議論喚起につながる可能性もある。
深夜枠のエンターテイメントが社会的な鏡となるケースとして、今後も注目されそうだ。



