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東京エレクトロン台湾子会社に罰金7.6億円 TSMC機密情報不正取得事件で元社員に懲役10年

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台湾積体電路製造(TSMC)の先端半導体技術をめぐる営業秘密事件で、台湾の知的財産・商業法院は4月27日、東京エレクトロン台湾子会社の元社員、陳力銘(Chen Li-ming、チェン・リーミン)被告に懲役10年の一審判決を言い渡した。東京エレクトロンの台湾法人には、従業員への監督責任を十分に果たしていなかったとして、1億5000万台湾元、日本円で約7億6000万円の罰金が科された。中央社フォーカス台湾によると、被告側は上訴できる。

 

TSMCから東京エレクトロン台湾子会社へ転職した陳力銘被告

中央社フォーカス台湾によると、台湾高等検察署知的財産検察分署の起訴状では、陳力銘被告はもともとTSMCのエンジニアだった。TSMCでは新竹サイエンスパークにある「Fab 12」で、半導体製造の良品率向上や不良原因の解析に関わる歩留まり関連部門に所属していた。退職後は、東京エレクトロン台湾子会社のマーケティング部門に移った。

Fabは半導体工場を指す言葉で、歩留まりは、製造した半導体のうち、検査を通って製品として使える割合を意味する。歩留まり関連部門は、製造工程で発生する不良やばらつきを分析し、工程条件や装置の改善につなげる役割を担う。今回の事件では、TSMCの先端工程に関わった人物が、同社の半導体製造装置サプライヤーである東京エレクトロン側へ転じた後、TSMC時代の人脈を通じて営業秘密を取得したとされた。

2ナノ半導体のエッチング工程に関する営業秘密

中央社フォーカス台湾によると、陳力銘被告は東京エレクトロン台湾子会社への入社後、2023年下半期から2025年上半期にかけて、当時TSMCのエンジニアだった被告2人に対し、中核的技術や営業秘密の提供を繰り返し求めた。目的は、2ナノメートル半導体のエッチング工程で、量産装置の供給資格を得ることだったという。

エッチングは、半導体製造でウェハー上の不要な部分を削り取り、微細な回路パターンを形成する工程である。2ナノメートル世代の半導体は、AI向け半導体や高性能プロセッサーで競争力を左右する先端領域にあたる。TSMCは世界最大手の半導体受託製造企業であり、Apple、NVIDIA、AMDなどの設計企業から製造を受託するファウンドリーとして知られる。

ロイターは、台湾の裁判所が5人に禁錮刑を言い渡し、事件の中心人物だった陳力銘被告に10年の刑を科したと報じている。ロイターによると、他のTSMC元社員3人には2年から6年の刑が言い渡され、東京エレクトロン元社員1人には証拠隠滅に関して禁錮10カ月、執行猶予3年の判決が出た。

 

東京エレクトロン台湾法人に1億5000万台湾元の罰金

東京エレクトロン台湾法人に対しては、1億5000万台湾元の罰金が命じられた。ロイターによると、裁判所は東京エレクトロン側の組織的関与を認定しなかった一方で、同社台湾法人が監督義務を果たしていなかったと判断した。罰金のうち1億台湾元はTSMCに、残る5000万台湾元は台湾国庫に支払われる。

AP通信も、陳力銘被告がTSMC時代の人脈を利用して機密資料を入手し、それを東京エレクトロン側のTSMC向け供給案件に役立てようとしたと裁判所が判断したと報じている。東京エレクトロンには1億5000万台湾元の罰金が科され、ほか4人にも最長6年の刑が言い渡された。

東京エレクトロンは情報管理体制の強化を表明

東京エレクトロンは判決後、判決の指摘を厳粛に受け止め、グループの情報管理体制などをさらに強化していくとのコメントを出した。国内テレビ局の報道でも、同社が「当社グループの情報管理体制等のさらなる強化等を図って参ります」と述べたことが伝えられている。

ロイターによると、東京エレクトロンは、調査および判決で同社グループによる組織的関与や機密情報の外部流出は確認されていないと説明している。TSMCは営業秘密の侵害に対して厳格な姿勢を示しており、今回の判決は、台湾の半導体産業を支える先端技術をめぐる刑事事件として、現地メディアや国際通信社が相次いで報じた。

 

TSMCと東京エレクトロン、半導体産業の主要企業

TSMCは台湾に本社を置く世界最大手の半導体受託製造企業である。自社ブランドの完成品を販売する企業ではなく、世界の半導体設計企業から製造を受託し、スマートフォン、データセンター、AI向け半導体などの生産を担っている。先端プロセスの開発力と量産能力は、各国の半導体政策や企業戦略にも大きく関係している。

東京エレクトロンは、半導体製造装置を手がける日本の大手企業である。成膜、エッチング、洗浄、熱処理成膜など、半導体製造の複数工程で使われる装置を供給している。TSMCにとっては製造装置サプライヤーの一社であり、今回の事件では、同社台湾子会社に転職した元TSMC関係者が関与した営業秘密事件として判決が下された。

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ライター:

東京都出身。一日中ネットに張り付いている。

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