「VIVANT」を地で行く華麗なる経歴の裏側 45歳商社マンを突き動かした“禁断の憧れ”と、あまりにマヌケな幕切れ

「米軍に憧れがあり、少しでも触れ合いたいと思った」
神奈川県警の調べに対し、45歳の「選ばれしエリート」は、まるで少年の落胆を隠せないような口ぶりでそう供述しているという。
2月19日、日米地位協定に伴う刑事特別法違反の疑いで逮捕されたのは、大手総合商社・住友商事の社員、水野圭隆(よしたか)容疑者だ。住所は港区南青山。職名はイラク駐在員。誰もが羨む肩書きを持つ男が、なぜ横須賀の米軍基地へ「偽造ID」を手に忍び込むという暴走に手を染めたのか。
完璧すぎたプロフィール:国際紛争解決のスペシャリスト
水野容疑者の経歴は、まさにドラマの世界そのものだ。
- 名門・NICインターナショナルカレッジを卒業。
- カリフォルニア州立大学サンディエゴ校で「国際紛争解決学」を専攻。
- 住友商事入社後は、中東・イラクなどの最前線で活躍。
かつて同窓会の座談会に登壇した際には、後輩たちから憧れの先輩として仰がれる存在だった。まさに、知力と行動力を兼ね備えた商社マンの鑑である。しかし、その知力は、あろうことか「米軍基地への不法侵入」という歪んだ目的に注がれてしまった。
“工作員”の化けの皮が剥がれた「致命的なミス」
事件は2025年10月23日。水野容疑者は偽造されたIDカードを提示し、警備の目を盗んで米海軍横須賀基地へ侵入した。さらに、基地内で軍関係者専用のレンタカーを借り出すという大胆不敵な行動に出ている。
しかし、その「完璧な潜入計画」を台無しにしたのは、あまりに日常的で、あまりに初歩的なミスだった。
都内での駐車違反である。
路上駐車の取り締まりを受けた際、水野容疑者はあろうことか、免許証と共に「偽造IDカード」を警察官に提示してしまったのだ。不審に思った現場の警察官から警察庁を経由し、神奈川県警へと情報が共有されたことで、彼の隠密行動は白日の下に晒されることとなった。
2023年から繰り返された「基地巡り」
県警の調べによれば、水野容疑者はイラク駐在が始まった2023年頃から、横須賀以外の米軍施設にも偽造IDで出入りし、複数回レンタカーを借りていたことが判明している。
ネット上では、その経歴から「リアルVIVANT(別班)か?」と囁かれる一方で、「45歳にもなって別班ごっこか」「駐禁でバレるスパイなんていない」と失笑を買う事態に。
商社マンとして、世界の紛争をビジネスで解決するはずだった男。彼が最後に直面したのは、米軍への盲目的な憧れが招いた「自らの社会的破滅」という名の紛争だった。偽造IDの入手ルートを含め、エリート商社マンの闇はどこまで深いのか。



