
お笑いコンビ「東京ダイナマイト」のツッコミとして知られるハチミツ二郎(50)が、左足を膝上から切断したことが明らかになった。発表したのは盟友の有吉弘行(51)。
10月5日放送のJFN系ラジオ「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」で、有吉が突然語った一言に、スタジオは一瞬静まり返ったという。幾度も生死の境をさまよいながらも舞台に立ち続けた芸人が、いま再び大きな試練を迎えている。
有吉弘行が生放送で突然の告白
お笑いコンビ「東京ダイナマイト」のハチミツ二郎(50)が、手術により左足を膝上から切断したことが波紋を呼んでいる。
有吉弘行が自身のラジオ番組で、「ハチミツ二郎さんが足を切りました」と明かしたのは10月5日。番組ではTBS系「オールスター後夜祭」の話題をしていた最中で、突然の発言に共演者たちは息をのんだ。
有吉は「詳しくはハチミツ二郎の“note”ね」と紹介。本人の有料ブログに綴られた詳細を「なかなか読み応えがある」と評した。生放送の空気を感じさせながら、有吉は静かに仲間の壮絶な決断を伝えたのだ。
同番組に出演していた「タイムマシーン3号」の関太は、二郎と親しい「二郎会」の一員として胸中を明かした。
「“切っちゃったよ”って言うんです。まるでコケたくらいのテンションで」。あまりの軽さに一瞬、冗談かと思ったという。「でも、笑顔が増えてました。前向きになっていて、これはプラスととらえています」と語った。
有吉も「切る・切らないってのはセンシティブな話だけど、切ったことで軽くなったり良くなったりもあるでしょう」と語り、病に苦しんできた仲間の選択を肯定的に受け止めた。そして冗談めかしてこう付け加えた。
「『note』でみんな読んでくれたら、いい義足が作れる。火が出たり、仕込みナイフが入ってたりね」。
スタジオには笑いが戻り、最後には「みなさんも体調には気を付けて」と穏やかに呼びかけた。
幾度も死線を越えた芸人
ハチミツ二郎の闘病は、これまでも波瀾に満ちていた。2018年に急性心不全と呼吸不全で倒れ、一時は危篤状態。2021年には新型コロナウイルスに感染し、集中治療室で8日間意識不明の状態が続いた。
「死んだと思った」と本人が後に語ったように、その体験は壮絶だった。奇跡的に回復したものの、腎機能の低下により人工透析が始まり、体の自由は次第に奪われていった。
2023年には腎移植の試みも行われたが、結果は失敗。さらに敗血症性ショックを起こし、左脚の筋肉内に膿瘍ができた。命を落とす危険もあったが、それでも舞台への情熱を絶やさなかった。
昨年3月には「腎移植失敗による体調不良」を理由に入院を公表。翌月、漫才師としての活動休止を発表した。その後は電動車いすで生活し、今年9月にも再入院していたことを自身のX(旧ツイッター)で明かしている。
苦渋の選択と、静かな覚悟
医師から「このままでは命に関わる」と宣告され、最終的に選んだのが膝上からの切断だった。感染や壊死の進行を食い止めるために、手術は避けられなかったという。
関太は「正直、“もう無理かも”と思った瞬間が何度もあった」と打ち明ける。それでも、二郎は“芸人の矜持”を貫いた。どんな苦境でも笑いに変える。それが彼の生き方だった。
「足を切っても、魂までは切れない」。
そんな言葉が似合う。
有吉は「これで済んだか、という言い方もできる」と語り、むしろ“生きている”ことの重みをかみしめたようだった。
再起を信じる仲間とファン
SNSでは放送直後から、「二郎さんの笑顔がまた見たい」「義足で漫才に立つ姿を見せてほしい」といった応援の声が殺到した。
有吉の「noteで支援を」という呼びかけに応じるように、ハチミツ二郎のページにはアクセスが集中。記事収益を義足や治療費に充てる意向を示しており、ファンの温かい支援が広がっている。
一方、業界関係者は「彼の回復力は尋常ではない。医療スタッフを笑わせながら生き延びてきた人」と話す。笑いを力に変え、命をつなぐ——その姿は、芸人という枠を超えて人間の尊厳を映している。
終わりではなく、始まり
ハチミツ二郎の人生は、常に“崖っぷち”と隣り合わせだった。それでも彼は何度も帰ってきた。今度は義足をつけて、またステージに立つ日が来るのかもしれない。
有吉が最後に言った「次の笑いを楽しみにしててください」という一言が、すべてを物語っていた。
病にも死にも屈せず、笑いを武器に生きる男——ハチミツ二郎。
彼の物語は、まだ終わっていない。