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谷本将志という「危険信号」を見逃した代償 神戸マンション女性殺害

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谷本将志

神戸市中央区で保険会社社員・片山恵さん(24)が殺害された事件で、東京奥多摩で逮捕された谷本将志容疑者(35)は「殺すつもりはなかった」と供述している。しかし、その言葉は虚しく響く。なぜなら、彼は3年前にも同じ街で同じような犯行に及んでいたからだ。

 

2022年の逮捕歴

2022年5月28日、兵庫県警生田署などは谷本容疑者(当時32歳)を殺人未遂の疑いで緊急逮捕している。報道によれば、谷本は神戸市中央区の女性(23)の自宅マンション前で待ち伏せし、帰宅した女性がドアを開けた瞬間に押し入り、両手で首を絞めた。女性は必死に抵抗して一命を取りとめたが、谷本はその後1時間にわたり「自分がどれほど好きか」を語り続けたとされる。つまり、殺害未遂と異常な愛情表現が混在した“ストーカー型”の犯行だった。

このとき、谷本はすでに女性に接近したり声をかけたりする行為を繰り返しており、周囲には不穏な“前兆”がはっきり見えていた。それでも社会は彼を拘束し続けることなく、3年後に再び惨劇が起きた。

 

無差別ストーカーなのか

谷本の犯行は、特定の恋愛関係から生じたものではなく、無理やり対象女性を「好きだ」と言い募る、一方的な執着に基づいていた。つまり、本人の頭の中で作り上げた“関係性”を根拠に行動する無差別型ストーカーであり、被害者側に防ぎようがなかったと言える。

こうした加害者は、未遂で終わっても「殺意なき好意の延長」として軽く処遇されがちだ。しかし実際には、未遂段階こそが最大の警鐘だった。厳罰や強制的な治療措置がとられていれば、今回の犠牲は防げた可能性が高い。

 

制度の盲点

谷本の前歴を考えれば、なぜ再犯を防げなかったのかは司法・警察双方への痛烈な問いかけとなる。

  • 未遂犯への減刑制度が、危険人物を短期間で社会に戻してしまう。
  • ストーカー規制法は交際経験や明確な恋愛関係を前提とするケースに重点があり、谷本のような「無関係型」には網がかかりにくい。
  • 被害者保護措置が弱く、接近禁止や居住地制限といった実効的な制度が欠けている。

結果として、社会は「予見できたはずの悲劇」を止められなかった。

 

失われた未来と残された課題

片山さんは、会社から「明るく朗らかで真面目」と評されていた女性だった。2022年の段階で谷本を隔離・矯正できていれば、この命は救われたかもしれない。

谷本将志という人物の存在は、個人の狂気にとどまらず、日本の司法制度・ストーカー対策の脆弱さを象徴している。未遂を軽んじる社会の姿勢を変えない限り、第3の犠牲が生まれる危険は消えない。

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