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田久保市長はなぜ辞めないのか?学歴疑惑と“出直し選挙”の狙い

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伊東市 田久保真紀市長
伊東市田久保眞紀市長。伊東市HPより

「辞めるとは言っていない」。静岡県伊東市・田久保眞紀市長がそう語ったのは、学歴詐称疑惑が噴出した7月上旬のことだった。市政は混乱し、教育行政も機能不全に陥る中、田久保市長はあくまで「信を問う」姿勢を崩していない。退職金への疑念、市民からの2800件超の苦情、そして出直し選挙の示唆。その本当の狙いは何か。

 

 

「辞める」とは言ったが「いつ辞める」とは言っていない

田久保市長が記者会見で「除籍だった」と発言したのは7月2日。以降、市役所には電話やメールで約2800件の意見が寄せられ、その大半が苦情だった。だが、7月18日に「今月中の辞職が希望」と話したにもかかわらず、28日の定例会見では「31日に進退を明らかにする」と発言を先送りした。
このわずかな言い換えに、多くの市民は違和感を覚えた。もはや、辞めるのかどうかではなく、「なぜここまで辞めないのか」という問いへと変わりつつある。

 

「市民の信を問いたい」出直し選挙は再出馬前提

市長は、「辞職の上で改めて市長選に出馬する意向」を示している。つまり、自身の行為への批判がある一方で、市民からの再信任を受けて政治的正当性を取り戻そうという意図がある。
これに対しては、「信を問う前に、まずは説明責任を果たすべきだ」「謝罪も中途半端なままで、選挙に出るのは筋が違う」という反発も強い。
百条委員会の出頭も拒否し、卒業証書とされる資料の提出も拒否している今、市長の出直しは、「市民の信託」ではなく、「責任回避」と受け止められかねない。

 

「辞職の先延ばし」と「退職金」の関係

市長の退職金については、市の規定で「月給(約85万円)×45%×在職月数」で算出される。現在2か月在任であれば約77万円、8月に入れば約116万円になる。
このため、「月をまたいで辞めれば退職金が増えるからではないか」という市民の勘繰りが起きている。市長が「辞退する」と言っても、制度上は議会による条例改正が必要で、本人の意思だけでは辞退できないのも現実だ。
結果として、退職金問題が「辞めない理由」の一つとして疑われる状況を生んでしまっている。

 

教育行政の空白と市政の停滞

市政の影響はすでに深刻だ。教育長の退職後も後任は決まらず、教育委員会からは「一刻も早く正常な教育を取り戻してほしい」という要望書が市長に提出された。
予算編成を進めるべき7月下旬の今、各部署へのヒアリングも満足に行えず、「補正予算も来年度予算案も動きが止まっている」と、企画部長も苦言を呈している。
これらの停滞を前にして、なお「私は辞めません。選挙で決めましょう」とする姿勢が、市民からどう見えるか。答えは明らかだ。

 

責任の取り方を間違えてはいけない

選挙は、確かに「民意」を問う場だ。しかし、説明責任を果たさず、組織的な混乱を放置したままの出馬は、自己正当化に見えるリスクがある。
本来、誤った情報を公的に流したことへの責任は、まず説明と謝罪によって果たされるべきだ。
その上で、信を問いたいのなら、まずは百条委への出頭を受け入れ、退職金の制度的な辞退も含めて真正面から向き合う姿勢が必要ではないか。

 

「辞めない」ではなく「向き合わない」

田久保市長の「辞めない理由」は、一見すると複雑だが、根本にあるのは説明責任を後回しにしたまま、「信を問う」ことだけを優先しようとする政治的姿勢である。
市民の声は2800件以上届いている。教育現場は空白のまま。行政は停滞し、職員は混乱している。
今、市長に求められているのは、「信任」ではない。「説明」であり、「謝罪」であり、「責任の取り方」だ。出直し選挙に向けた動きは、そのすべてを果たした上で初めて意味を持つ。

 

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ライター:

広島県在住。福岡教育大学卒。広告代理店在職中に、経営者や移住者など様々なバックグラウンドを持つ方々への取材を経験し、「人」の魅力が地域の魅力につながることを実感する。現在「伝える舎」の屋号で独立、「人の生きる姿」を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。​​https://tsutaerusha.com

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