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Coldplayライブの不倫スキャンダル、米Astronomer社がグウィネス・パルトロウ起用の逆手PR

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不倫発覚からCEO辞任、そして“元妻起用”の神展開へ

Gweneth Partrow
PR動画より

米AI企業のAstronomer社が、自社CEOとCPOの不倫スキャンダルを逆手に取った異例のPR戦略で注目を集めている。始まりは2025年7月16日、人気バンド・Coldplayのライブ会場での出来事だった。大型スクリーンの「キスカメラ」に映し出されたのは、Astronomer社CEOのアンディ・バイロン氏と、同社CPOのクリスティン・キャボット氏。親密な様子が全世界に中継され、瞬く間にSNSで拡散された。

 

この“偶然の発覚”をきっかけに、7月19日にはバイロン氏がCEO職を辞任。不倫相手とされたキャボット氏も職務停止処分を受け、同社の評判は危機的状況に陥った。

だが、そのわずか6日後、Astronomer社は事態を一変させる動画を公開する。なんとプレゼンターに起用されたのは、女優グウィネス・パルトロウ氏だった。

グウィネス起用の“皮肉”が話題に:Coldplayと不倫、2つの因縁

 

パルトロウ氏といえば、Coldplayのボーカルであるクリス・マーティン氏の元妻である。この起用には、あまりに皮肉が効いていた。不倫騒動の発端となったColdplay、そしてその元妻という構図が、ネット上で「ここまでやるか」と驚きをもって受け止められたのは言うまでもない。

PR動画内でパルトロウ氏は、スーツ姿で冷静に製品の優位性を語り、「Apache Airflowは素晴らしいツールです」と締めくくる。炎上騒動には一切触れない構成だが、その“言及しなさ”がかえって大きな話題を呼んだ。

米VOCOニュースは「これは危機管理と話題創出を同時に成功させた、現代のPR戦略の完成形だ」と評している。ネット上でも「アベンジャーズ級の布陣」「この仕事、日本で引き受けられる女優はいない」との声が相次いでいる。

 

データオーケストレーションの“黒子企業”が一気に表舞台へ

Astronomer社は2018年に設立されたスタートアップで、主にApache Airflowというデータ管理プラットフォームを提供している。Electronic Arts、Autodesk、FanDuelといった名だたる企業を顧客に持ち、AI時代の“データの配管工”として業界を支えてきた。

企業評価額は約10億ドル。従業員数は300人超とされる。普段は表舞台に立つことのない“黒子企業”だったが、今回のスキャンダルと逆転劇によって一気に注目を集めることとなった。

 

「炎上→謝罪」の常識を覆す、米国流のPR

日本企業であれば、記者会見を開き頭を下げ、一定期間の沈黙に入る——そんな慣例的な危機対応とは真逆を行くのがAstronomer社の対応だった。むしろ話題性を活用し、ブランド再構築のチャンスに変えてみせた。

この攻撃的転換型PRは、SNS時代においては決して例外的ではない。SNSで注目が集まる現代では、炎上もまたマーケティング資源となり得るのだ。

ただし、当然ながらこの手法には高いリスクが伴う。タイミングや文脈を誤れば、二次炎上やブランド毀損に直結しかねない。にもかかわらず、Astronomer社はあえて“計算された皮肉”を武器に前進した。

 

令和日本企業への示唆:「型破りの一手」は誰の手に?

今回の事例は、日本企業にとっても無視できない学びを含んでいる。グローバルな視野とスピード、そして「炎上を利用する胆力」は、日本企業が苦手とする分野だ。

SNSや情報環境の変化に応じ、企業の危機管理戦略もアップデートが求められる。従来型の「守り」に終始する対応では、ブランド毀損を最小限にとどめることはできても、再浮上のきっかけをつかむことは難しい。

Astronomer社の例は、危機における“攻め”の選択肢を提示した点で、現代PRの教科書的存在となるだろう。

 

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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