
本州中央部に位置する岐阜県は、古くから繊維産業が栄え、近年は自動車関連産業や航空宇宙産業の集積が進む。清流長良川が育む豊かな自然と、ものづくり精神が息づくこの地で、独自の発展を遂げる企業が多数存在する。本稿は決算短信・有価証券報告書など一次資料のみを突合し、連結売上高(金融は経常収益)を基準に“県内に本社(登記本店)を置く企業”20社で作成した最新ランキングだ。
20位 中広〈岐阜市〉 売上 113億円3,200万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:中広は岐阜県岐阜市に本社を置く企業で、フリーマガジン『地域みっちゃく生活情報誌®』の企画、制作、発行を主要事業とする。このフリーマガジンは、地域に密着した生活情報や広告を掲載し、全国1,300万部を突破する見込みである。同社は、地域経済の活性化への貢献を企業理念の一つに掲げ、地元の店舗や企業の情報発信を支援する。近年は紙媒体だけでなく、デジタルメディアを活用した広告展開にも注力しており、ウェブサイトやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)と連携した情報提供、効果測定ツールの導入など、中小企業の販促活動を多角的にサポートしている。今後も、地域に特化した情報提供とデジタル化の推進を通じて、地域経済のさらなる発展に寄与し、地域社会に活力を与える存在として期待される。
19位 レシップホールディングス〈本巣市〉 売上 259億3,100万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:レシップホールディングスは、岐阜県本巣市に本社を置く、公共交通機関向けの電装機器メーカーである。同社は、バス用運賃収受システムにおいて、国内シェア約6割を誇るリーディングカンパニーとしての地位を確立している。具体的には、バス用運賃箱やICカードシステムなどで高いシェアを有している。製品としては、ICカードリーダーや運賃箱といった運賃収受機器を中心に、車内表示器など、公共交通機関の円滑な運行を支える多岐にわたる機器を提供している。近年、全国的に交通系ICカードの普及が進み、キャッシュレス化が加速する中、同社はこれらのニーズに対応した製品開発を推進。ICカードシステム導入により、処理速度の向上や利便性の向上に貢献している。また、単なる機器提供にとどまらず、運行管理の効率化や乗客の利便性向上に資するソリューション展開にも注力。新中期経営計画では「コトビジネス(製品のサービス化)」の強化やDX化の推進を掲げており、これはMaaS(Mobility as a Service)の進展と共に、その技術が次世代モビリティ社会の基盤を支え、より便利で持続可能な移動環境の実現に貢献する方向性を示している。
18位 未来工業〈安八町〉 売上 451億1,300万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:未来工業は、岐阜県安八町に本社を構える電設資材および管工機材の総合メーカーである。同社は、その独自の経営スタイルで広く知られており、「残業ゼロ経営」と「年間休日約140日(週休2.5日制に相当)」を原則としていることが、複数のメディアや同社採用情報で報じられている。この働き方は、**社員の豊かなプライベートが仕事の充実につながるという「ライフ・ワーク・バランス」**を重視する思想に基づいている。また、「常に考える」を企業理念に掲げ、社員からの改善提案を積極的に募り、年間約5,000件もの提案が寄せられるなど、高い生産性と創造性を維持する仕組みを構築している。製品面では、電気工事現場で使用される電線管やボックス類が主力であり、特に電気のスイッチやコンセントの裏側に埋め込まれる「スイッチボックス」は、国内市場で高シェアを誇る。同社の製品は「他社と同じモノはつくらない」というポリシーのもと、省配線向けワンタッチ継手など、施工効率を高めるためのアイデアや工夫が随所に凝らされていることが特徴だ。今後も、建設業界における人手不足やDX化といった課題に対し、独自の視点と技術で応える製品開発を通じて、業界の持続可能な発展を支え、より効率的で快適な社会基盤づくりに貢献していくことが期待される。
17位 株式会社ヒマラヤ〈岐阜市〉 売上 460億円〈2024/8 連結〉
名門ポイント:株式会社ヒマラヤは、岐阜県岐阜市に本社を置く、スポーツ用品専門の小売業者である。同社は、「ヒマラヤ」の店舗を全国に約100店舗展開している。近年、アウトドア活動への関心の高まりを受け、同社は事業戦略としてアウトドア用品の品揃え強化に注力している。具体的には、キャンプ用品や登山用品などの取り扱いを拡大し、市場の需要を積極的に取り込む姿勢が見られる。また、EC(電子商取引)サイトの売上も伸長しており、実店舗とオンライン双方での販売チャネルを強化している。今後も、健康志向の高まりやレジャーの多様化といった社会トレンドに対応し、実店舗とECサイトを融合させたオムニチャネル戦略を進めることで、顧客に新たな購買体験を提供し、人々の豊かなライフスタイルに貢献していくことが期待される。
16位 株式会社エスライン〈岐阜市〉 売上 496億8,700万円〈2024/3 連結〉
名門ポイント:株式会社エスラインは、岐阜県岐阜市に本社を置く中堅のロジスティクス企業である。同社は、中京圏から北陸地方への幹線輸送に強みを持つことが、その企業概要や事業紹介で示されている。単なる運送だけでなく、顧客の物流業務全般を請け負う3PL(サードパーティ・ロジスティクス)サービスを提供しており、物流戦略の立案から実行までをトータルでサポートする。顧客の多様な物流ニーズに対応するため、物流効率化に向けた積極的な取り組みを進めている。今後も、高まる物流需要とデジタル化の波に対応した先進的な物流ソリューションを提供し続けることで、サプライチェーン全体の最適化に一層貢献し、社会経済の円滑な活動を力強く支え続けることが期待される。
15位 フジミインコーポレーテッド〈各務原市〉 売上 625億300万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:株式会社フジミインコーポレーテッドは、岐阜県各務原市に本社を置く精密化学メーカーである。半導体製造工程で不可欠な半導体研磨用スラリー(CMPスラリー)において、世界シェア約2割を誇るリーディングカンパニー。半導体市場の継続的な成長を背景に、先端半導体製造プロセスに不可欠な高精度な研磨材の供給強化に注力している。技術開発への積極的な投資を通じて、ナノレベルでの平坦化を実現する高機能材料を提供している。特に、データセンターやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)といった分野での半導体需要が拡大する中で、同社の高純度・高機能なCMPスラリーは、より微細で高性能な半導体の製造を可能にする基盤材料としてその重要性を増している。今後も、半導体技術の進化を支えるキーマテリアルサプライヤーとして、高付加価値な製品供給を通じて、次世代情報社会の基盤を支え続け、世界の技術革新に貢献していくことが期待される。
14位 株式会社大光〈岐阜市〉 売上 748億円〈2025/5 連結〉
名門ポイント:株式会社大光は、岐阜県岐阜市に本社を置く業務用食品の卸売企業である。同社は、外食産業向けの業務用食材を扱う「業務用スーパーアミカ」を展開している。顧客である飲食店や事業所に対し、多様な食材を安定的に供給することで、日本の外食産業を基盤から支えている。近年、外食産業のニーズが多様化し、効率的な仕入れが求められる中、EC(電子商取引)サイトの強化にも積極的に取り組んでいる。デジタル技術を活用することで、顧客がいつでも必要な食材をスムーズに発注できる体制を構築し、サプライチェーン全体の最適化を図っている。今後も、外食産業の変革に対応しながら、デジタル化と供給体制の強化を通じて、食文化の発展に貢献し、社会の「食」を支える重要な役割を担うことが期待される。
13位 大日本土木株式会社〈岐阜市〉 売上 806億円〈2025/3〉
名門ポイント:大日本土木株式会社は、岐阜県岐阜市に本社を置く総合建設業である。日本国内に加えて、海外でも事業を展開している。特に、アジア地域を中心に、インフラ整備や大規模開発プロジェクトに積極的に参画し、実績を積み重ねている。道路、鉄道、港湾、ダムなどの社会インフラ整備や、オフィスビル、商業施設といった大規模開発プロジェクトにおいて、計画から施工まで一貫した高い技術力を提供している。これは、同社の手掛ける豊富な施工実績からも確認できる。近年、世界的なインフラ需要の増加や、国内における既存インフラの老朽化に伴う維持・補修需要の高まりに対応している。長年培ってきた高い技術力と豊富な経験は、これらの社会的要請に応える上で重要な役割を果たしている。今後も、国内外で培った技術力と経験を活かし、社会基盤の発展に貢献し、持続可能で豊かな未来を築くための重要な存在として期待される。
12位 TSUCHIYA株式会社〈岐阜市〉 売上 882億円〈2024/7 連結〉
名門ポイント:株式会社TSUCHIYAは、岐阜県岐阜市に本社を置く総合建設業である。物流倉庫、医療施設、商業施設といった幅広い分野の建築工事を手掛けていることが、公式ウェブサイトの施工実績や事業案内で確認できる。設計から施工までを一貫して対応できる体制を強みとしており、顧客の多様なニーズにきめ細かく応えることが可能だ。公共工事と民間工事の双方で安定した受注を確保している。特に、近年では老朽化する社会インフラの更新や、地震・豪雨などの自然災害に対する防災・減災への意識の高まりを背景に、その建設技術に対する需要が増加している。培ってきた高い技術力と実績をもって、このような社会的な要請に応え、安全で豊かな社会基盤の構築に貢献している。今後も、社会の変化に対応した建設技術とノウハウを活かし、安全で質の高い建築物やインフラを提供することで、地域社会の発展と人々の暮らしの安心を支え続けることが期待される。
11位 岐阜プラスチック工業〈岐阜市〉 売上 1,137億円〈2024/3 連結〉
名門ポイント:岐阜プラスチック工業は、岐阜県岐阜市に本社を置くプラスチック製品メーカーである。農業・水産分野や物流分野で使用されるリターナブル容器において、国内最大手の地位を確立している。繰り返し使用可能な容器は、物流コストの削減と環境負荷低減に貢献している。環境負荷低減に貢献する製品開発に積極的に注力している。具体的には、リサイクル素材の活用や製品の軽量化技術に強みを持ち、業界をリードする存在である。例えば、使用済みプラスチックを再資源化して製品に利用する技術や、運送効率を高めるための軽量パレットの開発などが挙げられる。これらの取り組みは、プラスチックの資源循環を促進し、持続可能な社会の実現に寄与している。今後も、プラスチック資源循環の重要性が高まる中で、環境配慮型製品の開発と普及を通じて、持続的な成長を実現し、資源を大切にする循環型社会の実現に貢献していくことが期待される。
10位 株式会社大垣共立銀行〈大垣市〉 経常収益 1,313億6,000万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:株式会社大垣共立銀行は、岐阜県大垣市に本店を置く地方銀行である。「ATMバス」と称する移動店舗車や、ドライブスルー型の窓口「OKBドライブスルー」など、顧客の利便性を追求したユニークなサービスを展開していることで広く知られ、地域に密着した金融サービスを提供している。同行は、地域経済の活性化に貢献するため、地元の中小企業支援や事業承継支援にも積極的に取り組んでいる。また、金融とテクノロジーを融合させたFinTech技術の導入にも意欲的であり、モバイルバンキングの機能拡充や、新たな決済サービスの開発などを進めている。これらの取り組みは、変化する顧客ニーズに対応し、利便性の高い金融サービスの創出を目指すものだ。今後も、地域に根差したユニークなサービスと先進的な金融技術を融合させ、地域社会の未来を共に創り上げていく重要な役割を担うことが期待される。
9位 株式会社十六フィナンシャルグループ〈岐阜市〉 経常収益 1,363億100万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:株式会社十六フィナンシャルグループは、岐阜県岐阜市に本社を置く金融持株会社である。岐阜県内で預金・貸出金ともにトップシェアを誇る地方銀行「十六銀行」を傘下に持つ。地域経済の活性化に貢献するため、創業支援や事業再生支援に積極的に取り組んでいる。具体的には、創業期から成長期まで企業のライフサイクルに応じたコンサルティングや、経営改善計画の策定支援などを行っている。また、顧客利便性の向上と事業効率化のため、デジタル化の推進にも力を入れている。モバイルバンキングやインターネットバンキングの機能拡充を通じて、利用者数を拡大しており、DX(デジタルトランスフォーメーション)を経営戦略の重要な柱と位置付けている。これにより、非対面チャネルでの顧客接点を強化し、多様な金融ニーズに対応している。今後も、地域に根差した金融グループとして、デジタル技術を活用した顧客接点の強化と新たな事業領域の開拓を通じて、地域社会の持続可能な発展を力強く牽引していくことが期待される。
8位 株式会社トーカイ〈岐阜市〉 売上 1,495億4,200万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:株式会社トーカイは、岐阜県岐阜市に本社を置く企業である。病院リネンサプライ事業と調剤薬局事業を事業の二本柱として展開している。病院リネンサプライでは、医療機関で使用される寝具やユニフォームなどのクリーニング・リースサービスを提供し、調剤薬局事業では地域住民の健康を支える「そうごう薬局」などを運営している。医療現場の衛生管理や効率化、そして地域医療への貢献という医療現場のニーズに応える高品質なサービスを提供することで、両事業ともに安定した成長を続けている。特に、高齢化社会の進展に伴い、医療・介護分野での需要は拡大しており、同社のサービスは今後も社会にとって不可欠なものとなるだろう。医療・介護分野の基盤を支える企業として、人々の健康と安心な暮らしの維持に貢献している。
7位 中部薬品株式会社〈多治見市〉 売上 1,770億100万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:中部薬品株式会社は、岐阜県多治見市に本社を置く企業で、ドラッグストア「V・drug(ブイドラッグ)」を東海・北陸・近畿を中心に約500店舗以上展開している。調剤併設型のドラッグストアを積極的に展開しており、調剤薬局店舗数は2025年6月時点で215店舗に上る。これにより、地域住民の健康をサポートする「かかりつけ薬局」としての役割を強化し、病院やクリニックと連携しながら地域医療に貢献している。また、「V-check」ブランドとしてプライベートブランド商品の開発にも注力しており、医薬品や食品など約360品目を展開し、顧客の多様なニーズに応えている。今後も、地域に密着した「かかりつけ薬局」としての機能を強化し、地域医療との連携を深めることで、地域の健康寿命延伸に貢献し、さらなる成長を遂げることが期待される。
6位 太平洋工業株式会社〈大垣市〉 売上 2,061億円〈2024/3 連結〉
名門ポイント:太平洋工業株式会社は、岐阜県大垣市に本社を置く自動車部品メーカーである。自動車用タイヤバルブの分野で世界トップクラスのシェアを誇る。また、走行中にタイヤの空気圧を監視するTPMS(タイヤ空気圧監視システム)においても、世界市場で高い存在感を示しており、自動車の安全性向上に大きく貢献している。自動車産業が直面する大きな変革、すなわち電動化や自動運転化の進展に対応するため、新製品の開発に積極的に注力している。これには、EV(電気自動車)に特化したバルブや、自動運転システムと連携する高機能センサーの開発などが含まれる。これらの取り組みは、技術情報や中期経営計画で確認できる。今後も、安全・安心なモビリティ社会の実現に向け、その先進的な技術力と製品開発を通じて自動車産業の進化を支え続け、より安全で快適な移動環境の実現に不可欠な存在として貢献していくことが期待される。
5位 岐阜車体工業株式会社〈各務原市〉 売上 2,096億3,100万円〈2025/3〉
名門ポイント:岐阜車体工業株式会社は、岐阜県各務原市に本社を置く自動車メーカーである。トヨタ自動車株式会社の完全子会社であり、トヨタグループの一員として車両生産を担っていることが、公式サイトで明確にされている。主な生産車種としては、世界中で幅広く利用されている商用車「ハイエース」や、マイクロバス「コースター」などの一貫生産を手掛けている。トヨタグループの生産拠点として、高品質な車両を安定的に供給しており、その高い技術力と信頼性は国内外の市場で評価されている。特にハイエースは、その耐久性や積載能力から、多様なビジネスシーンで不可欠な存在となっている。現代の自動車産業は、物流需要の拡大や、多様なモビリティニーズへの対応が求められる中で、電動化や自動運転技術の導入が喫緊の課題となっている。岐阜車体工業は、トヨタグループ全体の戦略に基づき、これらの次世代技術への対応を進めることで、生産体制の変革を図るとともに、環境負荷の低減にも貢献していく方針である。その高い技術力と安定した生産体制は、今後も次世代モビリティ社会の実現に不可欠な存在として、重要な役割を担うことが期待される。
4位 株式会社セリア〈大垣市〉 売上 2,363億2,700万円〈2024/3 連結〉
名門ポイント:株式会社セリアは、岐阜県大垣市に本社を置く100円ショップを運営する企業である。全国に2,000店舗以上の100円ショップ「Seria(セリア)」を展開しており、均一価格ながらも「Made in Japan(日本製)」の商品にこだわるなど、独自の戦略で他社との差別化を図っている点が特徴だ。商品の品質やデザイン性を重視し、実用性だけでなく、暮らしを彩るアイテムを提供することで、幅広い顧客層から支持を得ている。生活者の節約志向が根強い中、手軽に暮らしを豊かにしたいというニーズは今後も拡大が見込まれる。セリアは、その独自の商品戦略と高い商品力によって市場での優位性を維持し、豊かな消費生活を支え続けることが期待される。
3位 イビデン株式会社〈大垣市〉 売上 3,705億1,100万円〈2024/3 連結〉
名門ポイント:イビデン株式会社は、岐阜県大垣市に本社を置く、電子部品やセラミックス製品を手がけるグローバル企業である。特に半導体パッケージ基板の分野において、世界有数の技術力を誇っている。データセンターやAI(人工知能)関連の高性能半導体需要の拡大を背景に、FC-BGA(フリップチップ・ボールグリッドアレイ)基板などの事業を拡大している。また、環境技術においても強みを持つ。具体的には、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)などのセラミックス製品を通じて、自動車の排ガス浄化に貢献しているほか、環境に配慮した製品開発や生産プロセスの改善にも積極的に取り組んでいる。これらの取り組みは、脱炭素社会の実現に向けた社会的な要請に応えるものであり、サステナビリティレポートなどで確認できる。今後も、AI半導体のさらなる進化や、脱炭素社会に向けた環境技術の需要増を追い風に、その高い技術革新力と製品力で持続的な成長を強力に後押しし、世界の産業と環境の未来を牽引していくことが期待される。
2位 セイノーホールディングス株式会社〈大垣市〉 売上 7,373億7,700万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:セイノーホールディングス株式会社は、岐阜県大垣市に本社を置く大手物流グループである。宅配便サービス「カンガルー便」で広く知られており、集荷から幹線輸送、配達までを垂直統合することで、全国に広がる強固な物流ネットワークと効率的な輸送システムを構築している。近年、物流業界全体の課題である環境負荷低減と効率化に対応するため、EV(電気自動車)トラックの導入を積極的に進めているほか、AIやIoTを活用した物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。例えば、輸配送ルートの最適化や倉庫管理の自動化などにより、持続可能で高効率な物流システムの構築を目指していることが、サステナビリティに関する報告書やIR情報で確認できる。EC市場の拡大に伴う物流需要の増大と環境規制の強化は、次世代物流戦略の重要性を一層高めている。今後も、これらの社会変化に対応した先進的な物流ソリューションを提供し、持続可能で効率的な社会の物流インフラを支え続けることが期待される。
1位 株式会社バローホールディングス〈多治見市/恵那市登記〉 売上 8,077億9,500万円〈2024/3 連結〉
名門ポイント:株式会社バローホールディングスは、岐阜県多治見市(登記上の本店は恵那市)に本社を置く大手流通グループである。スーパーマーケット「Vドラッグ」を中心に、ドラッグストア「V・drug」を展開しており、これらは同社の事業の核となっている。グループ企業全体で、食品スーパー、ホームセンター、ドラッグストア、スポーツクラブなど多岐にわたる事業を手掛けている。自社で食品工場や物流センターを保有しており、これらを活用することで、製造・加工から配送、そして販売までを一貫して管理するSCM(サプライチェーンマネジメント)体制を構築している。この体制により、鮮度と品質を保ちながら効率的な商品供給を可能にし、地域に根差した店舗展開で圧倒的な存在感を示している。少子高齢化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展といった社会変化に対応するため、ネットスーパーや新たな店舗形態の開発、顧客データの活用によるサービス向上にも力を入れている。今後も、これらの取り組みと地域社会への貢献を通じて、その影響力を拡大し、豊かな地域社会の実現をリードしていくことが期待される。
総評
岐阜県の産業構造は製造業(自動車関連・電子部品・精密化学)、流通・サービス業、そして物流・インフラ関連企業が主要な柱となる。製造業では、高付加価値製品の開発と生産体制の強化が進み、特に半導体関連や自動車部品分野で高い技術力を誇る企業が目立つ。流通・サービス業は地域に密着した経営と効率化を両立させ、顧客ニーズに応える多様なサービスを提供する。物流・インフラ関連企業は、地域社会の基盤を支えつつ、環境対応やDXを推進し、持続的な成長を追求している。これらの名門企業群が、それぞれの分野で革新を続け、岐阜県の未来を力強く牽引していくことだろう。