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fonfun、水口社長がM&A DX再建に着手 悪質M&A報道から半年、新体制で信頼回復なるか

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fonfun
提供:fonfun

東証スタンダード上場の株式会社fonfun(2323)は7月8日、M&A仲介事業を手がける株式会社M&A DX(旧社名:すばる)の株式20%を取得し、同社を持分法適用会社としたと発表した。また、fonfunの代表取締役社長である水口翼氏が、M&A DXの新たな代表取締役社長に就任し、経営再建を主導する新体制がスタートする。

 

M&A DXはかつて中小企業庁が認定する「M&A支援機関」に登録されていたが、2025年1月、資金力に疑義がある買い手を把握したうえでM&Aを成立させたとして、ガイドライン違反により登録が取り消された。これは制度開始以来初の事例となり、大きな波紋を呼んだ。

TBSが報じた「魂を売る」音声 企業倫理の欠如を象徴

 

同社の内部体質をめぐっては、TBS「news23」などが報じた音声も大きな注目を集めた。番組では、DX社の社員が「金を稼ぎたいなら悪魔に魂を売る」と発言していたことが明らかとなり、被害企業からは手数料返還を求める声も上がったが、会社としての正式な対応はされていないという。

牧田
提供:fonfun

報道陣が牧田彰俊社長(当時)に直接質問を投げかけても、明確な説明はなされず、沈黙を貫く場面が印象的だった。社内関係者からも「それはやばいんじゃないかという声はあったが、手数料を取れることが最優先だった」との証言が寄せられている。

 

水口氏が再建へ本格関与 コンプライアンスとDXの両輪で

今回、fonfunは創業者・牧田氏が保有する株式の一部を引き受け、経営支援の一環として役員を派遣。水口氏はM&A実務に精通するほか、過去にはサイブリッジグループや複数のテック企業を率いてきた経験がある。自身もfonfunのM&A戦略を推進し、短期間で業績・株価を3倍に引き上げた実績を持つ。

水口
提供:fonfun

M&A DXの経営陣には再建を担う多様な専門人材が参画した。副社長には引き続き牧田氏が就き、初期からの経営理念を継承しつつ信頼回復に取り組む。新たに取締役として加わった中川祐輝氏は大和証券グループ出身で、中国を含む海外事業の拡大やBPO領域に明るく、直近ではクリアデラ株式会社の代表を務める。

また、企業再生の現場で実績を積んできた弁護士の田中宏明氏が社外取締役に就任し、経営課題の克服に向けて法務面から支援する。さらに、公認会計士の蓮尾倫弘氏が監査役として、財務と業務の適法性を厳格に監査し、透明性のある経営体制の構築を図る。

 

再登録へ向け、M&A業界に問われる倫理と制度整備

fonfunは今回の資本提携を通じて、経営監督機能の強化、テクノロジー活用によるプロセス改善、企業文化の刷新による信頼回復の3点を軸に再建を進める。最終的には、M&A DXが再び「M&A支援機関」に登録されることを目指し、コンプライアンス体制を一新していく方針だ。

一方、M&A仲介業界はそもそも免許や資格を必要としない構造であることから、制度的な規律の不備も指摘されてきた。中小企業庁が初めて行った登録取り消しは、業界に対する警鐘でもあり、今後の制度整備が求められている。

fonfunによる再建支援は、こうした構造的課題に対する一つの解となるのか。悪質M&Aをめぐる疑惑と社会的批判を背負った企業が、新体制のもとでいかに信頼を取り戻せるのか――問題のある会社だったからこそ、今後の歩みが注目される。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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