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エア・インディア墜落事故、墜落した理由が判明 燃料遮断は“意図的”か? AICBI報告書より

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エアインディアの飛行機はなぜ墜落したのか?

260人の命を奪ったエア・インディア機の墜落事故について、インド航空事故調査局(AICBI)は7月12日、衝撃的な予備調査報告書を公表した。報告書によれば、問題の航空機は衝突直前、2基のエンジンの燃料制御スイッチが「ラン(作動)」から「カットオフ(遮断)」へと切り替わっていたという。

燃料遮断が意図的だったのか、それとも機器の不具合や操作ミスだったのか。現時点で事故の責任や原因を断定するには至っていないが、墜落直前の不可解な操作が新たな焦点となっている。

燃料制御スイッチが衝突前に「カットオフ」へ

事故が起きたのは2025年6月12日。ボーイング787-8型機(機体番号AI171便)はインド西部アフマダーバードからロンドンへ向けて離陸した直後、同市郊外の住宅街に墜落し、乗客乗員243人のうち1人を除く全員と地上の19人が死亡した。事故直後の混乱の中で、一時は死者が279人にのぼると発表されたが、後の法医学的調査により、遺体の重複が確認され、最終的な死者数は260人に修正された。

報告書によると、機体は離陸後に最高速度を記録した直後、0.1秒の間隔で両エンジンの燃料スイッチが遮断された。その直後、急激に高度を下げ始めたという。

パイロット間に食い違う証言、不可解な操作

コックピットの音声記録には、パイロットの一人がもう一人に「なぜ燃料を切ったのか」と問いただす声が収録されているが、もう一人のパイロットは「切っていない」と否定していた。両者の証言の食い違いが事故の複雑さを物語っている。

このやりとりの直後、燃料スイッチは再び「ラン」の位置に戻り、エンジンは出力を回復したかに見えたが、機体は制御不能となっていた。

一度は復旧も…「MAYDAY」の後に墜落

エンジンの再始動が確認された直後、パイロットから「MAYDAY(メイデイ)」の連呼が無線で送信された。航空管制官は状況を確認しようとしたが、その数秒後、機体は住宅地に墜落。爆発と火災を伴う大惨事となった。管制官は墜落を目撃し、すぐさま緊急隊を現場に派遣したという。

過去にはFAAも警告、だが対応は“任意”だった

米国連邦航空局(FAA)は2018年に、同型機に搭載されているGE製GEnx-1Bエンジンの「燃料制御スイッチのロックが意図せず解除される可能性」について情報速報を出していた。ただし、これは「危険状態」とは評価されず、点検の実施も義務ではなかった。

AICBIの報告によれば、エア・インディアはこの点検指示を「勧告的なもの」として対応を行わなかったとされる。一方で、同社はすべての耐空性指令とサービス警報に準拠していたと主張しており、調査局も「製造者または運用者に対する勧告は現時点で行わない」との見解を示している。

奇跡の生還者と国際支援 調査は継続中

墜落機にはインド人169人、英国人53人、ポルトガル人7人、カナダ人1人の計230人の乗客と乗員12人が搭乗していた。地上でも複数人が負傷し、広範囲にわたる被害が出た。一方で、乗客の1人が奇跡的に生還し、炎上した機体の残骸の中から自力で脱出した姿が目撃されている。後にその人物は病院を退院したという。

ボーイング社は声明で、「犠牲者への思いは変わらず、調査および顧客への支援を継続する」と表明した。調査には米国と英国の航空事故調査官も参加しており、国際民間航空機関(ICAO)の規定に則り、予備報告書は事故後30日以内に提出された。

専門サイト「エア・カレント」は、「調査は燃料スイッチに焦点を当てて進行中だが、最終報告には数カ月以上かかる可能性がある」と報じている。また、今後の技術的検証や証言次第では、捜査の焦点が移る可能性も示唆されている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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