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山尾志桜里の会見はなぜ失敗したのか “ゼロ回答”が露呈させた限界と、再起不能のリスク

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山尾しおり HP
山尾しおり氏 HPより。人権保障がご専門とのことだが、まずは不倫相手の元奥様の人権も尊重し、公で謝罪することからではないか。

6月10日。国民民主党が擁立を決めた元衆院議員・山尾志桜里氏(50)が、今夏の参院選比例代表出馬に際し、国会内で記者会見を開いた。2時間半に及んだ会見は、火に油を注ぐ形での“失敗会見”としてSNSや政治報道界隈で大きな波紋を呼んでいる。

焦点は、2017年に「週刊文春」が報じた弁護士・倉持麟太郎氏との不倫疑惑だった。会見冒頭、山尾氏は「8年前の自分には大変なおごりがあった」と反省の弁を述べ、「自分の行動と対応が未熟だったことを心からお詫びする」と謝罪した。

しかし、記者との質疑応答が始まると、その“謝罪”の内実が極めて希薄なものであったことが露呈していく。

 

不倫・ガソリン・議員パス “説明拒否”の代償

山尾氏は会見で、不倫疑惑について「8年前に説明したことがすべて」と繰り返し、「この場で新たな言葉を紡ぐことは控えさせていただきたい」と発言。倉持氏の元妻が2020年に自死したという報道に対しても、「申し訳ないのですが、事情を存じ上げません」と述べ、「この場で話すことはできない」とゼロ回答を貫いた。

さらに、過去に取り沙汰されたガソリン代の不正支出問題については「すべて秘書の責任」と主張。議員パスの不適切利用についても、「私的な用事を済ませたのは事実」と認めながら、「直接会って謝罪しなかったことが問題だった」と述べるにとどめた。

多くの質問に対し、“謝罪”の言葉はあっても、“説明”はなかった。これに対し、会見を取材していた記者からは「言えないならなぜ会見を開いたのか?」という怒号すら飛び交い、冒頭で「逃げずに答えます」と語った山尾氏の言葉は、数分後には完全に裏切られる結果となった。

 

想定内の批判、想定外の対応

今回の会見で批判が集まることは、山尾氏本人にも、国民民主党にも明らかだったはずだ。彼女は学歴は優秀で元検察官であり、言葉と論理のプロフェッショナルである。会見がどのような展開を迎えるか、予測できなかったとは考えにくい。

だが、その“準備”として彼女が選んだのは、「言わないこと」だった。山尾氏は決して愚かではない。むしろ聡明だ。ならば、あのゼロ回答が招く帰結を想像できなかったはずがない。

おそらく、相手や近しい関係者から、記者会見直前に言及を控えるよう求められた可能性もあるだろう。倉持氏の元妻が2020年に自死していたという報道がある以上、デリケートな人間関係のなかで、沈黙を強いられた事情があったことは否定できない。

だが、それを理由に「語らない」「謝るだけ」の態度を貫いた結果、山尾氏は最も信頼を失う選択肢を選んでしまった。

成長なき再挑戦 “あの頃”のままの山尾志桜里

 

山尾志桜里はバカではない。むしろ知的な人物だ。その彼女が、この会見で「何も語らない」ことがいかなる反応を招くか、想像できなかったわけがない。にもかかわらず、“踏み抜く勇気”を持てなかった。そこに、彼女の限界が露呈した。

不倫疑惑を完全に否定し、前妻の死に対して感情をにじませた謝辞を述べる覚悟があるならば、記者も一定の理解を示しただろう。あるいは、「この問題を抱えながらも国政に挑むことこそ、矛盾を抱えた社会への答え」と開き直って踏み込む覚悟があれば、それはそれで議論の余地が生まれた。だが、どちらも選べなかった。

山尾氏は、謝罪を並べながらも核心に近づこうとせず、「言葉を紡ぐことはできない」と繰り返した。その姿は、2017年当時と変わらず、表面的な反省を繰り返す“政治的パフォーマンス”に過ぎなかったようにも映った。多くの有権者が、この会見を通じて感じ取ったのは、「山尾志桜里は何一つ変わっていなかった」という冷徹な事実である。

「事情を存じ上げない」発言が招いた決定的崩壊

 

実際にSNSで最も強く反発されたのは、記者からの以下の質問に対する山尾氏の回答だった。

「相手方の男性の奥様が自ら命を絶たれている。そのような報道があるなかで、国政議員として立候補する資格があるとお考えですか?」

山尾氏は「事情を存じ上げません」と答えたが、この発言はまさに致命的だった。

《事情を知らないってさ、まるで他人事みたい》
《この会見やらん方が良かったんじゃないか》
《逃げ切れると思ってたのか?これが再起の会見か?》

SNSでは非難が吹き荒れた。この1文が、「覚悟も共感も示せない政治家」という烙印を押す決定打となった。

山尾志桜里は変わったのか?答えは「否」

 

山尾氏が政治家としての再起を図るには、「過去を乗り越えた成長」を示す必要があった。しかし、今回の会見ではそれが一切見られなかった。

不倫報道、議員特権の乱用、ガソリン代の不正処理──いずれも説明責任が曖昧なまま残されていた問題であり、出馬にあたって向き合わなければならない“宿題”だった。だが彼女は、「逃げずに答えます」と言った数分後に「控えさせてください」を繰り返した。結局のところ、2017年当時の彼女と何も変わっていなかった。

政治家にとって重要なのは「言葉」ではなく、「姿勢」だ。今回はその姿勢すら示せなかったという点で、致命的だった。

目的設定の“すれ違い”が決定的にした

 

そもそも、この会見には本質的な目的のズレがあったと見る識者もいる。広報支援の専門家、下矢一良氏は、山尾氏自身が設定していた会見のゴールは、「やり過ごすこと」だったのではないかと指摘する。しかし、社会やメディアがこの場に期待していたのは、「信頼を取り戻すこと」「疑念を解消すること」だった。

“逃げ切り”の会見は、もはや通用しない時代だ。政治に求められるのは、誠実な説明と正面からの対話であり、失われた信頼を再構築する作業にほかならない。その点で山尾氏は、立ち位置そのものを間違えたと言わざるを得ない。

つまり、会見は「心を動かす」べき舞台だったのに、彼女はそれを「炎上を避ける一時避難所」として捉えてしまった。その目的設定の根本的誤りが、今回の“炎上”を決定的にした。

国民民主党の判断と“政党としての責任”

 

この擁立判断そのものに、党内外からも疑問の声が上がっている。支持者の間では「なぜこのタイミングで山尾氏なのか」「国民民主党の支持基盤を崩しただけではないか」といった声が絶えない。

事実、政党支持率は山尾氏の擁立発表前後で急落したという調査もある。玉木雄一郎代表は「しっかり説明責任を果たすように」と語っていたが、その言葉通りであれば、今回の会見は“失敗”では済まない。「政治判断そのものの誤り」である可能性も否めない。

 

再起はあるのか?

山尾志桜里に、再起の可能性はあるのか。ことここまで事態が悪化すると難しいだろう。ありえるとしたら、やはり鍵となるのは、行動と姿勢で示すことに他ならない。真正面から自分の過去に向き合い、それでもなお政治に挑む意志と覚悟を示せるか。それだけだろう。

だが、今回の会見を通じて明らかになったのは、山尾志桜里の限界だった。「彼女は、まだ何も変わっていなかった」という事実は、政治家としての“終わり”を意味するかもしれない。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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