
LDH JAPANに所属するボーカルグループ「DEEP」に、突然の解散危機が報じられた。きっかけは、リーダーのTAKA氏(木村貴浩、41)による不祥事だった。
この件は、2025年6月5日に「週刊文春 電子版」が報じたもので、渋谷区内のコンビニにてTAKA氏がセルフレジを通さず商品を持ち出し、店舗側が警察に通報したことが明らかになっている。本人はその場で事情説明に応じ、商品代金を支払って事件は立件には至らなかったが、事務所が非公表としたことが波紋を広げている。
メンバー間でも情報共有がなされず、YUICHIRO氏とKEISEI氏が事件を知ったのは1カ月以上経過してからだったとされる。この“内部隠蔽”がさらなる不信を招き、「年内での解散」発言も報じられている。
SNSでの反応:「行為の軽重」ではなく「信頼の破綻」への警鐘
SNS上でも本件は注目を集めており、ファンのみならず一般層からもさまざまな声が上がっている。中でも多かったのは、次のような冷静かつ批判的な意見だ。
「金額の問題じゃない。TAKAが万引きしたこともだが、それを誰にも言わずツアーに行こうとしてたことが一番問題」
「才能と人間性は別。それを見誤ると、応援し続けた側も傷つく」
「万引き自体は小さいことに見えて、グループの“絆”を壊すには十分だったってこと」
「事務所が“ストレスのせい”で済ませてるのが怖い。今後、他の人にも同じ対応するの?」
一方で、「本人が謝罪して解決しているのだから過剰反応はよくない」「精神的な苦しさも考えてあげてほしい」と、TAKA氏に同情的なコメントも一部見られた。
ただ、炎上の主軸がTAKA個人の行為そのものよりも、「対応の仕方」や「隠蔽体質の印象」にあることは明白であり、これは現代の“芸能人の信頼資産”が、所属事務所の対応によって大きく揺らぐことを示している。
不祥事とガバナンス 統制ではなく“透明性”が信頼を守る時代
LDHはこれまで、ダンス&ボーカル文化のパイオニアとして、数々のグループを成功に導いてきた。だが本件に関しては、所属アーティストの不祥事に対して組織としてどう向き合うか、その“統制の限界”が浮き彫りになった格好だ。
SNSの反応に象徴されるように、「グループ内にも伝えず箝口令を敷いた」「本人が普通に活動していた」点への不信は根深い。企業組織におけるガバナンスで最も問われるのは“初動”と“説明責任”である。情報を隠すことは、結果的に信頼の毀損につながりやすく、何より当事者たちの精神的な負担も増幅させる。
DEEPは、メンバー交代やサイドプロジェクト(DEEP SQUAD)などを経て再構築を続けてきた“しなやかなグループ”だが、今回の件が仮に解散にまで至るとすれば、それは「個人の罪」以上に「組織の判断ミス」に起因する可能性が高い。
芸能人とストレス 才能の裏側にある“孤独”のマネジメント
TAKA氏は、EXILE ATSUSHI氏に見出されて音楽の道に進み、長年にわたってボーカルグループを牽引してきた。LDHは、本人が「極度の精神的ストレス下にあった」として、行為の背景を説明している。
だが、芸能界において“ストレス”は決して一人だけの問題ではない。むしろ、華やかさの裏に潜む孤独や重圧は、全てのアーティストが少なからず抱えている。特に「リーダー」としてグループを引っ張り、表現活動と収益性のバランスを求められるポジションにある人間にとっては、相応の精神的ケアが不可欠だ。
今回の事件を「一過性の過ち」と見るか、「支援体制の欠如が招いた構造的問題」と見るかで、業界の未来は大きく分かれる。今、問われているのは芸能人の規律だけでなく、その背後にいる組織のあり方、そして“人を支える構造”の有無である。