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ダルトン・インベストメンツとは? フジテレビに第三者委員会設置要求のアクティビストファンド

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ダルトンインベストメントのHP
Dalton Investments HPより

米国の投資ファンド、ダルトン・インベストメンツとその英国関連会社が、フジ・メディア・ホールディングスに対し、第三者委員会の設置を要求する書簡を送付したことが1月14日に明らかになった。同ファンドはフジ・メディアの株式を7%超保有する物言う株主(アクティビスト)として知られる。

要求の背景には、タレントの中居正広氏を巡る女性トラブルを受けたフジの対応がある。週刊誌報道をきっかけに、フジ側の対応にコーポレートガバナンス(企業統治)の欠陥が見られるとし、事実関係の調査と再発防止策の策定を求めた。

ダルトンは書簡で「中居正広氏を巡る一連の出来事は、単なる芸能界の問題にとどまらず、フジのコーポレートガバナンスに深刻な欠陥があることを露呈している」と指摘。フジの対応が視聴者や株主の信頼を損ねたと批判した。また、内部調査のみでは利害関係が排除しきれないとし、公正性と透明性を確保するための第三者委員会の必要性を訴えた。

ダルトン・インベストメンツとは何者か

日本企業の経営改革を長年支援してきたダルトン・インベストメンツは、物言う株主として知られ、その提案は単なる投資活動を超えている。これまでダルトンは、複数の日本企業に対して株主提案を行い、企業価値の向上を目指してきた。

例えば、新生銀行に対しては報酬1円で共同創業者のジェイミー・ローゼンワルド氏を社外取締役に選任するよう提案し、大規模な自社株買いを促した。これにより、2020年には新生銀行が205億円を上限とする自社株買いを発表するなどの成果を上げている。

また、豊田自動織機に対してはデンソー株式の全株式売却を求め、資本効率の改善と株主還元の強化を提案した。アパレル企業のTSIホールディングスにも経営効率化を訴え、不動産関連のサンケイビルに対しては資産の分離を要求している。

さらに、三ツ星ベルトには資本効率向上の提案を行い、江崎グリコでは2023年の株主総会で改革案を提示。配管システムを手がけるイハラサイエンスにも投資し、企業価値向上を目指した提案を実施しているとのことだ。

このように具体的な提案を通じて日本企業の経営改革を促し、株主価値の向上を目指す活動を展開するアクティビストファンドだが、2020年には約30社に対して自社株買いを要請し、そのうち3分の1が要請に応じた実績もあるようだ。

ダルトンの歴史

ダルトン・インベストメンツは1999年に設立された老舗のアクティビストファンドだ。創業者のジェイミー・ローゼンワルド氏は、50年近い投資経験を持ち、日本企業への投資を20年以上続けている。同氏は日系証券会社での勤務経験があり、日本市場に精通している。

2000年代には、日本の経営陣に厳しい要求を突きつける「ハゲタカファンド」として批判を受けたこともある。しかし近年は、対話を重視するバリュー系エンゲージメント・ファンドとしての姿勢を強調している。

フジ・メディアの対応が問われる

今回の書簡では、視聴者やスポンサーからの信頼維持が企業の持続的成長に不可欠であると強調。対応が遅れると、視聴率の低下やスポンサーの離反を招き、株主価値の毀損につながると警告した。また、ESG(環境・社会・企業統治)の観点からも企業の名声が傷つき、投資家から敬遠されるリスクを指摘した。

フジ・メディア側は2024年12月末に公式サイトを通じ、トラブルのきっかけとなった食事会の設定に社員が関与していないと否定している。だが、ダルトンからの書簡を受け、どのような対応を取るかが今後の焦点となる。

日本企業に影響を与えるダルトンの戦略

2025年のフジの株主総会では、ダルトンが不動産資産の分離や効率経営の議案を提出する可能性も示唆されている。

米ダルトンは、2025年から日本の個人投資家を対象に公募投信の運用を開始する予定だ。外資系アクティビストファンドとしては異例の試みであり、今後も日本市場での影響力を強めると見られる。

フジ・メディアに第三者委員会の設置を求めたダルトン・インベストメンツの動きは、企業統治を巡る課題を浮き彫りにしている。視聴者やスポンサーの信頼をどう維持するかは、報道機関であると同時に上場企業でもあるフジにとって重要なテーマだ。今回の要求にどう応えるか、フジの対応が今後の株主総会や株価に与える影響も注目される。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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