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アサヒビール、俳優吉沢亮のCM契約解除 企業のリスク管理とアルコールへの社会的視線の変化

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アサヒビールの責任ある飲酒というコーナー
アサヒビールのHPより。責任ある飲酒という項目がサステナビリティ欄のなかに書かれている。吉沢氏も改めて目にする方が……

俳優の吉沢亮氏が昨年末、酒に酔った状態で自宅マンションの隣室に侵入したとして、警視庁から任意の事情聴取を受けていたことが明らかになった。これを受け、吉沢氏をCMに起用していたアサヒビールは7日、契約の中途解約を発表した。同社は「アルコール飲料会社として事実を容認できるものではない」とコメントし、今後の広告展開を停止する方針を示した。

この一件は、企業のCM契約におけるリスク管理の重要性を改めて浮き彫りにするとともに、アルコールに対する社会の視線の変化を映し出すものとなっている。

企業のリスク管理の課題

タレントの不祥事は、企業イメージに大きな損害を与える可能性がある。特に、アルコール飲料メーカーであるアサヒビールにとって、飲酒に関連する不祥事は、企業理念との整合性も問われかねない深刻な問題だ。

今回の吉沢氏のケースは、たとえ故意ではなくても、飲酒に起因する違法行為である以上、企業としては迅速かつ断固とした対応が必要となる典型例と言える。

近年、企業はスキャンダルリスクへの対策を強化しており、契約時に過去のSNS投稿の精査やリスク調査を行うケースも増えている。しかし、今回の事件は、それでも予期せぬ事態が発生する可能性を改めて示唆している。

過去の違約金事例と今後の影響

タレントの不祥事によるCM契約解除は、巨額の違約金が発生するケースが多い。過去の事例では、数億円規模の違約金が企業とタレント双方に重くのしかかったケースも少なくない。今回の吉沢氏のケースでも、契約期間や今後の広告展開予定などを考慮すると、相当な額の違約金が発生する可能性がある。

この一件は、企業にとってタレント起用のリスク管理の重要性を再認識させる契機となるだろう。また、広告業界全体で、契約時のスキャンダル対応条項の厳格化が進むことも予想される。

アルコールへの社会の視線が厳しくなっている!

SNS上では、アサヒビールの対応を支持する声が多く見られる一方、アルコールへの過剰な規制を求める意見も出ており、ここ数年間でアルコールに対する社会の見方が大きく変わっていることを感じる。飲酒運転撲滅運動の進展などに見られるように、近年、アルコールの過剰摂取による問題への社会の関心は高まっており、企業の広告戦略にも影響を与えている。

例えば、以下のような声だ。

「これはアサヒビールをはじめとする酒造メーカーにも問題が有る。アルコールをイメージ良く宣伝する事に、酒害の被害者の立場からすると違和感かしかない。CMはアルコールは依存性がある時点で危険だし、酔ってしまう、病気につながってしまうというリスクを無視して、美味しいとか、楽しくなるとか、ポジティブな側面を美化し過ぎている。全面的に規制するなどの対策をする時期に来ていると思う」

「わたしは毎日飲酒する。体に良くないとわかっているが酒は好きだ。 日本ではドラマやCM、飲みニケーション文化などアルコールに対してどちらかというと肯定的。 先日、アメリカでアルコール飲料に対して警鐘があった。 アサヒHDはじめビール銘柄は軒並み下落している。 そういう局面にきているということ。 タバコと同じように厳しい取り扱いをしてもいいと思う」

「はっきり言ってドラッグと同じくらい依存性のある害のあるものです。少量でも脳にダメージがあると科学的にも証明されていますし世界的に禁止の方向に進んでほしいです。お酒の問題なのに酒類企業のアサヒが被害者の立場を取るのは違和感しかありませんね」

煙草に対する社会の目線が厳しくなった段階で、お酒もいつの日かこうなると指摘する人は多かったが、本当にお酒に対する寛容さもいつのまにか、なくなっているようである。ほかにも、以下のような声が多かった。

「泥酔して違法行為を行ったのであれば、契約解除は致し方ないことかと。イメージの問題も当然の事ながら、違法行為には企業として厳しく対応する必要があるのではないか」

「まさに酒は飲んでも呑まれるな、のいい例ですね。ちょっと厳しいのでは?という声もあるようだが、酒類を扱うアサヒビールの企業姿勢は間違ってないと思う。中途解約ということはそれなりの違約金が発生するんだろう。有望な役者さんなのでこれをいい薬にして再起してほしいです。」

今回の事件は、単なる芸能人の不祥事として片付けるのではなく、アルコールと社会の関係性について改めて議論を深める契機と捉えている人が多いことに驚くが、非寛容な社会の行きつく先はどうなるのだろうか。昔、煙草の規制を嘆いていたある人が、煙草の次はお酒、お酒の次は、コーラなどの飲料水やお菓子類がターゲットになって、無味乾燥な味気ない社会になるといっていたが。本当に、そう遠くない未来に、過度に砂糖の入ったお菓子、飲料水なども批判の目に晒されるようになりそうだ。

昭和の時代だったら、アサヒビールも、吉沢氏を使って「いやあ失敗しちゃいました。皆さん気お付けてください」版のCMを急ぎ作って出すぐらいの商魂たくましさを発揮しただろうし、視聴者側も、失敗した人を笑って許せる社会だったのではないかと思う。いつの間にか、失敗を許容しない非寛容さが私たち一人ひとりの心に根を張っている怖さを感じるSNSの声だった。

教訓と今後の展望

吉沢氏にとっては、今回の事件は大きな代償を伴う結果となった。今後の芸能活動への影響は避けられないだろう。しかし、今回の出来事を真摯に受け止め、再起を図ることが重要となる。企業側も、リスク管理体制の強化はもちろんのこと、アルコール飲料メーカーとしての社会的責任を改めて認識し、健全な飲酒文化の醸成に貢献していくことが求められる。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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