パチンコ機器メーカー大手の平和は12月18日、ゴルフ場運営国内最大手のアコーディア・ゴルフを5100億円で買収すると発表した。平和の子会社でゴルフ場運営国内2位のパシフィックゴルフマネージメント(PGM)と合わせると世界最大級のゴルフ場会社となる。
この大型買収の背景には、縮小するパチンコ市場への対策と、ゴルフ業界の新たな可能性への期待が垣間見える。
買収の背景と狙い
平和はパチンコ市場の縮小傾向を受け、成長分野としてゴルフ事業に注力している。2011年にはPGMを買収し、ゴルフ場運営に参入。今回のアコーディア買収により、国内1位と2位の連合が実現し、スケールメリットによるコスト削減、システム統合、ポイント共通化などが見込まれる。平和はアコーディアとPGMのブランドや顧客特性を尊重し、統合は想定していないとしている。
アコーディア買収により、平和の2024年3月期連結売上高は2561億円、営業利益は486億円となり、いずれも現在の2倍程度となる見込みだ。売上高、営業利益ともにゴルフ場関連事業の割合が8割を超え、遊技機事業を大きく上回る。
SNS上での反応は期待と不安
今回の買収劇はSNS上でも大きな話題となり、様々な意見が飛び交っている。アコーディアのサービスレベルの低さに不満を抱いていたユーザーからは、PGM方式での運営統合を期待する声が多く聞かれる。一方で、価格上昇や外国人利用者の増加を懸念する声も上がっている。
平和のサステナビリティへの取り組み
平和は環境保護にも力を入れており、ゴルフ場を含む施設の遊休地への太陽光発電、風力発電設備の導入、施設のLED化、ゴルフ場における節水、雨水・井戸水の利用など、様々な取り組みを行っている。これらの再生可能エネルギーの利用によるCO2削減効果は約1,517トンに達し、長期間にわたる環境への貢献を目指している。
ただ、平和のIR開示を見るに、さしてサステナビリティに全力で注力している企業とは言い難いので、業界のリーディングカンパニーとしての対応に、今後に期待していきたい。
買収後の課題と展望
平和の有利子負債は買収資金により増加する見込み。国内ゴルフ市場はコロナ禍から回復傾向にあるものの、ゴルフ人口は減少傾向が続いている。女性やインバウンド(訪日外国人)など新たな顧客層の開拓が、平和にとって大きな課題となる。
アコーディアは過去にPGMからの敵対的TOB(株式公開買い付け)を経験し、その後2度の買収を経て今回の平和による買収に至った。買収額5100億円は、前回の買収額とされる4000億円を大きく上回る。平和は今回の買収により、ゴルフ事業を大きく成長させられるか。今後の動向に注目が集まる。