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三菱UFJ銀行、またも不祥事 副支店長がカルナバイオサイエンスを山口組六代目司忍を名乗り脅迫

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京大卒副支店長を逮捕も公表せず

三菱UFJ銀行で、顧客企業への脅迫事件が発覚した。逮捕されたのは、大阪府内支店の副支店長を務めていた京大卒のエリート行員。なんと、六代目山口組組長と同じ「司忍」名義で脅迫メッセージを送っていたという衝撃の事実が文春オンラインの報道で明らかになった。この報道が仮に事実だとすると、MUFGのコンプライアンスは無用の長物そのものといえる。

本稿では、三菱UFJ銀行の隠蔽体質、そしてコンプライアンスの問題点について深く掘り下げる。

事件の概要:株価下落に不満を抱き、顧客企業を脅迫

事件の発端は、副支店長が担当していた顧客企業の株価下落だった。彼は顧客企業である東証グロース上場の創薬ベンチャー「カルナバイオサイエンス」の株式を購入していたが、株価が下落したことに不満を抱き、インターネット掲示板に誹謗中傷を書き込むようになったとのこと。

さらに、会社へのメールや問い合わせフォームにも脅迫メッセージを送信。あげく、山口組六代目組長の司忍を名乗り、若い衆が命を取るといった類の文言で企業関係者を恐怖に陥れたようだ。詳しくは、文春オンライン・週刊文集電子版を読んでいただきたい。

「山口組トップ・司忍を名乗り、顧客企業を脅した」三菱UFJ銀行の“京大卒”副支店長が脅迫容疑で逮捕〈事件はなぜ公表されなかったのか?〉
https://bunshun.jp/articles/-/75661?page=2

今年8月、脅迫容疑で副支店長は逮捕された。11月上旬には地検が強要未遂罪で起訴していることが報じられている。驚くべきことに、三菱UFJ銀行はこの事件を公表していない。先日の半沢頭取の会見時にも全く言及がなかった。

顧客の信頼を損なう重大な不祥事であるにもかかわらず、なぜ隠蔽しようとしたのか。その背景には、同行の企業体質が深く関わっている。

三菱UFJのコンプライアンス:反社会的勢力との関係遮断を謳うも……

三菱UFJフィナンシャル・グループは、コンプライアンスにおいて「反社会的勢力に対する基本方針」を掲げている。その内容は、反社会的勢力との一切の関係遮断、不当要求への法的対応、裏取引や資金提供の禁止など、厳格な姿勢を示している。

具体的には、以下の5つの項目を遵守することで、業務の適切性と安全性の確保に努めていると明記している。

  1. 組織としての対応: 反社会的勢力に対しては、行動規範・社内規定等に明文の根拠を設け、経営トップ以下、組織全体として対応する。また、反社会的勢力に対応する従業員の安全を確保する。
  2. 外部専門機関との連携: 平素から、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等の外部の専門機関と緊密な連携関係を構築することに努める。
  3. 取引を含めた一切の関係遮断: 反社会的勢力に対しては、取引関係を含めて、一切の関係を遮断する。
  4. 有事における民事と刑事の法的対応: 反社会的勢力による不当要求を拒絶し、必要に応じて民事および刑事の両面から法的対応を行う。
  5. 裏取引や資金提供の禁止: 反社会的勢力との裏取引は絶対に行わない。反社会的勢力への資金提供は絶対に行わない。

一見完璧に見えるこのコンプライアンスだが、今回の事件は大きな矛盾を露呈した。副支店長は、反社会的勢力の名前を騙ることによって脅迫行為を行った。

コンプライアンスには「反社会的勢力と付き合わない」とは明記されているものの、「反社会的勢力を騙らない」とは明記されていない。これだけ事件が頻発していることを考慮すると、今後コンプライアンスの「反社会的勢力に対する基本方針」の6番目の項目として、「反社会的勢力を騙らない」も記載する必要があるのではないか。

三菱UFJ銀行のコンプライアンス規定
MUFGの反社会的勢力に対する基本指針より

今後の課題:コンプライアンスの強化と透明性の確保

三菱UFJ銀行は、今回の事件を真摯に受け止め、コンプライアンスの強化と透明性の確保に努める必要がある。不祥事が発生した場合には速やかに公表し、再発防止策を徹底的に講じることで、顧客からの信頼回復に努めるべきだ。

今回の事件は、氷山の一角に過ぎない可能性もある。金融業界全体が、コンプライアンス遵守の重要性を改めて認識し、健全な企業経営に努めることが求められている。

それにしても、この副支店長はどうなってしまうのだろうか。ひと昔前の時代だったら、堅気が不良を騙ること、ましてや山口組の六代目を騙るとなると、その人にはとんでもない仕打ちが待っていただろう。それこそ、違う組織にゲソをつけて、本当の反社になって身を守ってもらうしかないのではないか。

まぁ、いまの時代、ヤクザも力をなくしているので、そんなことにはならないと思うが、銀行にも子分たちの訪問があっただろう。真面目に働いている同僚たちに多大な迷惑をかけることにもなったハズである。

とまれ、同行のコンプライアンスの改訂を注視していく必要がありそうだ。

【三菱UFJ銀行のその他の記事はこちらから】

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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