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女性のキャリアと起業支援~ジェンダーギャップ解消への第一歩~

コラム&ニュース コラム
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女性のキャリアと企業支援。ソフィアコミュニケーションズ林田さん
PhotoACより再構成

「子育てが落ち着いたら、また仕事を始めようと思っているの」と話していた友人に久しぶりに再会した。
彼女は、大学を卒業して大手企業に就職し、職場で着実にキャリアを積んできた優秀な人材だった。

出産を機に仕事を辞め、その後は子育てに専念していた子どもが成長し、少し手が離れたことで再び社会に出て働きたいと考えていたが、再就職の壁が予想以上に高い現実に直面している。

林田かよ

【執筆者プロフィール】
林田佳代(はやしだ かよ)
株式会社ソフィアコミュニケーションズ 代表取締役。研修会社、人材紹介会社など複数の会社を経営しスタートアップ支援とキャリア支援について研究。現在は約600名の講師・コンサルタントとともに企業の課題解決に向けた支援を行っている。また、青山学院大学院博士課程にて研究を続け青山ヒューマン・イノベーション・コンサルティング株式会社にて地方創生と創業支援に関するパートナーコンサルタントとして活動中。
著書- 『ニッチで稼ぐコンサルの教科書』青春出版社

女性のキャリアを阻む再就職の壁

「面接を受けてもなかなか通らない。それに、残業ができないと言うと、もうそこで門前払いされる」

と、彼女はため息をつきながら話した。

かつては多くのプロジェクトでリーダーシップを発揮していた彼女が、今は自分に価値がなくなったように感じている。

このような状況は、個人の問題ではなく、社会全体の大きな損失である。
一方、仕事を辞めずに子育てと両立している別の友人も、別の形で悩みを抱えている。

「毎日、子どもを保育園に預けて急いで出勤し、帰宅後は子どもの世話をして、その後も仕事を片付けなければならない。自分の時間や睡眠を削って働くしかない状態で、精神的にも限界を感じることが多い」

と語る。彼女はキャリアを中断せずに仕事を続けているものの、仕事と家庭の両立に苦しみ、心身ともに追い詰められている。

社会全体にとって大きな損失

このエピソードは、女性が直面する二つの大きな課題を浮き彫りにしている。一つは、子育てを理由にキャリアを一度中断すると、再就職が非常に難しくなる現実である。

もう一つは、仕事を続けることができたとしても、育児との両立が非常に困難であるという事実だ。これらの問題は、個人だけでなく、日本全体にとって大きな損失である。

厚生労働省が実施した「2018年雇用動向調査」のデータによれば、子育てのために一度仕事を辞めた女性の再就職率は約50%しかない。

特に、正社員として再び働くことは非常に難しく、多くの女性が非正規雇用に留まる傾向がある。非正規雇用は給与が低く、雇用の安定性も乏しいため、女性の経済的自立を妨げる。

このようなことが今後も続くと、個々の女性が持つスキルや経験が十分に活かされず、社会全体の生産性が低下する可能性が高いのではないか。

さらに、再就職時に直面する賃金格差も深刻な問題である。日本では依然として男女間の賃金格差が大きく、同じ仕事をしても女性の給与は男性よりも低い傾向がある。

これは女性の経済的自立を阻害するだけでなく、長期的には女性がキャリアを築く意欲を削ぐ要因にもなる。

賃金格差が解消されない限り、女性が自分の能力を最大限に発揮することは難しく、その結果、社会全体にとっても多様な才能が失われることになる。

このような状況は、個々の女性だけでなく、企業にとっても大きな損失である。企業は多様な人材を活用することで、より創造的で革新的なアイデアを生み出すことができる。

しかし、女性がキャリアを中断したり、再就職が困難であったりすることで、企業における人的資本が失われ、多様性が損なわれるリスクが生じる。これは企業の競争力低下につながる。

起業という選択肢

こうした問題を解決するための一つの答えが「起業」という選択肢である。

起業は、女性が自分のペースで働くことができ、過去のキャリアのブランクや年齢に左右されずに、自分の経験やスキルを最大限に活かす手段となる。

例えば、子育てをしながら自宅でできる仕事を立ち上げたり、オンラインでビジネスを展開したりすることで、家庭との両立が可能になる。

また、自分のアイデアを形にして社会に貢献することで、大きなやりがいを得ることができる。

起業によって得られる自由度と達成感は、再就職の難しさを乗り越える解決策となり得る。
女性が起業することで社会全体にも多くのメリットがもたらされる。

まず、女性が経済活動に積極的に参加することで、女性の社会的地位が向上し、ジェンダーギャップの解消に寄与する。

ジェンダーギャップは男女間での機会や待遇の差を指し、これが解消されることで社会全体の公平性と多様性が向上する。

起業は働き方に柔軟性をもたらし多くの人に幸福感を与えるのだ。女性が自分のライフスタイルに合わせて働くことができる環境を作り出すことで、ワークライフバランスが実現しやすくなる。

これによって、女性が無理なく仕事と家庭を両立できるようになり、精神的な負担も軽減される。さらに、女性ならではの視点やアイデアが新たなビジネスを生み出す可能性がある。

女性が起業することで、これまでにない商品やサービスが生まれ、社会全体のイノベーションが促進されることが期待される。

例えば、女性の視点から生まれた製品やサービスが、他の女性のニーズに応えることで市場に新たな価値を提供することができる。

地域の経済も活性化する。女性が地域で起業することで、地元の経済が活性化し、新たな雇用が生まれることがある。

これにより、地域社会全体が発展し、税収も増えることが期待される。女性の起業が進むことで地域における女性のリーダーシップが高まり、社会全体の意識改革にもつながる。

女性の起業が進むことで、ジェンダーギャップの解消に向けた一歩を踏み出すことができる。これは、社会全体の意識を変えるだけでなく、次世代の女性たちにとっても大きな励みとなるだろう。

自分の母親や身近な女性が起業して成功している姿を見ることで、若い世代の女性たちが自分の可能性を信じ、自分の夢を追い求めることができるようになるのだ。

起業のサポートは充実

女性が起業を選択する際には、さまざまなサポートが必要である。
まず、起業に関する情報を提供することが重要である。

多くは、起業に興味はあっても、どこから始めればよいのか、どのような支援を受けられるのかがわからないことが多い。

このため、女性向けの起業セミナーやワークショップ、相談窓口の設置が有効である。

また、オンラインでの情報提供や、成功した女性起業家の事例を紹介することも、彼女たちにとって大きな助けとなる。

資金面での支援も重要である。起業には初期投資が必要であるが、女性は男性に比べて資金調達が難しいというデータがある。

このため、女性起業家向けの融資制度や助成金制度を充実させることが求められる。
また、クラウドファンディングなど、資金調達の新しい手段も積極的に活用するべきである。

メンターシップやネットワーキングの機会も非常に重要である。

起業は孤独な道のりになりがちだが、成功した起業家や同じような立場の女性たちとのつながりを持つことで、助言を得たり、励まし合ったりすることが可能になる。

メンターシッププログラムでは、経験豊富な起業家が新たに起業する女性たちに対して、 ビジネスの進め方や課題の解決方法についてアドバイスを提供する。

これにより、女性起業家たちは自信を持ってビジネスを展開できるようになる。女性起業家同士のネットワーキングイベントやコミュニティを通じて、情報交換やビジネスパートナーの発見が可能になる。

同じような立場の仲間とつながることで、モチベーションを保ち、成功に向けて協力し合うことができる。

特に、女性起業家に特化したネットワーキングの場は、女性が抱える特有の課題に対する共感やサポートを得るのに役立つ。

社会全体で女性の起業を支援するためには、政府や企業、地域社会が一丸となって取り組む必要がある。

政府は、女性起業家向けの支援制度を拡充し、女性が起業しやすい環境を整えることが求められる。

具体的には、起業に必要な法的手続きの簡略化や、女性起業家専用の相談窓口の設置などが考えられる。

また、企業も女性起業家との連携を深め、彼女たちのビジネスを支援するためのパートナーシップを築くことが重要である。

教育機関においては、若い世代の女性たちに対して起業に関する教育を行うことが必要である。

起業の基礎知識やビジネスプランの立て方、資金調達の方法などを学ぶ機会を提供することで、将来的に起業を考える女性たちの準備を整えることが可能である。

さらに、地域社会においては、女性起業家を応援する文化を醸成し、彼女たちがビジネスを展開しやすい環境を整えることが重要である。

こうした支援が充実することで、女性の起業はより現実的な選択肢となり、多くの女性が自分の夢を実現するための一歩を踏み出すことができる。

その結果として、女性がより多くの場面で活躍できる社会が実現し、ジェンダーギャップの解消に向けた大きな一歩となることだろう。

女性の起業は、単に経済活動への参加だけでなく、社会全体の意識を変える力を持っている。

女性が自らの力でビジネスを立ち上げ、成功を収める姿は、周囲にいる女性たちや次世代の子どもたちにとっても大きな励みとなり、「自分にもできる」という自信を与える。

これにより、女性の可能性が広がり、より多様な社会を築くことが可能になるだろう。

私たち一人ひとりが、女性起業家を応援し、その活動を支援することが、ジェンダーギャップのない社会を築くための鍵となる。

女性のキャリア支援と起業支援は、私たちが共に取り組むべき重要なテーマであり、これを通じてより良い未来を築くことができると考えている。

子育てを終えた後の女性のキャリア支援は、社会全体で取り組むべき重要な課題である。

起業という選択肢を提示し、女性たちが自身の才能を最大限に発揮できる環境を整えることで、より多くの女性が活躍できる社会を実現することができる。

共に手を取り合い、女性が輝ける未来を築いていくこと。

女性の起業支援は、ジェンダーギャップの解消に向けた大きな一歩であり、 地域や企業が連携し協力して進めていくべき重要なテーマであると考えている。

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ライター:

株式会社ソフィアコミュニケーションズ代表取締役。研修会社、人材紹介会社など複数の会社を経営しスタートアップ支援とキャリア支援について研究。現在は約600名の講師・コンサルタントとともに企業の課題解決に向けた支援を行っている。また、青山学院大学院博士課程にて研究を続け青山ヒューマン・イノベーション・コンサルティング株式会社にて地方創生と創業支援に関するパートナーコンサルタントとして活動中。 著書- 『ニッチで稼ぐコンサルの教科書』(青春出版社)

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