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2023年の世界と企業への影響

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作:Sacco

昨年の世界情勢を振り返るならば、ロシアによるウクライナ侵攻と緊張が高まる台湾情勢が2大トピックなったと言えるでしょう。

これらが企業の与えた影響という視点では、たとえばロシアによるウクライナ侵攻によって欧米とロシアとの対立は決定的となり、スターバックスやマクドナルド、アップルやエイチアンドエムなど世界的な企業が相次いでロシアから撤退し、昨年9月以降にはトヨタやマツダ、日産と日本の大手自動車メーカーもそれに続きました。

2022年の世界情勢

また、ウクライナ侵攻は世界的な物価高騰に拍車を掛け、ペルーやスリランカ、イラクなど各国では、小麦や石油など生活必需品の価格高騰に怒りを爆発させた市民と治安当局の衝突が相次ぎ、多くの死傷者・逮捕者が出ました。欧米先進国でストライキが行われ、多くの市民が街頭に出て抗議デモを行いました。日本国内でも原材料費の高騰に頭を悩ませ、メニュー価格のアップに踏み切らざるを得ない企業も沢山見られました。

そして、台湾情勢を巡っては、ウクライナのように戦争に発展しているわけではありませんが、台湾に駐在員を派遣している企業、また台湾を重要な調達先とし、サプライチェーンの不安定化を危惧する企業を中心に懸念が拡大しました。特に、昨年8月、米国ナンバー3ともいわれるペロシ米下院議長が台湾を訪問したことがきっかけで、中国は台湾を取り囲むように軍事演習を実施し、大陸側から多くのミサイルを発射させ、一部は日本の排他的経済水域に着弾するなど、台湾を取り巻く政治的緊張が一気に高まり、今もそれが続いている状態です。

世界情勢が企業の経済活動に及ぼす影響

では、今年の世界情勢は企業の経済活動にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。以上2つの問題から見ていきたいと思います。

まず、今年もウクライナ戦争を巡る緊張が続くことは間違いありません。企業経営者の方々は、“今年プーチン大統領がウクライナとの停戦に応じる”、“ロシア軍をウクライナから撤退させる”、“それによって物価高が収まる”などと楽観的に考えるべきではありません。

それはゼロに等しいシナリオで、今日、プーチン大統領は来年のロシア大統領選で5期目を狙っており、そのためにもウクライナ戦争で何とかして“成果”を出すことに躍起しています。ここでロシア軍撤退などと弱腰を見せると、ロシア国内で自分の立場が窮地に追いやられる恐れもあり、絶対に引けない状況にあります。

一方、欧米の支援を受けるウクライナも一歩も譲らない構えで、今年になってウクライナ国防省は3月あたりにロシア軍へ大規模な攻撃に踏み切る可能性を示唆しており、春以降、再び戦況が激化する恐れがあります。そうなれば世界経済への混乱は必須で、昨年のような世界的な物価高騰という混乱が再び到来する可能性があります。そのあたりを企業としては考えておくべきでしょう。

台湾有事の可能性

一方、仮に台湾有事となれば、日本企業が受けるダメージはウクライナ戦争の比ではないでしょう。ずばり、今年台湾有事が発生するかというと、多くの専門家はその可能性は低いとみています。

理由としては、まず、今日の中国軍に台湾本島をスムーズに支配下におけるほどの組織力はないという点です。習国家主席は昨年秋の共産党大会の席で、台湾統一は必ず成し遂げる、そのためには武力行使も辞さないと強調しましたが、国内での反政権的流れも懸念されるなか、習氏には台湾侵攻で絶対に失敗出来ないという危機感があります。

そして、来年1月には台湾で次期指導者を選ぶ総統選挙が行われますが、ここで重要なのは独立志向が強い今日の蔡英文氏の後継者が勝利するのか、もしくはそれとは距離と置く、親中的な候補者が勝利するのかという点です。選挙は来年1月ですから、選挙戦は事実上今年が大きなポイントになりますので、習氏はまずは今年の台湾総統選挙の行方を注視する可能性が高いでしょう。

しかし、冒頭にも言及したように、台湾周辺で軍事的緊張が依然として続いているのも事実で、仮に偶発的衝突が発生すれば緊張は一気にエスカレートし、全面戦争に発展する可能性は低いとしても、経済や貿易の世界を舞台とする米中、中台間の戦いが激しくなるでしょう。そして、日本は政治的に米国や台湾と協調姿勢を取ることから、それによって日中関係が冷え込み、今年に入ってのビザ発給停止のように、中国側が日本に対して制裁措置を発動してくる可能性があります。ビザ発給停止以外にも、日本が中国に大きく依存する物品、代替が効きにくい物品などを中心に輸出入停止などを行ってくることも十分に考えられます。

台湾情勢は時間の経過にとともに情勢が悪化しています。この問題は長期戦となりますので、その観点から経営戦略を考え、台湾情勢が日中関係にも影響を及ぼす潜在的リスクも見据える必要があるでしょう。

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