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COP・「パリ協定」・「京都議定書」とは?地球温暖化や気候変動に関する基礎知識【SDGs関連ニュース】

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2021年10月31日から英国・グラスゴーで開催された「COP26」。 地球温暖化の最大要因として 石炭を段階的に削減するという史上初の国際合意が得られたと話題になりました。同会議で採択された 「グラスゴー気候合意(Glasgow Climate Pact)」 では「パリ協定」での気温上昇に関する長期目標について、従来の2度未満から1.5℃に抑える努力を追求する内容に強化されています。花王ヤマハグループなど、気候変動対策に積極的に取り組む企業は、目標達成に向けてさらなる推進を行っています。今回は、温暖化問題をめぐる国際的な動きや、具体位的な数値目標策定にかかせない「COP」「パリ協定」そして、混同されがちな「京都議定書」について、改めておさらいしておきましょう。

COPとは「国連気候変動枠組条約締約国会議」1995年より毎年開催

世界の環境破壊についての問題意識は、昨日今日で生まれたものではありません。すでに半世紀以上前の1962年には、レイチェル・カーソンが「沈黙の春」にて自然環境の汚染について警鐘を鳴らしています。

それから30年後の1992年。世界の国や機関が参加し、地球温暖化などの環境問題にどう対処するかを話し合ったのが「地球サミット(国連環境開発会議)」です。ここで初めて「気候変動枠組条約(UNFCCC)」が採択されました。

UNFCCCに基づき、毎年開催されるようになったのがCOP(Conference of the Parties:国連気候変動枠組条約締約国会議)です。地球温暖化の進み具合は、温室効果ガスの排出量にほぼ比例すると考えられているため、COPでは主に温室効果ガスの削減について議論されます。

COPは1995年から世界中の各都市で行われ、第3回目のCOP3は1997年に京都で開催されました。ここで採択されたのが「京都議定書」です。

1997年:COP3で採択された「京都議定書」とは

1992年の「気候変動枠組条約(UNFCCC)」においては、温暖化対策についての具体的なルールが定まっていませんでした。そこで、2020年までの温室効果ガス排出量の削減について国際的な数値目標を初めて定めたのが、1997年の「京都議定書」です。

その内容は「2008年から2012年までの間に、先進国全体で少なくとも5%の温室効果ガスの排出削減(1990年比)を義務付ける」というもの。画期的な内容でしたが、先進国のみに削減目標に基づく削減義務が課せられたため、実際の効果が疑問視され、米国やカナダは離脱します。そのころには、 中国・インドといった新興国を中心とした開発途上国の温室効果ガス排出量が急増していたためです。

こうした状況の打開のため「先進国だけでなくすべての国が参加する」ことを前提に、2020年までの京都議定書にかわる新たな枠組みとして採択されたのが、2015年のCOP21における「パリ協定」です。

2015年:COP21で採択された「パリ協定」とは

パリ協定の主な内容は以下の通りです。

  • 気候変動枠組条約に加盟している196カ国すべてが対象
  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つ(2度目標)とともに、1.5度に抑える努力を追求する(1.5度目標)
  • 具体的な削減目標は、各国自らが「国が決定する貢献(NDC)」として設定し、必要な対策を講じる
  • 各国の削減目標は5年ごとに更新

パリ協定の下で国際社会は、今世紀後半に世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすること、つまり「脱炭素化」を目指して歩むことになりました。しかし、京都議定書と比較すると、目標提出のみで達成自体は義務ではありません。まずは世界各国の合意形成を優先したためです。

しかし、2019年の試算によると、仮に全世界で目標達成したとしても世界の気温は3.2℃上昇してしまうという結果が発表されます。

2021年:COP26で強化された「パリ協定」

1995年から毎年開催されていたCOPですが、コロナ禍で1年延期。COP26は2021年にイギリスのグラスゴーで開催されました。ここでパリ協定の長期目標として「気温上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑える」と明示され、実施指針も全て合意を得ることになります。

この直前の2021年8月、国連組織の「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」が「人間活動による地球温暖化は疑う余地がない」 と断定する衝撃の内容を発表します。これまでは「地球温暖化は人間活動によって引き起こされている可能性がある」とされてきたのですが、毎年のように被害が増す猛暑、豪雨、台風、水害などを見ると、私たちの目からも人間活動による地球温暖化はもはや疑う余地がないのではないでしょうか。

とはいえ、1.5℃目標を達成するためには、2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロ、2030年には2010年比で45%削減する必要があります

COP26開幕前に各国の目標を再集計しましたが、それでも世界の気温は2.7 ℃上昇してしまうという集計結果でした。会期中に各国が新目標を立てましたが、それでも2℃前後の気温上昇があり、1.5℃目標に向けてはさらなる困難が予想されます。

日本における温室効果ガス削減目標

世界の温室効果ガスシェアで2.7%(2016年)を占める日本。2030年温室効果ガス46%削減、2050年実質ゼロの目標を打ち出しています。

私たちの周りでは、盛んに二酸化炭素排出削減の取り組みや聞かれるようになりました。日常的に節電などのエコ活動に取り組む方も多いのではないでしょうか。

環境省と国立環境研究所が2021年12月9日に発表した2020年度の日本の温室効果ガス排出量(速報値)によると、総排出量は11億4,900万トン(CO2換算)。2019年に比べて前年度比5.1%削減、7年連続で減少しています。2030年度までの削減目標の基準年となる2013年度と比較すると18.4%の減少で、過去30年で最少となりました。2030年、2050年の目標達成には、私たちのエコ活動と共に、新たなエネルギー資源、新技術の開発が求められるでしょう。

参照:外務省 :気候変動に関する国際枠組 > 2020年以降の枠組み:パリ協定
外務省 パリ協定 - 歴史的合意に至るまでの道のり
NHK 目指せ!時事問題マスター 1からわかる!地球温暖化(1)パリ協定って何?
NHK 目指せ!時事問題マスター1からわかる!地球温暖化(2)パリ協定と京都議定書、何が違うの?
NHK 「COP26 脱炭素社会は近づいたか?」(時論公論)
JICA 全世界で取り組む新たな温暖化対策「パリ協定」を知ろう!
経済産業省 資源エネルギー庁 今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~
環境省 温室効果ガス排出・吸収量算定結果

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