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2015 年に国連サミットで採択された「SDGs」(持続可能な開発目標、Sustainable Development Goals)。環境・経済・社会の3つの側面から世界全体で解決すべき 17 の目標を掲げています。すでに多くの企業が、企業価値の向上だけでなく、これからのビジネスチャンスとしてSDGsへの取り組みを始めていますが、どれだけ一般に浸透しているのでしょうか。
キャリアや就職・転職全般に関する研究や各種調査を行う機関『Job総研』を運営する株式会社ライボ(本社:東京都渋谷区 代表取締役:小谷匠 以下「ライボ」が、469人の社会人男女を対象に実施した「2021年 SDGs実態調査」の結果から考えてみましょう。
【調査概要】 調査対象者 :全国 / 男⼥ / 20〜69歳 調査条件 :1年以内〜10年以上勤務している社会⼈ 20⼈〜1000⼈以上規模の会社に所属 調査期間 :2021 年 10 ⽉ 27 ⽇〜10 ⽉ 31 ⽇ サンプル数 :469⼈ 調査⽅法 :インターネット調査 |
SDGsはすでに認知度が9割超・社会人は「目標8 働きがいも経済成長も」への関心高
まず「SDGsを知っていますか?」という問いに対しては、「はい」という回答が92.1%と、9割超の結果でした。調査対象者が20〜69歳の社会人男女ということから、すでに社会人の大半には「SDGs」という言葉は浸透していると言えるでしょう。
2015年にスタートしたSDGsですが、2018年末に政府が「SDGsアクションプラン2019」を策定。大企業や業界団体に加え,中小企業に対してもSDGsの取組を強化しました。その影響か、ここ数年で認知が急激に高まりました。アンケート結果から見ても、「2019年1〜12月」が25.2%で、「2020年1〜12月」が26.6%、「2021年1月〜現在」が11.3%であり、63.1%が2019年以降に知ったと回答しています。
SDGsを知ったきっかけも「インターネット」が26.4%とトップですが、その次は「職場」が僅差で25.0%となっているのは、職場でSDGsの推進が始まったことが知るきっかけだったと解釈できそうです。テレビや新聞、雑誌やラジオといったオールドメディアは合わせて27%と、インターネットとほぼ同じでした。ネットにおける情報発信の重要度が高まっています。
過半数が「転職先企業のSDGs」を意識している
多くの企業がSDGsへの取り組みを表明していますが、その効果は顧客や消費者だけでなく、これから社員となるかもしれない人材候補にも及んでいます。「企業のSDGsへの取り組みが企業選びに影響するか」という問いに対しては、「大きく影響する」11.7%、「やや影響する」40.2%となり、半数を超える51.9%が転職先のSDGsへの取り組みを意識していると回答しました。
SDGsの目標は17ありますが、関心のトップは、42.4%の回答者が「目標8 働きがいも経済成長も」でした。目標8は、ターゲットに「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。」を含むなど、企業における「働き方改革」にも大きくリンクした項目です。
企業はSDGsへの取り組みについて積極的に発信する必要がある
その企業がどれだけSDGsに貢献しているかは、どのようにして調べるのでしょうか。「企業の社会貢献度を調べる方法」として、トップに挙げられたのは「企業ホームページ」が66.7%、次いで「企業採用ページ」が53.2%でした。Web上での積極的な情報発信がいかに重要なのかがわかる結果と言えます。
しかし、実際に企業の社会貢献度をどこで判断しているかという項目では「従業員に対する姿勢」が60.9%でトップになりました。つまり、SDGsに取り組んでいるという姿勢を表明するにあたっては、対外的な社会貢献だけでもなく、従業員満足度を高めるような「働きやすさ」を実現することが求められているといえるでしょう。
出典: Job総研 「2021年 SDGs実態調査」