
日清どん兵衛の新商品「鰹だしの極み」PRに、“暇つぶしにお金かけてるようじゃこの先心配”で知られる元中学生が登場。元ネタやバキ童チャンネル出演、日清のネットミーム活用の巧さを解説する。
どん兵衛新商品に“この先心配ニキ”登場
日清食品の人気ブランド「どん兵衛」の公式Xが、またしてもネットユーザーの心をつかんでいる。
どん兵衛公式Xは5月25日、新商品「どん兵衛 鰹だしの極み」について「ご意見いただきました」と投稿。
そこに登場したのは、「元中学生」と紹介された男性だった。
男性は、どん兵衛のだしについて、
「カップ麺のだしっていうのは、ついでに飲んでおくものであって」
「そのだしにお金かけてるようじゃこの先心配」
とコメント。
この言い回しに、ネットユーザーは即座に反応した。
「まさか、あれの本人?」
「一体どうやって見つけてきた?」
「日清のネットミーム理解度が高すぎる」
と驚きの声が広がっている。
元ネタは「暇つぶしにお金かけてるようじゃこの先心配」
今回起用された男性は、かつてソーシャルゲームについて街頭インタビューを受けた際の発言で有名になった人物である。
元々の発言は、
「ゲームっていうのは暇つぶしのためにあるのであって、その暇つぶしにお金かけているようじゃこの先心配」
という趣旨のものだった。
ドヤ顔気味の表情と、妙に耳に残る言い回しがネット上で拡散され、「この先心配ニキ」「ドヤ顔中学生」などとして長く語り継がれてきた。
一見すると、ゲーム課金を上から目線で批判しているようにも見える発言だったため、当時はゲーマーから反発もあったという。
しかし後年、お笑い芸人「春とヒコーキ」のぐんぴぃが運営する『バキ童チャンネル』に本人が出演。
そのインタビューの中で、実は本人もゲーム好きであり、「こんなにハマってしまう自分の将来が心配」という自虐の意味も込めていたことが明かされた。
つまり、単なる“ゲーム批判の人”ではなく、本人なりの照れやユーモアを含んだ発言だった。
「だしにお金をかける」新商品との相性が良すぎる
今回のどん兵衛投稿がうまいのは、単に有名なネットミームを引っ張ってきただけではない。
新商品「どん兵衛 鰹だしの極み」は、その名の通り“だし”を前面に押し出した商品である。
つまり今回のPRは、「だしにこだわった新商品」×「お金かけてるようじゃこの先心配」という、元ネタの構造を商品特徴にぴったり重ねた企画なのだ。
元ネタでは「暇つぶしにお金をかける」だったものを、今回は「だしにお金をかける」に変換。
ネットミームを雑に使うのではなく、商品の訴求ポイントと自然につなげているところも、今回の投稿が高く評価されている理由だろう。
日清は以前もネットミーム“国鉄ムンムンニキ”を起用
どん兵衛公式は、以前にもネットミーム化した人物を起用して話題を呼んでいる。
たとえば、「国鉄ムンムンニキ」と呼ばれるネット上の有名人を起用した投稿もあり、インターネットの古い記憶を掘り起こすようなPRで注目された。
日清食品は、カップヌードルやどん兵衛などの広告でも、ネット文化やSNS文脈を巧みに取り込むことで知られている。
今回の“この先心配ニキ”起用も、その延長線上にある。
単なる流行語ではなく、ネットに長くいる層が「そこを拾うのか」と反応する絶妙な人選。
分かる人には刺さり、分からない人には「誰?」と調べたくなる。
この“検索したくなる余白”こそ、SNS時代の広告として非常に強い。
ネットミーム起用が成功する理由
ネットミームを広告に使うのは、実はかなり難しい。
使い方を間違えると、
「企業が乗っかってきた」
「寒い」
「分かっていない」
と受け取られかねない。
しかし今回のどん兵衛投稿は、元ネタの言い回しを商品の特徴にうまく変換している。
しかも、どん兵衛側は実際に“だしにこだわった商品”を出している。だからこそ、単なるパロディではなく、商品説明としても成立している。
ネットミームへの理解と、商品PRとしての筋の良さ。その両方があるから、ユーザーも素直に笑えるのだ。
かつての“ネットのおもちゃ”を本人起用する時代
かつてネットミーム化した人物は、本人の意図と関係なく画像や発言だけが拡散されることも多かった。
しかし近年は、そうした“ネットの有名人”が本人として再登場し、過去のミームを自分の言葉で回収する流れも増えている。
『バキ童チャンネル』のように、ネットで有名になった人物を呼び、当時の真相や現在を聞く企画が人気を集めているのも、その一例だ。
今回のどん兵衛起用も、単に昔の発言を擦るのではなく、本人を起用して新しい文脈に置き直している点が大きい。
ネットミームを消費するだけでなく、本人も含めて再編集する。そこに、令和の広告らしさがある。
日清の“ネット民向けPR”はなぜ強いのか
日清の広告がたびたび話題になる理由は、単に奇抜だからではない。
ネットユーザーが何に反応するかをよく分かっているからだ。
今回も、派手な芸能人を起用したわけではない。誰もが知る国民的スターでもない。
しかし、ネットに長く触れてきた人にとっては、強烈に記憶に残っている人物である。
「よく見つけたな」
「本人なのがすごい」
「この使い方はずるい」
そう思わせた時点で、広告としてはかなり強い。
商品名だけを連呼するよりも、ユーザー自身が語りたくなる仕掛けを作る。日清のSNS施策は、その点で非常に巧みだ。
日清のネットミーム嗅覚に今後も期待
今回の「どん兵衛 鰹だしの極み」PRは、ネットミームを商品訴求に落とし込んだ好例と言える。
“この先心配ニキ”の名言を、だしにこだわった新商品へ自然につなげる発想。さらに、本人を起用することで、ネットユーザーの驚きと懐かしさを同時に引き出した。
ネットミームは、扱い方を間違えれば寒くなる。
しかし、文脈を理解して使えば、強力な拡散装置になる。
どん兵衛公式の今回の投稿は、そのことを改めて示した。
次はどんなネットの有名人を見つけてくるのか。日清の“ネットミーム嗅覚”に、今後も期待したくなる。



