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溝口勇児氏のdiet beauty、人気キャバ嬢を広告塔にした“マンジャロ”オンライン処方LPの危うさと違法の可能性

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マンジャロ

「1カ月で5kg痩せました」「こうなれますからね」。有名インフルエンサーの甘い言葉とともに、あるダイエットサービスがSNSや医療界隈で大炎上している。実業家の溝口勇児氏が出資・関与し、人気キャバ嬢の「ゆいぴす」氏を公式アンバサダーに据えた「diet beauty(ダイエットビューティー)」なるオンライン処方サービスだ。

 

月額18,000円(初回17,000円)で初診料・送料無料。オンラインで医師の診察を受ければ薬が届き、LINEでの相談サポートや「応援カード」まで毎月同梱されるという。

「一人で頑張らないダイエット」というコンセプトは、一見すると女性に寄り添う美容サービスのようにも思える。だが、彼らが配ろうとしているのはサプリでもプロテインでもない。強力な血糖降下作用を持つ2型糖尿病の治療薬、「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」である。

日々、医療の現場に立つ一人の医師として、この異常な実態には強い怒りと危機感を抱かざるを得ない。医療用医薬品をまるでサプリメントのように扱うこのビジネスの何が“ヤバい”のか。

SNS上で真っ向から異を唱えたアグリグループ代表の伊藤俊一郎医師と、長年糖尿病医療の最前線に立ってきたベテラン専門医の2人の現役医師の視点から、このビジネスに潜む違法のカラクリと医療界のリアルを紐解く。

 

伊藤医師が指摘する「医師法違反」と「お飾り監修医」の闇

国内外で多数のクリニックや介護施設を展開し、元心臓血管外科専門医でもある伊藤俊一郎医師は、X上で同サービスに対して強い警鐘を鳴らしている。

伊藤医師は、溝口氏やインフルエンサーが出演する番組動画を確認し、「想像以上にヤバかった」と絶句する。最大の問題は、医師免許を持たない人間が医療行為の領域に土足で踏み込んでいる点だ。

動画内で、彼女らは「マンジェロ打ちな?」と発言している。伊藤医師が指摘するように、医師でもない者が医療用医薬品の使用を明らかに指示する行為は、医師法違反が疑われる危険な行為である。さらに、効能や効果を強く謳うことや、ステマ広告のような形態をとっている部分は、「薬機法(医薬品医療機器等法)違反」に問われる可能性が高い。

伊藤医師は、「医師でもない『キャバ嬢』や『SNSインフルエンサー』が糖尿病薬を痩せ薬として実質『販売する』ってオッケーなんでしょうか」と、そのビジネスモデルの根本を問い詰める。彼らは医師ではないため、万が一患者に健康被害が起きても「医師免許停止や剥奪等がない」。失う資格がない分だけ、平気で法とモラルの境界線に「強く踏み込める」構造になっているのだ。

また、医療安全の観点からも同サービスは危うい。「オンライン診療で完結」を謳っているが、激しい副作用などの「有事に対面対応」ができる体制が本当に整っているのか。サイト上には医師の名前や姿は全く見えてこず、「『医師は監修だけ』のお飾りになっている」疑いが拭えないと伊藤医師は斬り捨てる。

 

ベテラン専門医が斬る「目的外処方のでたらめさ」

一方、処方する医師側のモラルハザードについて厳しく指摘するのが、約40年にわたり糖尿病医療に携わり、多くの著書を持つ専門医も匿名を条件に話を語ってくれた。同医師は、昨今のマンジャロの目的外処方について「でたらめであり、法律違反だ」と一蹴する。

そもそも、マンジャロはあくまで「糖尿病患者の血糖値をコントロールする薬」として国から承認されている。同医師によれば、体重減少を正式な目的とした抗肥満薬には「ゼップバウンド」という全く同じ有効成分の薬がすでに存在している。

つまり、本来であれば「肥満治療にはゼップバウンド」を使うのが筋であるにもかかわらず、糖尿病薬であるマンジャロをダイエット目的で流用するのは「目的外処方」にあたる。

医師が患者に対し、「本来はゼップバウンドという薬があること」や「目的外処方であることの副作用リスク」を丁寧に説明せずに処方した場合、それは薬機法違反のみならず医師法違反にも該当し得る。

「マンジャロを使っている医者たちは、正直退場になってもいいぐらいだ」と、同医師は利益至上主義のクリニックを激しく非難している。

 

2026年以降「5、6個の新薬」が投入へ。マンジャロ一強時代の終わり

だが、こうした法をすり抜けるような「マンジャロ・ダイエットビジネス」の寿命は、実はそう長くはない。

これまで美容界隈では「マンジャロしか効かない」ともてはやされてきたが、その一強時代は今年で終わる。同医師が言及した正式な肥満症治療薬「ゼップバウンド」に加え、医療業界では今年以降、新たに5、6個もの肥満症に向けた新薬が市場に投入されると見込まれているからだ。

正式な肥満症治療薬が次々と登場することで、美容クリニック側が「肥満治療のために、仕方なく糖尿病薬のマンジャロを適応外で処方している」という言い訳は一切通用しなくなる。

 

ただし、正規の肥満症治療薬は、「BMI35以上の高度肥満」や「BMI27以上で高血圧などの健康障害を合併している」といった、医学的な治療が本当に必要な患者にしか処方されない。「あと数キロ痩せたい」という美容目的の健康な人には処方できないよう、厳格なルールが敷かれているのだ。だからこそ、一部の業者は未だに規制の目をかいくぐり、マンジャロを「自由診療のダイエット商材」として売り捌こうと必死になっている。

伊藤医師は国に対して「霞が関の皆さん、こういう時こそ『お仕事』ですよ」と、取り締まりを求めている。医療用医薬品は、キャバ嬢が勧める美容商材ではない。法と公衆衛生を軽視した痩せ薬ビジネスに、厚労省のメスが入る日は近いかもしれない。

「一罰百戒」の日は近いのか? 節操なきビジネスの代償

現在、多くの糖尿病専門医が、一部の美容クリニック等で行われているGLP-1受容体作動薬(マンジャロ等)の節操のない処方を苦々しく見つめている。法の網の目をかいくぐるようなグレーな路線をひた走る業者に対し、「いずれ国が『一罰百戒』の見せしめとして、どこかのクリニックを摘発するだろう」と予測する医療関係者は少なくない。

今回、インフルエンサーを大々的に巻き込み、ひときわ派手に目立つビジネスを展開した溝口氏やその提携クリニックが、図らずもその摘発の第一号として名乗り出る日も近いのだろうか。

「自分たちは医師免許を持っていないから、失う資格もなくノーリスクだ」と高を括っているのだとすれば、それは人の命と健康を預かる“医療”という領域を甘く見すぎているのではないか。暴走する痩せ薬ビジネスが、社会と法律から重い代償を払わされるカウントダウンは、すでに始まっているのかもしれない。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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